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慢性咳嗽(長引く咳)

慢性咳嗽(長引く咳)の症状・原因・検査・治療を解説|福岡市早良区

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「風邪は治ったのに咳だけ残る」「夜中に咳で目が覚める」「市販の咳止めが効かない」。長引く咳は、仕事や会話、睡眠にも影響します。熱がなくても治療が必要なことがあり、咳の続く期間だけでなく、痰や息苦しさ、出やすい場面が原因を探す手がかりになります。

咳が8週間以上続く状態を慢性咳嗽(まんせいがいそう)と呼びます。ただし、受診を8週間まで待つ必要はありません。この記事では成人の長引く咳について、症状と原因、受診先、検査の順番、治療を説明します。当院で測定できるFeNOについても、何が分かる検査なのかを詳しく紹介します。

【この記事の要点】

  • 慢性咳嗽は、咳が8週間以上続く状態です。眠れない、仕事に支障がある場合は、その期間まで待たずに相談しましょう。
  • 原因には咳喘息、鼻や副鼻腔の病気、胃酸の逆流、薬の影響などがあり、複数が重なることもあります。
  • 胸部画像や呼吸機能検査などで原因を調べます。FeNOは気道の炎症をみる補助検査で、単独で病名は決まりません。
  • 咳止めだけでなく原因に合った治療が大切です。息切れやむくみが重なる場合は、心臓の病気も確認します。

この記事を書いた医師

うらマイハートクリニック院長 浦 祐次郎

(循環器専門医・総合内科専門医・TAVI実施医/指導医・心血管インターベンション治療学会認定医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士)

循環器専門医
院長 浦 祐次郎から一言
▶ 総合内科専門医(院長 浦祐次郎)からの一言 「風邪のあとだから、そのうち治る」と我慢していませんか。咳で眠れない、電話や会話がつらいといった困りごとも、受診する理由になります。いつから、どんな場面で咳が出るかをメモしていただくと、原因を考える助けになります。

咳が続くときの症状と受診の目安

熱がないのに咳が続く場合

熱がなくても、感染後咳嗽、咳喘息、鼻や副鼻腔の病気、胃食道逆流、薬の副作用などが考えられます。夜間や明け方、冷たい空気、会話や運動で咳が出る場合は、その場面を診察で伝えてください。症状の出方だけで、咳喘息などの病名を決めることはできません。

痰が出る咳と胸が痛む咳

痰が絡む咳では、痰の量・色・血の混じり方、鼻づまりや喫煙歴も確認します。黄色や緑色という理由だけで、細菌感染や抗菌薬の必要性は判断できません。毎日多い痰が出る場合は、慢性気管支炎や気管支拡張症などの評価も必要です。

咳を繰り返して胸の筋肉が痛むこともありますが、急な強い胸痛や息苦しさを「咳のしすぎ」と決めつけないでください。肺や心臓の病気が原因のこともあります。

長引く咳が心不全のサインであることも

咳というと肺や気管支の病気を思い浮かべますが、心不全が原因のこともあります。心臓の働きが低下して肺の血管に血液がうっ滞し、水分がたまると、咳や息苦しさが現れます。風邪薬や咳止めを使っても改善しない咳では、心臓にも目を向けることが大切です[8]。

特に「横になると咳や息苦しさが強まり、上体を起こすと楽になる」「夜中に息苦しくて目が覚める」「以前より階段で息が切れる」「足がむくむ」「短期間で体重が増えた」といった変化があれば、心不全の可能性も考えます。咳だけで心不全とは診断できませんが、これらを伴う場合は早めにご相談ください[8]。

肺と心臓の両面から原因を調べる

長引く咳に息切れやむくみが重なるときは、呼吸器の評価に加えて、循環器の評価も受けられる医療機関が相談先の一つになります。当院では循環器専門医が診療し、FeNOなどによる気道の評価と、必要に応じた心電図・心エコー・BNPなどの血液検査を組み合わせ、肺と心臓の両面から原因を検討します。心エコーでは心臓の動きや弁の状態を調べ、BNPは心臓への負担を判断する手がかりになります[9]。

