肺がんの症状・検査・治療|福岡市早良区
「咳が続くが、肺がんではないか」「健診で胸の影を指摘された」「家族が肺がんと診断され、何をすればよいか分からない」。肺がんは早期には症状がないこともあり、健診や別の病気の検査で偶然見つかることがあります。一方で、咳や痰、血痰、息切れ、胸痛などをきっかけに見つかる場合もあります。
肺がんは、画像で影を見つけること、組織を採取して病理検査を行うこと、病気の広がりを調べることを通じて診断します。治療は、がんの種類、病期、遺伝子変化、体の状態などにより異なり、手術、放射線治療、薬物療法を組み合わせて検討します。
この記事では、肺がんの主な症状、検査、治療、肺結節との関係、受診の目安を解説します。症状だけで肺がんと決めつけることはできませんが、見逃さずに必要な検査につなげることが大切です。
【この記事の要点】
- 肺がんは、早期には症状がないことがあります。長引く咳、血痰、息切れ、胸痛、体重減少などがあれば受診を検討してください。
- 胸部レントゲンやCTで見つかった影は、肺がん以外の原因もあります。確定診断には組織検査が必要になる場合があります。
- 治療は、手術、放射線治療、薬物療法などから、病気の種類や広がり、全身状態に応じて選択されます。
- 急な強い息苦しさ、多量の血痰、意識の異常、強い胸痛がある場合は、救急要請を検討してください。
この記事を書いた医師
うらマイハートクリニック院長 浦 祐次郎
(循環器専門医・総合内科専門医・TAVI実施医/指導医・心血管インターベンション治療学会認定医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士)
循環器専門医院長 浦 祐次郎から一言▶ 総合内科専門医(院長 浦祐次郎)からの一言 咳や息切れは、肺がん以外にも、かぜ、喘息、COPD、心不全など多くの原因で起こります。ただし、症状が長く続く、血痰が出る、健診で影を指摘された場合は、原因を確認することが大切です。必要に応じてCTや専門医療機関への紹介につなげます。
肺がんとは
肺がんは、肺や気管支の細胞から発生するがんです。組織の特徴によって、非小細胞肺がんと小細胞肺がんに大きく分けられます。非小細胞肺がんには、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなどが含まれます。治療方針は、がんの種類、遺伝子変化、病気の広がり、呼吸機能や心臓・腎臓の状態などをもとに決められます[1][2]。
肺がんは喫煙と強い関係がありますが、喫煙経験がない方にも起こります。受動喫煙、年齢、職業上の粉じん・化学物質への曝露、家族歴などが関係することがありますが、原因を一つに特定できない場合もあります。喫煙されている方では禁煙が重要ですが、禁煙後も健診や症状の確認を続けることが大切です[3][4]。
肺がんの症状
早期肺がんでは症状がないこともあります。以下の症状があっても肺がんとは限りませんが、長引く場合や悪化する場合には、胸部レントゲンやCTによる確認を検討します。
| 主な症状 | 注意したい変化 |
|---|---|
| 咳 | 2〜3週間以上続く、徐々に強くなる、声がかすれる |
| 痰・血痰 | 痰に血が混じる、繰り返す、量が増える |
| 息切れ・息苦しさ | 以前より少ない動作で息が切れる、横になると苦しい |
| 胸痛・背中の痛み | 深呼吸や咳で強くなる、安静でも続く |
| 発熱・だるさ | 原因の分からない微熱や強い倦怠感が続く |
| 体重減少・食欲低下 | 意図しない体重減少が続く |
肺がんでは、がんによる気管支の狭窄や肺炎、胸水、神経への影響などにより症状が出ることがあります。しかし、これらの症状は肺炎、喘息、COPD、心不全、胃食道逆流症などでも起こります。症状だけで自己診断せず、経過と検査をもとに判断します[5]。
肺がんの検査
胸部レントゲン・胸部CT
胸部レントゲンは、健診や一般診療で行われる基本的な検査です。肺の大きな影、肺炎、胸水などを確認できますが、小さな病変や重なり合う場所の病変は分かりにくいことがあります。
