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収縮性心膜炎

収縮性心膜炎の症状・原因・検査・治療|福岡市早良区

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「足のむくみがなかなか引かない」「以前よりお腹が張り、少し歩くと息が切れる」。こうした変化が続くと、年齢や運動不足のせいだと思うこともあるでしょう。

心臓の周りを包む膜が硬くなり、心臓が十分に広がれなくなる収縮性心膜炎でも、息切れやむくみが現れます。胸が痛むとは限らず、お腹の張りや食欲の低下から調べ始めて、心臓の病気が見つかる場合もあります。[1]

収縮性心膜炎は、炎症が残っていて薬で改善を目指せる場合と、心膜が硬く変化して手術を検討する場合で、治療が異なります。この記事では、気づきたい症状、原因を調べる検査、治療の選び方、日常生活で気をつけることを説明します。[1]

この記事の要点

  • 収縮性心膜炎は、心臓を包む心膜が硬くなり、心臓に血液が入りにくくなる病気です。
  • 息切れ、足のむくみ、お腹の張り、疲れやすさなどが現れます。
  • 心臓手術、胸への放射線治療、感染症、心膜の炎症などが原因になりますが、原因がはっきりしないこともあります。
  • 心臓エコー検査を中心に、血液検査、CT、MRIなどを組み合わせて診断します。
  • 慢性的な締め付けが症状の原因になっている場合は、心膜を切除する手術を検討します。

この記事を書いた医師

うらマイハートクリニック院長 浦 祐次郎
(循環器専門医・総合内科専門医・TAVI実施医/指導医・心血管インターベンション治療学会認定医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士)

循環器専門医
院長 浦 祐次郎から一言
▶ 循環器専門医(院長 浦祐次郎)の臨床コメント 「心臓の動きは悪くないと言われたのに、なぜ息が切れるのでしょうか」。心臓は血液を送り出したあと、広がって次の血液を受け取ります。収縮性心膜炎では、この広がりが妨げられ、送り出す力が保たれていても息切れやむくみが出ることがあります。「以前は休まず歩けた」「靴がきつくなった」といった変化も、受診時に教えてください。

収縮性心膜炎とは

心膜は、心臓の周りを覆っている薄い膜です。心臓が動くときの摩擦を減らし、位置を支える役割があります。この膜に炎症が起こった後などに、傷痕のような硬い組織ができると、心臓の動きを外側から制限することがあります。カルシウムが沈着して、石灰化と呼ばれる変化を伴う場合もあります。[1]

血液が心臓に戻りにくくなると、静脈に血液がたまり、足やお腹のむくみにつながります。心臓が収縮して血液を送り出す力が保たれていても、このような心不全の症状が起こり得ます。心不全の症状や検査については、心不全のコラムで詳しく説明しています。

どのような症状が出るのでしょうか

息切れや疲れやすさ

階段や坂道で以前より息が切れる、買い物の途中で休む、家事の後に強く疲れるなどの変化がみられます。進行すると、平地を歩くだけでも息苦しくなることがあります。いつから、どのような動作で症状が出るのかを振り返ると、受診時に伝えやすくなります。[1]

足のむくみや体重の増加

靴下の跡が深く残る、夕方になると靴がきつい、すねを押した跡が戻りにくいといった症状が手掛かりになります。食べる量が変わっていないのに体重が増える場合は、体に水分がたまっている可能性もあります。朝の体重を同じ条件で測り、むくみや息切れと一緒に記録すると診療に役立ちます。[1][2]

お腹の張りや食欲の低下

お腹に水がたまる腹水や、肝臓に血液が滞る変化によって、お腹が張る、少量で満腹になる、食欲が落ちることがあります。ベルトがきつくなった一方で、腕や脚は細くなっているということもあります。

これらの症状は、心不全、腎臓病、肝臓病などでも起こります。症状だけで収縮性心膜炎と判断することはできません。むくみや息切れが続く場合は、原因を調べるために内科や循環器内科へご相談ください。腎臓病との関係は、慢性腎臓病のコラムでも説明しています。

