尿が泡立つ?たんぱく尿の症状・原因・検査・治療を腎臓内科医が解説 |福岡市早良区
「健康診断で尿蛋白が陽性だったけれど、どういう意味だろう」「症状はないし、放置しても大丈夫?」。尿蛋白陽性だけで重い病気と決まるわけではありませんが、自覚症状がないまま進む腎臓病のサインである可能性があります[1][2]。
この記事では、尿蛋白の原因と症状、±・+・2+の意味、再検査や治療について解説します。健診結果をお持ちになり、まずは腎臓内科にご相談ください。
「一度だけ出たのか」「以前から続いているのか」「血尿や腎機能の異常もあるのか」によって、必要な対応は変わります。過去の健診結果も確認しながら、ご自身の状態を確かめていきましょう。
【この記事の要点】
- 尿に通常より多くのたんぱく質が出る状態を蛋白尿といい、自覚症状がない腎臓病のサインになることがあります。
- 発熱や激しい運動などで一時的に出る場合もあり、再検査で異常が続くかを確認します。
- 「+」の数や尿の泡立ちだけでは重症度は分からず、尿蛋白の量と腎機能を合わせて評価します。
- 治療は原因に応じて行い、減塩や薬を組み合わせます。たんぱく質やカリウムの制限は個別に判断します。
この記事を書いた医師
うらマイハートクリニック副院長 腎臓内科医 浦 雅紀子
(日本内科学会 認定内科医、難病指定医、身体障害者福祉法指定医師)
腎臓内科医副院長 浦 雅紀子から一言「尿蛋白が出ていると言われたけれど、何も困っていない」という方もいると思います。腎臓の病気は、症状より先に尿検査の異常として現れることがあります。1回の結果だけで心配しすぎる必要はありませんが、再検査を受け、以前の結果と比べてみることが大切です。
尿蛋白とは
尿蛋白とは尿に含まれる蛋白のことで、通常より多く出ている状態を「蛋白尿」と呼びます。健康な方の尿にも、ごく少量の蛋白は含まれています[8]。
腎臓には、血液をろ過する「糸球体(しきゅうたい)」というフィルターがあります。通常、血液中の蛋白の多くはこのフィルターを通らず、血液中に保たれます。フィルターなどに異常が起こると、尿に漏れ出る蛋白が増えることがあります。尿細管という部分の異常などでも蛋白尿が起こります[1][8]。
尿蛋白を指摘されたら まず腎臓内科へ
尿蛋白の基本的な相談先は、泌尿器科ではなく腎臓内科です。尿をつくる腎臓のフィルターなどに異常がないか、腎臓の働きが保たれているかを調べ、治療が必要かを判断します。特に、尿蛋白が続く方や、血尿・むくみ・腎機能低下を伴う方は、腎臓内科での評価が大切です[1][8]。
泌尿器科は、尿路結石、膀胱や前立腺の病気、腎臓や尿路の腫瘍などを主に診療します。目で見て分かる血尿、排尿時の痛みなどがある場合は、泌尿器科での検査も必要になることがあります。症状や検査結果に応じて、両科で連携します[8]。
尿蛋白が出る原因
一時的な尿蛋白と続く尿蛋白
尿蛋白は一時的な体の変化でも出るため、一度の検査だけで腎臓病と決めつけることはできません。別の日の尿検査で確認します[8]。
| タイプ | 原因や特徴 | 対応 |
|---|---|---|
| 一時的な尿蛋白 | 激しい運動や発熱などの際に出ることがあります。 | 体調や採尿条件を確認して再検査します。 |
| 繰り返す尿蛋白 | 繰り返す検査で蛋白尿が確認され、腎臓病などが原因の場合があります。 | 尿蛋白の量や腎機能を調べ、原因に応じて治療します。 |
若い方では、立って活動している間に尿蛋白が出て、起床直後の尿では認めない「起立性蛋白尿」もあります。必要に応じて、早朝の尿と日中の尿を比較します[8]。
原因となる主な病気
- 腎臓自体の病気:免疫グロブリンA(IgA)が関わるIgA腎症などの慢性糸球体腎炎。
- 全身の病気に伴う腎障害:糖尿病性腎症、高血圧に伴う腎硬化症、膠原病、多発性骨髄腫など。
- 薬による腎障害:一部の鎮痛薬などが腎臓に影響することがあります。
原因によって検査や治療が異なります[1][3]。常用薬が原因かもしれないと思っても、自己判断で中止せず、処方した医師に相談してください。
尿蛋白の症状 泡立ちやむくみとの関係
蛋白尿があっても、自覚症状がないことは少なくありません。病気によっては、顔や足のむくみ、水分がたまることによる急な体重増加、だるさなどが現れます。症状がないことと、腎臓に異常がないことは同じではありません[1][8]。
尿に蛋白が多いと泡立ちが目立つことがありますが、尿の勢いや濃さ、便器の洗剤などでも泡立ちます。「泡が消えないから蛋白尿」「泡立たないから問題ない」とは判断できません。気になる変化が続く場合は尿検査で確認しましょう。
尿蛋白の判定と基準値
尿蛋白の±や2+は何を意味するか
| 試験紙の結果 | 意味と確認すること |
|---|---|
| 陰性(-) | 試験紙で蛋白が検出されていません。ただし、少量のアルブミン尿などは見逃すことがあります。 |
| 疑陽性(±) | ごく弱い反応です。繰り返し出る場合や、ほかの異常がある場合は相談してください。 |