胸部CTでは、肺の影をより細かく確認します。結節の大きさ、形、内部の性状、リンパ節の腫れ、胸水の有無などを評価します。造影CTを行う場合は、腎機能、造影剤アレルギー、糖尿病薬などの内服状況を確認します[1][6]。
気管支鏡検査・組織検査
肺がんの確定診断には、病変の組織や細胞を採取して調べる病理検査が必要になることがあります。気管支鏡検査では、口や鼻から細い内視鏡を気管支へ入れ、病変の近くから組織や細胞を採取します。病変の場所によっては、CTガイド下生検や胸腔鏡による生検を行うこともあります[6][7]。
検査には出血、気胸、感染、鎮静薬に関する注意点があります。検査の必要性とリスクを比較し、専門医療機関で検討します。
病期を調べる検査
肺がんが疑われる場合、病気が肺の中にとどまっているか、リンパ節やほかの臓器へ広がっているかを調べます。造影CT、PET-CT、頭部MRI、骨の検査などを、がんの種類や病状に応じて行います。すべての検査を全員に行うわけではありません[1][7]。
遺伝子検査・バイオマーカー検査
非小細胞肺がんでは、EGFR、ALK、ROS1、BRAF、MET、RET、KRASなどの遺伝子変化や、PD-L1の発現などを調べることがあります。検査結果は、分子標的薬や免疫療法を含む薬物療法を選ぶ重要な情報になります[1][8]。
肺がんの治療
肺がんの治療は、病期、組織型、遺伝子変化、年齢、体力、呼吸機能、心臓や腎臓の状態、本人の希望などを踏まえ、多職種・専門医療機関で検討します。代表的な治療には、手術、放射線治療、薬物療法があります[1][2]。
手術
手術は、主に早期の非小細胞肺がんで検討されます。がんの位置や広がりに応じて、肺葉切除、区域切除、部分切除などを行います。術前には、肺機能、心機能、腎機能、体力などを評価し、手術に耐えられるかを確認します。
放射線治療
手術が難しい早期肺がんでは、定位放射線治療などが検討されることがあります。また、局所に進行した肺がんや、痛みなどの症状を和らげる目的でも放射線治療を行います。治療部位によっては、肺炎、食道炎、皮膚の変化などの副作用に注意が必要です。
薬物療法
薬物療法には、細胞障害性抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などがあります。遺伝子変化やPD-L1の検査結果により、治療薬の候補が変わります。薬によっては、発熱、下痢、皮膚症状、肝機能障害、腎機能への影響、間質性肺炎などに注意が必要です[1][9]。
たとえば、非扁平上皮非小細胞肺がんでは、ペムブロリズマブとカルボプラチン、ペメトレキセドを組み合わせる治療が検討されることがあります。ただし、実際の治療薬・投与量・治療期間は、病期、遺伝子検査、全身状態、臓器機能などにより専門医が判断します[10]。
治療中・治療後に大切なこと
肺がんの治療中は、息切れ、咳、食欲、体重、発熱、痛みなどの変化を早めに伝えることが大切です。抗がん薬や免疫療法では、治療開始後しばらくしてから肺炎、腸炎、内分泌異常などが起こることがあります。自己判断で市販薬を追加したり、処方薬を中止したりせず、治療を受けている医療機関へ相談してください。
治療後は、再発の確認だけでなく、呼吸機能、心臓病、腎臓病、糖尿病、栄養状態、体力の管理も重要です。手術後や治療後に体力が落ちた場合は、無理のない歩行や呼吸訓練などを、主治医の指示に従って少しずつ行います。
喫煙されている方は、治療中・治療後も禁煙を続けることが重要です。禁煙が難しい場合には、禁煙外来や薬物療法を含めて相談してください。受動喫煙も避けるようにしましょう。
循環器専門医院長 浦 祐次郎から一言▶ 総合内科専門医(院長 浦祐次郎)からの一言 肺がんの診断や治療では、肺だけでなく心臓・腎臓などの持病や、普段飲んでいる薬も治療の選択に関わります。特に息切れは、肺の病気だけでなく心不全などでも起こります。症状を一つの病気に決めつけず、全身の状態を確認しながら必要な専門診療につなげます。
肺がん検診と早期発見
日本の対策型肺がん検診では、主に胸部レントゲン検査が行われます。喫煙歴の強い方では、喀痰細胞診が追加されることがあります。近年は低線量CTによる肺がん検診についても研究と指針の整備が進んでいますが、対象者、利益、不利益、偽陽性、追加検査の可能性などを理解したうえで受けることが重要です[11][12]。