急いで受診したい症状

数日でむくみや息切れが明らかに悪化した、横になると苦しくて眠れない、尿が大きく減った場合は、予定の受診日を待たずに医療機関へ連絡してください。

安静にしていても強く息苦しい、意識がもうろうとしている、冷や汗を伴う強い胸の痛みが続く場合は、救急要請してください。ご自身で運転して受診することは避けてください。[3]

原因と発症までの経過

心膜の炎症、心臓手術後の変化、乳がんなどに対する胸への放射線治療、結核や細菌による感染症、免疫の異常を伴う病気などが原因になります。原因を特定できないこともあります。以前の心臓手術や放射線治療から時間がたっていても、診療の手掛かりになるため、受診時にお伝えください。[1]

過去に心膜炎と診断されていなくても、収縮性心膜炎が見つかる場合があります。一方、心膜炎を経験した方の多くが収縮性心膜炎になるわけではありません。急性の心膜炎にみられる胸の痛みや治療については、心膜炎のコラムをご覧ください。

診断にはどのような検査を行いますか

診察と血液検査

血圧や脈、足のむくみ、首の静脈の張り、呼吸の状態などを診察します。血液検査では、炎症の反応、腎臓や肝臓の機能、栄養状態などを調べます。

心臓への負担を反映するBNPやNT-proBNPも参考にしますが、収縮性心膜炎ではあまり高くならない場合があり、この数値だけで病気を否定することはできません。[1]

心臓エコー検査で心臓への血液の入り方を確認する

心臓エコー検査は、胸に器具を当て、超音波で心臓の動きや血液の流れをみる検査です。収縮する力だけでなく、呼吸に伴って心臓の中の仕切りがどう動くか、血液の流れがどう変化するかも確認します。

心膜が原因なのか、心筋そのものが硬くなる病気なのかを見分けることは、治療を選ぶうえで大切です。一つの所見だけで結論を出さず、いくつかの特徴を組み合わせて判断します。[4]

CTとMRIは何を調べる検査でしょうか

CTでは心膜の厚さや石灰化などを確認します。ただし、心膜が厚く見えない収縮性心膜炎もあります。また、石灰化が写っているだけで、心臓が締め付けられていると決まるわけでもありません。画像の形と、実際の心臓の動きの両方を確認します。[1][5]

心臓MRIでは、心膜や心筋の状態、心臓の動きなどを詳しく調べます。造影剤を使うと、心膜に炎症が残っているかを判断する助けになることがあります。この情報は、炎症を抑える治療で改善を目指せるかを考える際にも役立ちます。[6]

心臓カテーテル検査が必要になる場合

画像検査だけでは診断がはっきりしない場合などに、細い管を血管から心臓まで進め、心臓の中の圧力を測る検査を行います。局所麻酔を使いますが、針を刺す際の痛みや出血のリスクがあります。全員に必要な検査ではなく、得られる情報と体への負担を考えて選びます。[1]

治療は炎症の有無と症状に合わせて選びます

炎症が残っている場合の治療

発症から比較的時間が短く、検査で心膜の炎症が確認され、全身の状態が安定している場合には、炎症を抑える治療で心臓の動きが改善することがあります。一過性の収縮と呼ばれる状態です。抗炎症薬などを用い、症状、血液検査、心臓エコー検査などの変化を確かめながら治療します。[1][6]

治療には、非ステロイド性抗炎症薬やコルヒチンなどが使われることがあります。腎機能の低下、胃腸の病気、他の薬との組み合わせによって使いにくい薬もあるため、薬の種類や量を個別に調整します。

炎症を伴う一過性の収縮が疑われ、状態が安定している方では、抗炎症治療の効果を数か月かけて評価する場合があります。ただし、すべての方が同じ期間、同じ薬を使うわけではありません。[1]

むくみを和らげる治療

体にたまった余分な水分を尿として排出する利尿薬を使い、足のむくみやお腹の張りを和らげます。心膜の硬さを取り除く薬ではありませんが、症状を整えるために役立ちます。

薬の量を増やしすぎると、血圧の低下や腎機能の悪化につながることがあるため、体重、血圧、腎機能、ナトリウムやカリウムなどを確認します。自己判断で増減せず、尿が極端に減る、立つとふらつく、食事や水分が取れないときは医療機関へ相談してください。[1]