咳が続くときは何科を受診するか

長引く咳は内科・呼吸器内科で相談できます。息切れやむくみ、横になると苦しいといった症状を伴う場合は、循環器内科での評価も役立ちます。鼻づまりや声のかすれが目立つ場合は耳鼻咽喉科、胸やけなどが関係する場合は消化器内科と連携します。どの科か迷う場合も、まずは当院へご相談ください。

咳が長引く原因 風邪の後だけとは限らない

咳は続く期間によって、3週間未満の急性咳嗽、3週間以上8週間未満の遷延性咳嗽、8週間以上の慢性咳嗽に分けます。期間は原因を考える目安であり、重症度そのものを示す分類ではありません[1][2]。

原因 よくみられる手がかり
感染後咳嗽 風邪などの後に咳だけ残る。徐々に軽くなることが多い
咳喘息や喘息など 夜間・明け方、冷気、会話や運動で出る咳。ゼーゼーしないこともある
アトピー咳嗽・喉頭アレルギー 痰の少ない咳、のどのイガイガ感。アレルギーの体質が手がかりになることもある
鼻や副鼻腔の病気 鼻づまり、鼻水、のどに鼻水が流れる感じ。痰を伴うこともある
胃食道逆流 胸やけ、酸っぱいものが上がる、食後や横になったときの咳
喫煙や気道の病気 長い喫煙歴、日常的な痰、息切れ。COPDや気管支拡張症など
薬剤性の咳 ACE阻害薬という種類の降圧薬などを開始後に出る咳

複数の原因が重なっている場合もあります。肺炎、結核、肺がん、間質性肺疾患、心不全などを見逃さないことも重要です。咳が続くことだけで肺がんとはいえませんが、血痰、体重減少、喫煙歴などがあれば検査の判断に役立ちます[1][2][3]。

感染後咳嗽はなぜ続くのか

風邪などの感染後に、気道が刺激に敏感な状態となり、咳が数週間残ることがあります。多くは時間とともに改善しますが、百日咳などの感染症や、感染をきっかけに目立った喘息との区別が必要です。8週間を超えた場合や悪化する場合は、感染後と決めつけず再評価します[1][5]。

咳喘息とアトピー咳嗽など

咳喘息は、典型的なゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴を伴わず、咳が主な症状となる病気です。呼吸機能が正常な場合もあります。好酸球という白血球が関わる気道の炎症では吸入ステロイドが役立つことがありますが、こうした炎症があることと、咳喘息であることは同じではありません。検査と治療経過を合わせて判断します[2][3][4]。

アトピー咳嗽や喉頭アレルギーも、痰の少ない咳やのどのイガイガ感の原因になります。咳喘息とは薬への反応が異なり、抗ヒスタミン薬が中心となることがあります。症状だけで区別せず、検査と治療の反応を合わせて判断します[1]。

咳喘息の治療や吸入薬の続け方については、別コラム「咳喘息」でも詳しく説明しています。

鼻の病気と逆流が関係する咳

鼻炎や副鼻腔炎では、鼻水や上気道の刺激が咳に関係します。一方、副鼻腔気管支症候群は慢性副鼻腔炎と慢性の気管支の病気が併存する状態で、単に鼻水が気管支に流れ込む病気ではありません。鼻とのどだけでなく、痰や肺の状態も調べます。

胃食道逆流では、胃の内容物の逆流が咳に関係することがあります。胸やけがない例もありますが、咳だけを理由に胃酸を抑える薬を全員に使用するわけではありません[2][3]。

長引く咳の検査 何をどの順番で調べるか

基本は、危険な病気を確認したうえで、症状と検査から可能性を絞ることです。以下は代表的な流れで、すべてを順番に別の日に行うわけではありません。同日に組み合わせる検査もあり、緊急性や感染の疑いによって順番を変えます[1][2][3]。