| 陽性(+・2+・3+) | 蛋白が検出されています。記号は尿中の蛋白の濃さの目安で、病気の重症度そのものではありません。 |
試験紙の結果は、尿の濃さなどにも影響されます。+や2+だけで判断せず、必要に応じて蛋白の量を詳しく測定します[1][2]。
尿蛋白クレアチニン比と尿アルブミンの検査
「尿蛋白/クレアチニン比」は、尿の濃さの影響を補正して、尿蛋白の量を評価する指標です。「尿アルブミン/クレアチニン比」は、蛋白の一種であるアルブミンを測定します。糖尿病では、試験紙が陰性でも尿アルブミンの検査が早期発見に役立ちます[1][2][7]。
| 検査と単位 | A1 | A2 | A3 |
|---|---|---|---|
| 尿蛋白/クレアチニン比 (g/gCr) |
0.15未満 | 0.15以上 0.50未満 |
0.50以上 |
| 尿アルブミン/クレアチニン比 (mg/gCr) |
30未満 | 30以上 300未満 |
300以上 |
日本の慢性腎臓病の重症度分類で使う区分です。A2のアルブミン尿は「微量アルブミン尿」、A3は「顕性アルブミン尿」と呼ばれます。検査ごとに単位と基準が異なるため、結果用紙の検査名を確認してください[1][3]。
再検査と原因を調べる検査
健診で尿蛋白を指摘された場合、まず採尿時の体調や運動、月経の影響などを確認します。必要に応じて早朝尿で再検査し、尿蛋白の量や血尿の有無を調べます。再検査で陰性でも、糖尿病・高血圧や腎機能低下などがあれば追加の評価が必要な場合があります[1][2][8]。
- 尿検査:尿蛋白や尿アルブミンの量、尿中の赤血球などを確認します。
- 血液検査:クレアチニンなどから、推算糸球体ろ過量(eGFR)という腎臓の働きを示す数値を求めます。必要に応じて原因となる病気も調べます。
- 画像検査:超音波検査などで腎臓の形や大きさを確認します。CTは必要な場合に行い、全員に必要な検査ではありません。
- 腎生検:原因や治療方針を決めるために必要な場合は、連携する医療機関で腎臓の組織を採取して調べます。通常は入院し、局所麻酔を使って行います[9]。
尿蛋白を放置するリスクと慢性腎臓病
持続する蛋白尿の量が多いほど、腎機能低下や将来の透析、心血管疾患のリスクが高い傾向があります。ただし、蛋白尿があれば必ず透析になるわけではありません。原因を調べ、適切な治療と経過観察を続けることが大切です[1][2]。
慢性腎臓病(CKD)は、蛋白尿などの腎障害を示す所見、またはeGFRが60 mL/分/1.73m²未満の状態が、3か月以上続く場合に診断します。重症度は原因、eGFR、蛋白尿・アルブミン尿などを組み合わせて判断します[1][2]。
腎機能と尿蛋白を組み合わせたリスク分類
| eGFR区分 | A1 | A2 | A3 |
|---|---|---|---|
| G1 90以上 | 低 | 中等度 | 高 |
| G2 60~89 | 低 | 中等度 | 高 |
| G3a 45~59 | 中等度 | 高 | 非常に高 |
| G3b 30~44 | 高 | 非常に高 | 非常に高 |
| G4 15~29 | 非常に高 | 非常に高 | 非常に高 |
| G5 15未満 | 非常に高 | 非常に高 | 非常に高 |
日本腎臓学会の慢性腎臓病(CKD)重症度分類に基づく要約[1][3]。eGFRの単位はmL/分/1.73m²です。緑は低、黄は中等度、オレンジは高、赤は非常に高いリスクを示します。G1・G2のA1は、ほかに腎障害を示す所見がなければ慢性腎臓病(CKD)に該当しません。
尿蛋白の治療
治療の基本は、原因となる病気への対応です。必要に応じて腎臓を保護する薬を使い、食事や血圧管理を組み合わせます。一時的な尿蛋白など、薬を必要としない場合もあります[1][2]。
原因や病状に応じた薬物療法
- アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬・アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB):蛋白尿を伴う慢性腎臓病(CKD)などで、血圧を下げ、蛋白尿を減らして腎臓を保護する目的で使います。腎機能やカリウム値を確認しながら使用します[2][4]。
- ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬:糖尿病がない方を含め、一定の条件を満たす慢性腎臓病(CKD)で腎機能低下などを抑える効果が示されています。尿蛋白陽性の全員に使うわけではなく、腎機能や尿蛋白量、合併症などで適応を判断します[2][5]。
- ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA):このうちフィネレノンは、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(末期腎不全または透析中を除く)で使用を検討します。すべての蛋白尿に使う薬ではなく、腎機能や血液中のカリウム値の確認が必要です[10]。