心膜を切除する手術

心膜が慢性的に硬くなり、締め付けによって生活に支障が出ている場合は、心膜切除術を検討します。硬い心膜を取り除き、心臓が広がれるようにする手術です。

炎症が乏しく、硬い組織による制限が続いている場合は、薬で様子をみる期間を一律に設けず、専門施設で手術の必要性を評価します。[1][7]

手術は全身麻酔と入院が必要です。出血、不整脈、術後の心不全などのリスクがあるため、心臓だけでなく、腎臓・肝臓の機能や栄養状態も含めて判断します。手術後に息切れやむくみの改善が期待できる一方、回復の程度や速度には個人差があります。[7]

原因となる病気への治療

結核や細菌感染が原因なら、それぞれに合った感染症の治療が必要です。免疫の異常を伴う病気があれば、その病気の専門医とも連携します。治療期間も原因によって異なり、炎症を抑える薬だけでは対応できない場合があります。[1]

循環器専門医
院長 浦 祐次郎から一言
▶ 循環器専門医(院長 浦祐次郎)の臨床コメント 「薬でむくみが引いたのに、手術が必要なのでしょうか」。利尿薬で症状が軽くなっても、硬くなった心膜が心臓を締め付けている状態は残ることがあります。炎症を抑える治療で改善を目指せるのか、手術を検討する状態なのかを、検査と普段の生活への影響から判断します。手術を勧められた場合は、その理由と、治療後に期待できる変化を確認しましょう。

日常生活で気をつけること

体重と症状を一緒に記録する

体重は、できれば毎朝、排尿後など同じ条件で測りましょう。記録には、足のむくみ、息切れ、食欲、血圧も添えると役立ちます。増加が続く、症状も悪くなるときは連絡してください。どの程度の変化で連絡するかは、普段の状態に合わせて主治医と決めておくと安心です。[2]

減塩と栄養の両方を考える

むくみがある方は、塩分の取りすぎを避けます。麺類の汁を残す、しょうゆをかける量を減らす、加工食品を選ぶときに食塩相当量を確認するなど、続けやすい工夫から始めましょう。

ただし、食事量まで減らしすぎると体力の低下につながります。水分を控える必要があるか、その量をどこまで制限するかは、むくみ、血液検査、腎機能などによって変わります。ご自身で極端な水分制限を始めないでください。[2]

運動は病状が落ち着いてから調整する

心膜の炎症が活動している時期や、息切れ・むくみが悪化しているときは、無理な運動を控えます。治療で状態が安定した後は、歩行などから少しずつ活動を戻します。運動中に胸の痛み、強い息切れ、めまいが出たら中止してください。

心不全や心臓の手術後などで心臓リハビリテーションの適応がある場合には、体力を確かめながら、安全に続けられる運動や生活の整え方を考えます。[2]

よくある質問

Q収縮性心膜炎は治りますか。一生薬が必要ですか。

A

炎症に伴う一過性の収縮は、治療で改善することがあります。慢性的な心膜の硬さが原因の場合は、手術で締め付けを解く治療を検討します。治療後に薬を減らせる方もいますが、心臓や他の臓器の状態によっては継続が必要です。症状が軽くなった後も、薬の中止は診察で相談してください。[1][7]

Q家族に心臓病があると、収縮性心膜炎になりやすいのでしょうか。

A

収縮性心膜炎は、一般には炎症や手術後の変化などによって起こる病気で、家族から直接受け継ぐ病気として扱うものではありません。ただし、似た症状を起こす心筋の病気などには遺伝が関係するものもあります。家族に若い年齢での心臓病や突然死がある場合は、診察時にお伝えください。[1]

Q運動をしてもよいですか。

A

炎症が活動しているときや、息切れ・むくみが悪化しているときは、運動を控えます。状態が落ち着いたら、主治医と相談して歩行などから活動を戻します。仕事や運動でどの程度動けるか、具体的な動作を挙げて相談してください。[2]

Q食事では何に気をつければよいですか。

A

むくみがある方は塩分の取りすぎを避けます。ただし、食事量まで減らしすぎると体力の低下につながります。水分制限の必要性も病状によって異なるため、食欲や普段の食事を伝え、ご自身に合った調整を相談しましょう。[2]