1 問診と診察で緊急性と手がかりを確認

咳が始まった時期、乾いた咳か痰が絡むか、発熱・息切れ・胸痛・鼻症状・胸やけを確認します。診察では呼吸音を聴き、必要に応じて指先で酸素の値(SpO₂)を測ります。酸素が低い場合や呼吸状態が悪い場合は、通常の外来検査より緊急対応を優先します。

喫煙・加熱式たばこの使用、職場の粉じん、ペット、家族や周囲の咳、結核との接触歴も伝えてください。「夜中に何回起きるか」「どの場面で咳が出るか」も役立ちます。

2 胸部レントゲンなどで肺の状態を確認

慢性咳嗽の基本評価では胸部レントゲンを行い、肺炎、結核、腫瘍を疑う影、心臓の拡大などを確認します。正常でも、小さな病変や咳喘息などをすべて否定できるわけではありません。血液検査は、血球数や好酸球を基本に、炎症反応などを必要に応じて追加します[1][2][3]。

3 FeNOと呼吸機能検査で気道の炎症と空気の通りを評価

胸部画像だけでは分からない気道の特徴を調べます。FeNOとスパイロメトリーを同日に行う場合、強く息を吐く操作が測定値に影響する可能性があるため、原則としてFeNOを先に測定します [4][6]。

検査 方法と分かること 限界や注意点
FeNO
呼気一酸化窒素
一定の速さで機器に息を吐く。好酸球性の気道炎症を推定する 高値だけで咳喘息とは診断できず、低値でも否定できない
スパイロメトリー
呼吸機能検査
大きく吸ってから勢いよく息を吐き、空気の通りにくさなどを測る 正常でも咳喘息は否定できない。咳が誘発されることがある
気管支拡張薬への反応 必要な場合、薬の吸入前後で呼吸機能の変化を確認する 改善は喘息を支持するが、反応がない1回の検査だけで否定しない
血液の好酸球やIgE 好酸球数や、必要に応じて特定のアレルゲンへの反応を調べる アレルギー検査が陽性でも、その物質が咳の原因とは限らない

当院で行うFeNO検査を詳しく知る

FeNO(呼気一酸化窒素濃度)は、吐く息に含まれる一酸化窒素を測り、気道にアレルギー性の炎症があるかを調べる検査です。スタッフの合図に合わせて一定の速さで息を吐くだけで、痛みはなく、数分程度で終わります[1][4]。

値が高いと、喘息や咳喘息を考える手がかりになります。ただし、この検査だけで病名は決まりません。吸入薬、喫煙、鼻炎などの影響で値が変わり、喘息でも低いことがあります。症状や呼吸機能検査、胸部画像、治療への反応などを合わせて判断します。

日本人成人の研究をもとにしたFeNOの目安 読み方
22 ppb未満 喘息を支持する力は低めですが、喘息・咳喘息を否定できません。吸入ステロイド使用中や喫煙では低くなることがあります。
22〜36 ppb 喘息・咳喘息を疑う手がかりです。症状、鼻炎の有無、喫煙、呼吸機能、治療歴などと合わせて判断します。
37 ppb以上 日本人健常成人の上限を超える値で、好酸球性気道炎症や喘息を強く支持します。ただし、FeNOだけでは確定診断になりません。
循環器専門医
院長 浦 祐次郎から一言
▶ 総合内科専門医(院長 浦祐次郎)からの一言 「FeNOが低ければ喘息ではない」とは限りません。喘息・咳喘息でも低値を示すことがあるため、咳の出方や呼吸機能検査、吸入薬への反応などを総合して判断します。

4 基本検査の結果に応じて追加検査を選ぶ

状況 追加することがある検査と目的
影がある 血痰や多い痰が続く 治療しても改善しない 胸部CTで、レントゲンでは分かりにくい病変、気管支拡張症、間質性肺疾患などを確認
感染症が疑われる 痰の培養や抗酸菌検査、経過に合った百日咳などの検査。結核が疑われる場合は感染対策も行う
鼻症状や声の変化が目立つ 耳鼻咽喉科で鼻・副鼻腔・喉頭を評価。必要に応じて内視鏡や画像検査
喘息が疑わしいが判断がつかない 専門施設で気道過敏性検査、誘発痰による好酸球評価などを検討
逆流が疑われ治療に反応しない 消化器内科で必要に応じて食道の酸や逆流を測る検査などを検討
横になると苦しい むくみや息切れがある 心電図、BNPなどの採血、心エコーで心不全などを評価