- ステロイド・免疫抑制薬:一部の腎炎などで使用します。病気の種類や活動性、副作用のリスクを踏まえて判断します[1][3]。
食事と血圧管理
慢性腎臓病(CKD)や高血圧がある方では、食塩は1日6g未満を目安にします。尿蛋白が出ているからといって、肉や魚をたくさん食べて補う必要はありません。一方、蛋白質を極端に減らすと栄養不足になるため、制限が必要かどうかは腎機能や栄養状態に応じて判断します[1][3]。
慢性腎臓病(CKD)の血圧は、原則として診察室で130/80 mmHg未満、家庭で125/75 mmHg未満を目指します。ただし、めまいやふらつき、腎機能への影響に注意し、年齢や体調などに応じて調整します。薬の量は自己判断で変えないでください[4][11]。禁煙も腎臓や血管を守るうえで大切です[1]。
腎臓内科医副院長 浦 雅紀子から一言「尿にたんぱく質が出るなら、お肉や卵を増やした方がよいですか」と考えるかもしれません。尿蛋白への対応は、食べて補うことだけではありません。原因を調べて治療し、腎機能や栄養状態に合った量をとることが大切です。反対に、自己判断で食事を大きく減らさないようにしましょう。
よくある質問
A
尿蛋白の原因がすべて遺伝するわけではありません。ただし、アルポート症候群など遺伝が関わる病気もあります。家族に血尿・蛋白尿や腎不全の方がいる場合は、受診時に伝えてください[8]。
A
最初は外来で尿検査、採血、必要に応じて超音波検査などを行います。採血では針を刺す痛みがありますが、採尿や通常の超音波検査には基本的に痛みはありません。腎生検が必要な場合は、通常は入院して局所麻酔を使います。検査後の安静や出血への注意が必要です[9]。
福岡市で尿蛋白・蛋白尿の診療なら|うらマイハートクリニックの特徴
うらマイハートクリニック(福岡市早良区藤崎・原)は、内科・循環器内科・腎臓内科・呼吸器内科を診療し、心臓リハビリテーションにも対応するクリニックです。
院長(浦 祐次郎)は、循環器専門医・総合内科専門医・心血管インターベンション治療学会認定医・TAVI実施医/指導医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士として、九州医療センターで13年間、小倉記念病院で1年半にわたり、重症心疾患の診療に従事してきました。副院長の浦 雅紀子は腎臓内科医として、福岡山王病院で約5年間、九州医療センターで6年間にわたり、心腎連関を踏まえた包括的な腎臓病診療に従事してきました。
現在はうらマイハートクリニックにて内科医2名体制で円滑な診療に努めています。
- 院内での迅速な検査体制:BNPなど含む当日結果のわかる多様な血液検査、心臓を含む各種エコー検査、総合病院レベルの64列CT(冠動脈CT含む)に対応。
- 治療後のサポート:心臓リハビリ施設「ReHeart Gym」で専門スタッフが体力回復・再発予防を支援。
- 通いやすい診療体制:診療開始は8時30分から、水曜は20時まで診療。駐車場11台完備。発熱症状のある方の専用入口あり。
健診で尿蛋白陽性を指摘された方、疑陽性が繰り返し出る方、尿の泡立ちやむくみが気になる方は、福岡市早良区のうらマイハートクリニックまでお気軽にご相談ください。
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参考文献
[1] 日本腎臓学会編. CKD診療ガイド2024. 東京医学社, 2024.
[2] KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease. Kidney Int. 2024;105(4S):S117–S314.
[3] 日本腎臓学会編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023. 東京医学社, 2023.
[4] 日本高血圧学会編. 高血圧管理・治療ガイドライン2025. ライフサイエンス出版, 2025.
[5] Heerspink HJL, et al. Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease. N Engl J Med. 2020;383:1436–1446.
[6] Rangaswami J, et al. Cardiorenal Syndrome: Classification, Pathophysiology, Diagnosis, and Treatment Strategies. Circulation. 2019;139:e840–e878.
[7] 日本糖尿病学会編. 糖尿病診療ガイドライン2024. 南江堂, 2024.
[8] 日本腎臓学会. 腎臓検診でわかること.
[9] 日本腎臓学会. 検査.
[10] PMDA. ケレンディア錠10mg/20mg 電子添文.
[11] 日本腎臓学会. 慢性腎臓病(CKD)患者の血圧管理に関するステートメント. 日腎会誌. 2026;68(5):253–258.
[12] 総務省消防庁. 救急車利用リーフレット 成人版.