健診を受けていても、血痰、長引く咳、息切れ、胸痛などの症状がある場合は、次の健診まで待たずに受診してください。逆に、症状がない方が必要以上に頻繁なCTを受けることにも、被ばくや偶発的な所見による負担があります。年齢、喫煙歴、既往歴などに応じて、検査の必要性を相談しましょう。
すぐに救急要請を検討する症状
- 安静にしていても強い息苦しさがある
- 会話が続けられないほど呼吸が苦しい
- 多量の血を咳とともに出す
- 持続する強い胸痛や胸の圧迫感がある
- 意識がもうろうとする、唇や爪が紫色になる
- 片側の手足が動かしにくい、言葉が出にくい
上記のような症状がある場合は、外来予約や健診結果の確認を待たず、119番で救急要請してください。
よくある質問
咳の原因は、かぜ、気管支炎、喘息、アレルギー性鼻炎、胃食道逆流症、COPD、心不全など多岐にわたります。咳が続くことだけで肺がんとは決まりませんが、2〜3週間以上続く、血痰がある、息切れや体重減少を伴う場合は受診してください。
胸部レントゲンで見つかる肺がんもありますが、小さな病変や重なった場所の病変は分かりにくいことがあります。異常が疑われる場合にはCTで詳しく確認します。CTで影が見つかっても、確定診断には組織検査が必要になることがあります。
家族歴が肺がんのリスクに関係する場合はありますが、肺がんのすべてが遺伝するわけではありません。家族に肺がんの方がいる場合は、喫煙歴、受動喫煙、症状、健診結果なども含めて相談してください。家族歴だけで検査の必要性が決まるわけではありません。
治療の見通しは、肺がんの種類、病期、遺伝子変化、全身状態などによって大きく異なります。早期であれば手術や放射線治療による根治を目指す治療が検討されます。進行している場合でも、薬物療法などにより病気をコントロールし、症状や生活の質に配慮した治療を行います。
胸部レントゲンやCTは通常痛みを伴いません。採血では針を刺す痛みがあります。気管支鏡や組織検査では、のどの違和感、咳、出血、気胸などの可能性があり、必要に応じて鎮静薬を用いることがあります。検査前に、目的と注意点について説明を受けてください。
体力や治療内容によって異なります。発熱、強い息苦しさ、貧血、胸痛があるときは休み、主治医へ相談してください。状態が安定している場合は、歩行などの軽い活動が体力維持に役立つことがあります。自己判断で強い運動を始めず、治療チームの指示に従ってください。
福岡市で肺がんが心配な症状・健診異常の相談なら|うらマイハートクリニックの特徴
うらマイハートクリニック(福岡市早良区藤崎・原)は、内科・循環器内科・腎臓内科・呼吸器内科を診療しています。長引く咳、痰、息切れ、血痰、健診での胸部異常などについて、診察、胸部レントゲン、血液検査、64列CTを用いた評価に対応します。
- 症状、喫煙歴、健診結果、過去画像を総合して評価します。
- CTで精査が必要な肺の影・肺結節について、画像所見に応じた方針をご説明します。
- 肺がんが疑われ、気管支鏡、生検、PET-CT、手術、放射線治療、薬物療法などが必要な場合は、適切な専門医療機関へご紹介します。
- 心臓病・腎臓病・糖尿病などの持病、抗血小板薬・抗凝固薬などの内服を踏まえ、検査や治療前の全身管理にも配慮します。
咳や血痰が続く方、健診で肺の影を指摘された方、肺がんの精査について相談したい方は、福岡市早良区のうらマイハートクリニックまでご相談ください。
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参考文献
[3] 国立がん研究センター がん情報サービス.たばこと健康
[4] 国立がん研究センター がん対策研究所.有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン2025年度版
[6] 国立がん研究センター がん情報サービス.肺がん 検査
[7] 国立がん研究センター がん情報サービス.肺がん 治療
[8] 日本肺癌学会.肺癌診療ガイドライン2025年版:バイオマーカー検査・薬物療法
[10] キイトルーダ点滴静注100mg 医薬品情報:カルボプラチン・ペメトレキセド併用療法