5 治療の反応を確認し 診断と方針を見直す

検査で病名が一度に決まらないこともあります。疑う原因に対する治療を行い、咳の強さ、夜間の目覚め、生活への支障がどう変化したかを確認します。咳喘息では、吸入薬を開始して早い段階から症状や使い方を確認し、2〜3か月後を目安に治療の強さや継続方針を見直します。悪化した場合は、その時期まで待たずに受診してください[1:pp.109–111]。

薬で改善したことは診断の手がかりですが、それだけで原因が確定するとは限りません。効かない場合には、吸入の方法や使用状況を確認するとともに、別の原因や原因の重なりを考えます。効果がない薬を理由なく長期間続けるのではなく、次の評価時期と中止・変更の方針を相談します。

慢性咳嗽の治療 咳止めだけで改善しない理由

咳止めはつらい症状を和らげる目的で使いますが、原因に応じた治療も必要です。乾いた咳と、痰を出す必要がある咳では対応が異なります。市販薬が効かないときに量を増やしたり、成分の重なる風邪薬を併用したりせず、ご相談ください。

原因に合わせた治療

慢性咳嗽は、原因によって治療が異なります。複数の原因が重なることもあるため、治療後の変化を確認しながら薬の継続・変更を判断します。

疾患・状態 主な治療 見直しの目安・注意
咳喘息 吸入ステロイド(ICS)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)の配合吸入薬が基本です。症状が軽い場合はICS単独なども選択します。 吸入方法を早めに確認し、2〜3か月後を目安に治療の強さを見直します。改善しても自己判断で中止しません[1:pp.109–111]。
アトピー咳嗽 H1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬)を使用します。 2週間程度で十分に改善しなければ、吸入ステロイドの追加などを検討します[1:pp.119–120]。
感染後咳嗽 多くは自然に軽快します。つらい場合は、中枢性鎮咳薬、H1受容体拮抗薬、吸入抗コリン薬、麦門冬湯などを症状に応じて検討します。 すべての方に有効と確認された治療ではありません。喘息がなければ、ICS・気管支拡張薬・モンテルカストを一律には使用しません。病原体が排除された後は抗菌薬も不要です[1:pp.79–80, 210–211]。
鼻炎・副鼻腔炎
副鼻腔気管支症候群
鼻炎・副鼻腔炎は病態に応じて治療します。副鼻腔気管支症候群では、マクロライド系抗菌薬の少量長期療法などを選択します。 副鼻腔気管支症候群では、通常4〜8週間を目安に鼻症状・咳・痰への効果を確認します[1:pp.86–87]。
胃食道逆流症 食べ過ぎを避ける、就寝前の食事を控えるなどの生活調整を行い、胸やけや検査所見などに応じて胃酸を抑える薬を検討します。 咳の改善に2〜3か月かかる場合があります。改善傾向がなければ別の原因や治療を再評価します[1:pp.128–130][2][3]。
ACE阻害薬による咳 処方医と相談して、原因となる降圧薬の変更を検討します。 中止後は通常1〜4週間で軽快しますが、3か月程度かかることもあります。降圧薬を自己判断で中止しません[1:pp.141–142]。
痰のある咳・細菌感染 痰を出す必要がある咳では、原因を調べて喀痰調整薬などを検討します。細菌感染が確認された、または強く疑われる場合に抗菌薬を使用します。 中枢性鎮咳薬は、痰の排出を妨げるため原則使用しません。咳が長いという理由だけで抗菌薬を続けません[1:pp.36–38]。