Q検査を受けるには入院が必要ですか。

A

診察、採血、通常の心臓エコー検査やCTなどは、外来で行えることが多い検査です。MRIやカテーテル検査が必要な場合は、専門施設と相談します。心不全の症状が強い方は、検査に加えて治療のために入院することがあります。[1][4]

Q心膜に水がたまる病気とは違いますか。

A

心膜の内側に水がたまる状態を心嚢液貯留と呼びます。収縮性心膜炎は、主に硬くなった心膜が心臓の広がりを妨げる状態です。両方が重なる場合もあり、水を抜いても締め付けが残ることがあります。心嚢液の量だけでなく、心臓の動きや血液の流れを調べて治療を選びます。[1]

Qどのような症状なら救急車が必要ですか。

A

安静にしていても強く息苦しい、呼びかけへの反応がおかしい、意識を失った、冷や汗を伴う強い胸の痛みが続く場合は、救急要請してください。受診を待ちながら、ご自身で運転したり、無理に歩いて移動したりしないでください。[3]

当院での相談と専門病院との連携

当院では、症状やこれまでの経過を確認し、心臓エコー検査や血液検査などから原因を調べます。心臓MRI、カテーテル検査、心膜切除術などが必要な場合は、専門病院へ紹介します。

治療後は病院と情報を共有し、むくみや腎機能の確認、薬の調整、体力の回復を支えていきます。

福岡市で収縮性心膜炎の診療なら|うらマイハートクリニックの特徴

うらマイハートクリニック(福岡市早良区藤崎・原)は、内科・循環器内科・腎臓内科・呼吸器内科を診療するクリニックです。

院長(浦 祐次郎)は、循環器専門医・総合内科専門医・心血管インターベンション治療学会認定医・TAVI実施医/指導医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士として、九州医療センターで13年間、小倉記念病院で1年半にわたり、重症心疾患の診療に従事してきました。

副院長の浦 雅紀子は腎臓内科医として、福岡山王病院で約5年間、九州医療センターで6年間にわたり、心腎連関を踏まえた包括的な腎臓病診療に従事してきました。

  • BNPなど当日結果をご説明できる血液検査、心臓エコーを含む各種エコー検査、CT検査(冠動脈CTを含む)に対応しています。
  • 心不全や心臓手術後などで心臓リハビリテーションの適応がある方には、「ReHeart Gym」で専門スタッフが体力の回復を支援します。
  • 診療開始は8時30分から、水曜は20時まで診療しています。駐車場11台を完備し、発熱症状のある方には専用入口をご案内しています。

息切れやむくみが続く方、収縮性心膜炎を指摘されて検査や治療について相談したい方は、福岡市早良区のうらマイハートクリニックまでお気軽にご相談ください。

この症状でお悩みですか?

当院の専門外来では最適な治療プランをご提案しております。

参考文献

[1] Schulz-Menger J, et al. 2025 ESC Guidelines for the management of myocarditis and pericarditis. Eur Heart J. 2025;46(40):3952–4041.

[2] 日本循環器学会/日本心臓リハビリテーション学会.2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン

[3] 総務省消防庁.救急車を上手に使いましょう〜救急車 必要なのはどんなとき?〜

[4] Welch TD, et al. Echocardiographic diagnosis of constrictive pericarditis: Mayo Clinic criteria. Circ Cardiovasc Imaging. 2014;7(3):526–534.

[5] Talreja DR, et al. Constrictive pericarditis in 26 patients with histologically normal pericardial thickness. Circulation. 2003;108(15):1852–1857.

[6] Feng D, et al. Cardiac magnetic resonance imaging pericardial late gadolinium enhancement and elevated inflammatory markers can predict the reversibility of constrictive pericarditis after antiinflammatory medical therapy. Circulation. 2011;124(17):1830–1837.

[7] Saito T, et al. Pericardiectomy for constrictive pericarditis at a single Japanese center: 20 years of experience. Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2022;70(5):430–438.

浦 祐次郎

この記事の監修者:
うらマイハートクリニック院長 
浦 祐次郎

循環器専門医・総合内科専門医・TAVI実施医/指導医・心血管インターベンション治療学会認定医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士

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