カリウムが高い・低い|基準値・症状・原因・食事と治療|福岡市早良区
血液検査でカリウムの異常を指摘された方へ
「カリウムが高い・低いと言われたけれど、どうすればよいの?」「症状はないけれど、食事を変えた方がよいの?」と気になっていませんか。
カリウムは、心臓や筋肉を動かすために欠かせないミネラルです。血液中の濃度が高すぎたり低すぎたりすると、脱力感や動悸などが現れ、重症の場合は命に関わる不整脈を起こすこともあります。一方、症状がなく、血液検査で初めて分かることもあります。
特に慢性腎臓病(CKD)や心不全がある方、血圧や心臓の薬、利尿薬を服用中の方は注意が必要です。食事だけが原因とは限らないため、検査結果や薬を確認しながら対策を考えます。本記事では、症状・原因と、食品の選び方、検査・治療について解説します[1][2]。
【この記事の要点】
- カリウムは、心臓や筋肉の働きに必要なミネラルです。血液中で高すぎても低すぎても、不整脈などの原因になります。
- 症状がなくても、検査で異常を指摘されたら確認が必要です。腎臓の働きや薬、下痢・嘔吐などが関係します。
- 意識を失う、強い息苦しさ、立てないほどの急な脱力がある場合は、救急要請が必要です。
- 血液検査や心電図などで状態を確認します。食事や薬は自己判断で変えず、数値と原因に合わせて調整します。
この記事を書いた医師
副院長 浦 雅紀子
腎臓内科・内科/認定内科医・難病指定医
地域の総合病院で11年間、腎臓病の診療に携わり、特に福岡山王病院では各診療科からの腎臓病に関するすべての相談を担当。
腎臓内科医副院長 浦 雅紀子から一言カリウムが高いと言われると、「野菜や果物は食べない方がよいのでしょうか」「今飲んでいる薬は大丈夫でしょうか」と、不安になる方もいらっしゃると思います。 カリウムの異常は、食事だけでなく、腎臓の働きや薬、便通、体調の変化などが重なって起こることがあります。大切なのは、数値が高い・低いという結果だけでなく、「なぜ変化したのか」を確認することです。 食べる楽しみを必要以上に減らしたり、大切な薬を自己判断でやめたりする前に、検査結果とお薬手帳を持ってご相談ください。普段の食事や生活のお話を伺いながら、何を調整する必要があるのか、一緒に考えていきましょう。
カリウムの正常値・基準値と働き
カリウムは、神経の信号伝達や心臓を含む筋肉の収縮、体の水分バランスの調整などに関わるミネラルです。
余分なカリウムは主に腎臓から尿へ排出されます。腎臓の働きやホルモン、薬などの影響で、血液中の濃度が変化することがあります。
血中カリウムの基準範囲は、おおむね3.5〜5.0 mEq/Lが目安ですが、検査施設によって異なります。まずは、検査結果に記載された基準範囲を確認しましょう[3]。
血液中のカリウムが高い状態を「高カリウム血症」、低い状態を「低カリウム血症」といいます。基準範囲を外れた場合は、数値の程度や変化の速さ、腎臓の働き、症状などを合わせて判断します。症状がなくても、医療機関から指示された時期に受診・再検査を受けてください[1][4]。
カリウムが高い・低いとどうなる?主な症状
高カリウム血症・低カリウム血症のどちらも、軽い場合は症状がないことがあります。症状の出方には個人差があり、決まった順番で現れるとは限りません[4][5]。
| 高カリウム血症 | 低カリウム血症 | |
|---|---|---|
| みられる症状 | 手足のしびれ、脱力感、筋力低下、動悸など | 脱力感、足のつり、筋力低下、便秘、動悸など |
| 重症の場合 | 脈が極端に遅くなる、危険な不整脈、心停止など | 麻痺、呼吸に使う筋肉の働きの低下、危険な不整脈など |
だるさや足のつりだけで、カリウムの異常かどうかを判断することはできません。症状がない場合も含めて、血液検査で確認することが大切です。
意識を失う、強い息苦しさ、立てないほどの急な脱力、動悸に強いめまいを伴う場合は、直ちに救急要請してください。症状がなくても、医療機関から緊急受診を指示された場合は、受診を先延ばしにしないでください[4][5]。
カリウムが高くなる原因 低くなる原因
腎機能の低下や薬の影響のほか、嘔吐・下痢、食事量の低下などが関係します。原因が重なっている場合もあるため、食生活と服用中の薬の両方を確認します[1][2][5]。
高カリウム血症の主な原因
- 腎臓からの排泄低下:慢性腎臓病や急性腎障害などで腎臓の働きが低下すると、カリウムを十分に尿へ排出できず、体内にたまりやすくなります。副腎などのホルモン異常が関係する場合もあります。
- 薬の影響:一部の降圧薬や心不全の薬、スピロノラクトンなどの利尿薬、一部の痛み止めなどが、カリウムの排泄や細胞内外への移動に影響することがあります。市販薬も確認が必要です。
- 細胞の損傷やカリウムの移動:筋肉の細胞が壊れる横紋筋融解症や、大きな外傷・熱傷などで、細胞内のカリウムが血液中に出る場合があります。また、体の酸性・アルカリ性のバランスなどの変化によって、カリウムが細胞内から血液中へ移動する場合もあります[1][4]。