咳止めは、主に痰の少ない乾いた咳で、睡眠や生活への支障が大きい場合に検討します。

原因を治療しても続く難治性の咳

必要な評価と治療をしても咳が続く場合、咳を起こす神経が過敏になっている状態が関係することがあります。香り、会話、冷気などで咳が出やすくなることがありますが、「気のせい」やストレスだけの問題ではありません。専門医と連携し、原因の再評価や咳をコントロールする訓練、薬物療法を検討します[1][2][3]。

国内では難治性の慢性咳嗽に、P2X3受容体拮抗薬のゲーファピキサント(リフヌア)が使用されます。一般的な咳止めとして最初から使う薬ではなく、味が分かりにくいなどの副作用と効果を比較して判断します。通常の成人用量は1回45 mgを1日2回ですが、重度の腎機能障害では調整が必要です[7]。

日常生活でできる対処

禁煙し、受動喫煙や強い香り、ほこりなど、咳のきっかけとなる刺激を減らしましょう。のどが乾燥する場合は、無理のない範囲で水分をこまめにとり、室内の乾燥を避けます。加湿器は清潔に保ち、過度の加湿によるカビにも注意してください。

逆流が関係する方は、食べ過ぎを避け、就寝前3時間は食事を控えることが目安です。飲酒や脂っこい食事などで悪化する場合は量や時間を調整しましょう。特定の食品やサプリメントだけで慢性咳嗽が治るという十分な根拠はありません[1]。

よくある質問

Q慢性咳嗽は治りますか 一生薬が必要ですか

A

原因によって異なります。原因が解消し、改善後に薬が不要になることもあります。咳喘息では再発を防ぐため、症状が消えても吸入治療を続けることがあります。通年性の咳などでは、2〜3か月ごとに状態を確認して薬を減らし、治療開始1〜2年後に少量の吸入薬で無症状なら中止を検討する考え方が示されています。ただし、全員に同じ期間の治療が必要という意味ではありません。慢性咳嗽という言葉だけで、一生薬が必要と決まるわけではありません[1:p.111]。

Q咳が続いていても運動してよいですか

A

発熱や息苦しさ、胸痛、血痰がある間は運動を控えて受診してください。状態が安定していれば、咳が強くならない軽い運動から始めます。運動や冷気で咳が誘発される場合は、喘息などの評価や治療の調整が必要なことがあります。

Q食事で気をつけることはありますか

A

食事中にむせる場合は、飲み込みの問題がないか相談してください。逆流がある場合は食べ過ぎや就寝直前の食事を避けます。食物アレルギーが確認されていないのに、咳を理由に多くの食品を除去する必要はありません。

Q家族歴や遺伝は関係しますか

A

慢性咳嗽そのものが一つの遺伝病というわけではありません。喘息やアレルギーのなりやすさには体質が関わります。家族にも喘息がある、同居家族に同じ時期から咳がある、といった情報は、体質・感染・生活環境を考える手がかりになります。

Q検査は痛いですか 入院が必要ですか

A

FeNOと呼吸機能検査は息を使う検査で、針を刺す痛みはありません。ただし、息を吐く操作で咳や一時的な疲れが出ることがあります。採血には針の痛みがあります。通常の評価は外来で進めますが、呼吸状態が悪い場合や特殊な検査では入院が必要になることがあります。

Qどの症状なら救急車を呼びますか

A

強い息苦しさで会話ができない、唇が青紫色、意識がおかしい、急な強い胸痛、多量の喀血がある場合は119番で救急要請してください。少量でも血痰が初めて出た場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

Qストレスが原因でしょうか 人にうつりますか

A

ストレスで咳の感じ方や頻度が変わることはありますが、必要な診察や検査をせずに心因性と決めつけません。また、咳が長いこと自体は感染性の有無を示しません。喘息や逆流はうつりませんが、百日咳や結核などが原因のこともあり、経過と検査で判断します。

福岡市で慢性咳嗽・長引く咳の診療なら|うらマイハートクリニックの特徴

うらマイハートクリニック(福岡市早良区藤崎・原)は、内科・循環器内科・腎臓内科・呼吸器内科を診療し、心臓リハビリテーションにも対応するクリニックです。

院長(浦 祐次郎)は、循環器専門医・総合内科専門医・心血管インターベンション治療学会認定医・TAVI実施医/指導医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士として、九州医療センターで13年間、小倉記念病院で1年半にわたり、重症心疾患の診療に従事してきました。副院長の浦 雅紀子は腎臓内科医として、福岡山王病院で約5年間、九州医療センターで6年間にわたり、心腎連関を踏まえた包括的な腎臓病診療に従事してきました。

現在はうらマイハートクリニックにて内科医2名体制で円滑な診療に努めています。

  • 院内での迅速な検査体制:BNPなど含む当日結果のわかる多様な血液検査、心臓を含む各種エコー検査、総合病院レベルの64列CT(冠動脈CT含む)に対応。
  • 治療後のサポート:心臓リハビリ施設「ReHeart Gym」で専門スタッフが体力回復・再発予防を支援。
  • 通いやすい診療体制:診療開始は8時30分から、水曜は20時まで診療。駐車場11台完備。発熱症状のある方の専用入口あり。

咳が長引く方、咳で睡眠や仕事に支障がある方、咳止めで改善せず原因を調べたい方は、福岡市早良区のうらマイハートクリニックまでお気軽にご相談ください。

補足:専門的内容

FeNOの基準値と解釈

日本人(成人)の研究では、未治療喘息と非喘息を分けるカットオフ値として22 ppb(感度90.8%、特異度83.9%)が報告されています。また、日本人健常成人のFeNOは平均16.9 ppb、95%予測区間6.5〜35.0 ppbで、平均+2標準偏差による上限は36.8 ppbでした[1:pp.27–28][14][15]。

慢性咳嗽の診療では、日本の2025年版ガイドラインは30 ppb前後以上を咳喘息に特異度の高い所見としていますが、低値例も少なくないため、低い値だけで喘息・咳喘息を除外することはできません[1:pp.23, 27–28]。なお、ATSは成人を25 ppb未満、25〜50 ppb、50 ppb超に区分していますが、これは好酸球性気道炎症とステロイド治療への反応性を評価するための別の目安です[4]。

結果に影響する要因

FeNOは、主に好酸球という白血球が関わる気道の炎症を反映する検査です。喘息の有無そのものを測る検査ではないため、喘息がなくても高くなる場合や、喘息・咳喘息でも低くなる場合があります。喘息の診断という意味では、それぞれ「偽陽性」「偽陰性」に相当しますが、必ずしも測定の誤りではありません[4]。

FeNOの結果 主な状況 結果の考え方
喘息がなくても
高くなることがある
アレルギー性鼻炎やアトピー素因、花粉・ダニなどへの曝露 アレルギーの体質や季節によって高くなることがあり、高値だけで咳の原因を喘息と決められません。
喘息がなくても
高くなることがある
非喘息性好酸球性気管支炎、好酸球性炎症を伴う一部のCOPD 喘息以外の病気でも、FeNOが反映するタイプの気道炎症が起こります。
喘息でも
低くなることがある
吸入ステロイドや、飲み薬・注射のステロイドによる治療中 治療で炎症が抑えられている可能性があり、低値だから喘息ではないとはいえません。
喘息でも
低くなることがある
喫煙している 喫煙で値が低くなり、気道の炎症を過小評価することがあります。
喘息でも
低くなることがある
好酸球性炎症が目立たないタイプの喘息、炎症が落ち着いている時期 喘息でも炎症のタイプや測定時期によっては、高値を示さないことがあります。

測定時の息の吐き方や流量、鼻からの一酸化窒素の混入など、測定条件も値に影響します。検査はスタッフの案内に従い、喫煙歴、花粉症などのアレルギー、現在使っている吸入薬や飲み薬をお伝えください。検査のために自己判断で薬を中止する必要はありません[4]。

治療後の評価

治療後の変化を見る場合も、数値だけで薬を増減するのではなく、咳・睡眠・日常生活の改善と合わせて評価します。

当院では、FeNOの数値だけで病名を決めず、症状、呼吸機能検査、胸部画像、治療歴などと合わせて判断します。心不全が疑われる場合は、症状や診察所見に応じて心エコーや血液検査などで別に評価します。

病態 基本的な対応 期間・注意点
基本評価・BDテスト 胸部画像、スパイロメトリー、気管支拡張薬反応性検査などを行う BDテストの具体的な方法はCOPDのコラムを参照
咳喘息 基本は中用量ICS/LABA。軽症では中用量ICS単剤も選択肢となる。改善不十分なら吸入手技・服薬状況・併存症を確認し、LTRAやLAMAの追加を検討する 具体的な治療量、減量方法、治療期間は咳喘息のコラムを参照
アトピー咳嗽 H1受容体拮抗薬を第一選択とし、約2週間で効果不十分ならICSを検討する 全例にICS/LABAを使用する病態ではない[1:pp.119–120]
感染後咳嗽 多くは自然軽快する。生活への支障が大きい場合に、鎮咳薬、H1受容体拮抗薬、吸入抗コリン薬、麦門冬湯などを検討する 共通の標準用量・治療期間は定められていない。改善しない場合は診断を再評価する[1:pp.79–80]
副鼻腔気管支症候群(SBS) 14・15員環マクロライド系抗菌薬の少量長期療法を行う 4~8週間で効果を判定するが、改善に3~6か月かかる場合がある。長期投与前に肺MAC症などを除外する[1:pp.86–87]
GERDに伴う咳 胸やけ・胃酸逆流などがある患者を選び、PPIを検討する 咳の改善に2~3か月かかることがある。効果がなければ非酸性逆流や別の原因を再評価する[1:pp.128–129]
難治性慢性咳嗽 原因疾患を十分に評価・治療しても残る場合は、ゲーファピキサントや咳をコントロールする訓練を検討する 味覚障害などの副作用と効果を定期的に評価する[1:pp.150–153]

咳喘息の治療量と治療期間

治療薬の具体的な用量、減量方法、治療期間については、咳喘息のコラムを参照してください。

感染後咳嗽に用いられる主な薬剤

薬剤群・代表例 ガイドライン上の位置づけ
中枢性鎮咳薬:デキストロメトルファン(メジコン)など 原因治療を優先し、使用は必要最小限とする。使用する場合は非麻薬性を先に検討する。湿性咳嗽には原則使用しない
H1受容体拮抗薬:オキサトミドなど 併用療法の報告があるが、すべてのH1受容体拮抗薬に同等の有効性が確認されているわけではない
吸入抗コリン薬:イプラトロピウム(アトロベント) 小規模RCTで改善報告があるが、エビデンスの確実性は非常に低く、推奨度は決定不能
漢方薬:麦門冬湯 改善報告はあるが、非盲検試験など研究上の限界があり、全例への強い推奨ではない

感染後咳嗽に対する薬物療法には、共通の標準用量や治療期間は示されていません。イプラトロピウムの「3週間」や麦門冬湯の「4~5日」は研究期間・評価時期であり、推奨治療期間ではありません[1:pp.40–41, 80, 210–211]。

以下の点にも注意します。

  • 病原体が排除された感染後咳嗽には、抗菌薬を使用しない
  • 百日咳やマイコプラズマなど、感染が持続している病態は別に診断・治療する
  • 喘息のない感染後咳嗽にLTRAは推奨されない
  • チオトロピウムの喘息性咳嗽に対する推奨を、感染後咳嗽へそのまま適用しない
  • 8週間を超える、悪化する、湿性咳嗽が続く場合は、咳喘息、気管支拡張症、GERDなどを再評価する
  • ゲーファピキサント(リフヌア)は、通常の感染後咳嗽に最初から使用する薬ではない

なお、原因不明の慢性咳嗽にICSを漫然と使用しないというCQ1の推奨は、喘息・咳喘息に対するICS治療を否定するものではありません[1:pp.202–204]。

主な薬剤の用量例

  • SBS:エリスロマイシン(エリスロシン)600mg/日、またはクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)400mg/日[1:pp.86–87]
  • 逆流性食道炎:エソメプラゾール(ネキシウム)20mgを1日1回、通常8週間まで
  • 非びらん性GERD:エソメプラゾール10mgを1日1回、通常4週間まで。開始約2週間後に効果を確認する[11]
  • 難治性慢性咳嗽:ゲーファピキサント(リフヌア)45mgを1日2回。eGFR 30mL/min/1.73m²未満で透析を必要としない患者では45mgを1日1回とする[7]

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参考文献

[1] 日本呼吸器学会. 咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 第2版2025.
参照箇所:pp.22–28(診断・検査)、36–41(咳嗽治療薬・鎮咳薬・麦門冬湯)、79–80(感染後咳嗽)、86–87(SBS)、108–111(咳喘息)、119–120(アトピー咳嗽)、128–130(GERD)、141–142(ACE阻害薬)、150–153(難治性慢性咳嗽)、202–213(CQ1〜3-2)。ページは書籍の印刷ページ。

[2] Parker SM, et al. British Thoracic Society Clinical Statement on chronic cough in adults. Thorax. 2023;78(Suppl 6):s3–s19. doi:10.1136/thorax-2023-220592.
[3] Morice AH, et al. ERS guidelines on the diagnosis and treatment of chronic cough in adults and children. Eur Respir J. 2020;55:1901136. doi:10.1183/13993003.01136-2019. 成人の記述を参照.
[4] Dweik RA, et al. An Official ATS Clinical Practice Guideline: Interpretation of Exhaled Nitric Oxide Levels for Clinical Applications. Am J Respir Crit Care Med. 2011;184:602–615. doi:10.1164/rccm.9120-11ST.
[5] Liang K, Hui P, Green S. Postinfectious cough in adults. CMAJ. 2024;196:E157. doi:10.1503/cmaj.231523.
[6] American Thoracic Society; European Respiratory Society. ATS/ERS recommendations for standardized procedures for the online and offline measurement of exhaled lower respiratory nitric oxide and nasal nitric oxide, 2005. Am J Respir Crit Care Med. 2005;171:912–930. doi:10.1164/rccm.200406-710ST. 資料を読む
[7] キョーリン製薬. リフヌア錠45mg 医療関係者向け情報 用法及び用量. 電子添文2025年6月改訂に基づく.
[8] American Heart Association. Heart Failure Signs and Symptoms.
[9] American Heart Association. Diagnosing Heart Failure.
[10] アストラゼネカ. シムビコートタービュヘイラー30吸入/60吸入 電子添文. 6.用法及び用量、7.用法及び用量に関連する注意、14.適用上の注意.
[11] アストラゼネカ. ネキシウムカプセル10mg/20mg 電子添文. 6.用法及び用量、7.用法及び用量に関連する注意.
[12] 日本ケミファ. オキサトミド錠30mg「ケミファ」電子添文. 4.効能又は効果、6.用法及び用量、8.重要な基本的注意.
[13] 帝人ファーマ. アトロベントエロゾル20μg 電子添文. 4.効能又は効果、6.用法及び用量.
[14] Matsunaga K, Hirano T, Kawayama T, et al. Reference ranges for exhaled nitric oxide fraction in healthy Japanese adult population. Allergol Int. 2010;59:363–367. doi:10.2332/allergolint.10-OA-0197.
[15] Matsunaga K, Hirano T, Akamatsu K, et al. Exhaled nitric oxide cutoff values for asthma diagnosis according to rhinitis and smoking status in Japanese subjects. Allergol Int. 2011;60:331–337. doi:10.2332/allergolint.10-OA-0277.

浦 祐次郎

この記事の監修者:
うらマイハートクリニック院長 
浦 祐次郎

循環器専門医・総合内科専門医・TAVI実施医/指導医・心血管インターベンション治療学会認定医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士

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