- 摂取量の影響:腎臓から排出しにくい方では、カリウムを含む食品の摂り方や、サプリメント、カリウム入りの減塩塩なども影響します[1][6]。
腎臓の働きが低下している方では、便秘もカリウムが高くなる一因になります。便通の変化も、受診時に伝えてください[1]。
血圧や心臓の薬には、心臓や腎臓を守る大切な役割があります。カリウム値が高くても、自己判断で服薬を中止せず、主治医に相談してください。薬の調整やカリウムを下げる治療を組み合わせて対応します[1]。
低カリウム血症の主な原因
低カリウム血症では、尿や消化管からカリウムが失われる場合、摂取量が不足する場合、血液中から細胞内に移動する場合があります[5]。
- 体内からの喪失:一部の利尿薬や、原発性アルドステロン症などのホルモンの病気では、尿からカリウムが失われやすくなります。激しい下痢や嘔吐も原因になります。甘草(かんぞう)を含む漢方薬などが原因となる場合もあります。
- 摂取不足:極端な食事制限や食欲不振で、カリウムの摂取量が不足することがあります。薬の影響や下痢などが重なると、さらに低下しやすくなります。
- 細胞内への移動:インスリンの作用や、体がアルカリ性に傾いた状態などによって、カリウムが血液中から細胞内に移動し、血中濃度が低下することがあります[5]。
市販薬、漢方薬、サプリメントも含め、使用しているものを医師に伝えてください。低カリウム血症が続く場合は、マグネシウム不足や薬の影響も調べます。一部の胃酸を抑える薬の長期使用によって、マグネシウムが減り、カリウムの低下を伴うこともあります[5][7]。
カリウムが多い食品と食事で気をつけること
カリウムは、野菜や果物だけでなく、いも類、豆製品、魚や肉など、さまざまな食品に含まれています。次の表は食品の例であり、「食べてはいけない食品」の一覧ではありません[6][8]。
| 食品の分類 | カリウムを含む食品の例 |
|---|---|
| 果物 | バナナ、メロン、キウイなど |
| 野菜 | ほうれん草など |
| いも類 | じゃがいも、さつまいもなど |
| 豆類・豆製品 | ゆで大豆、納豆など |
| 魚・肉 | 魚や肉にも含まれます |
実際に摂るカリウムの量は、食品の種類だけでなく、食べる量や調理方法によっても変わります。カリウムの値が高い方と低い方では、食事の調整方法が異なります[1][6]。
カリウムが高い方の食事
検査結果や腎機能に応じて、食品の種類や量を調整します。野菜や果物をすべて避ける必要があるわけではありません。制限が必要な場合は、量を見直したり、野菜やいも類をゆでてゆで汁を捨てたりする方法があります。減らせる程度は食品や調理方法によって異なります[1][6]。
カリウムが添加された加工食品や、塩化カリウムを使った減塩塩にも注意しましょう。「減塩」と書かれていても、カリウムの制限が必要な方に適しているとは限りません[1][6]。
野菜ジュースや果汁飲料など、飲み物から摂るカリウムにも注意が必要です。制限が必要な方は、普段飲んでいる製品と量を医師や管理栄養士に伝えましょう[1][6]。
カリウムが低い方の食事
食事量が少ない方では、無理なく食べられる内容を相談します。ただし、食事だけでは十分に改善せず、薬による補充が必要な場合もあります。腎臓の働きや原因によって調整が異なるため、カリウムの多い食品を自己判断で大量に摂らないようにしましょう[5]。
サプリメントを使う前に
だるさや足のつりだけでカリウム不足と判断し、サプリメントを始めることは勧められません。特に、腎臓の働きが低下している方やカリウムを上げる薬を服用している方は、摂り過ぎで高カリウム血症になることがあります。使用中の製品は、容器や成分表示を受診時にお持ちください[1][6]。
食事療法は自己判断で極端に変えず、検査結果や腎臓の働きに合わせて、医師や管理栄養士と相談しましょう。
検査と診断
血液検査を中心に、心臓への影響や原因を調べます。必要な検査は、症状やカリウム値に応じて選びます[1][4][5]。
- 血液検査:カリウム値とともに、腎臓の働き、血糖値、他のミネラルなどを確認します。必要に応じて、マグネシウムやホルモンなども調べます。
- 心電図検査:不整脈など、心臓への影響を確認します。心電図に明らかな異常がなくても、カリウム値や症状などによって、緊急治療が必要な場合があります[4]。
- 尿検査:尿に出るカリウムの量などを調べ、原因の判断に役立てます。
採血した血液中の赤血球が壊れるなどして、実際より高い値が出ることもあります。必要に応じて再検査しますが、緊急性が疑われる場合は、確認と並行して速やかに対応します[1][9]。
当院では、カリウム値や腎機能などを院内の血液検査で確認し、当日に結果をご説明できます。結果や症状に応じて治療方針を考え、入院治療が必要な場合は対応できる医療機関と連携します。
カリウムの異常の治療
治療は、数値の程度や原因、症状、心電図の結果などに応じて行います。食事の見直しだけで対応できるとは限らず、薬の調整や補充、入院での治療が必要になることもあります[1][4][5]。
高カリウム血症の治療
原因となる病気や薬、食事を確認し、カリウムを下げる治療を行います。重症の場合には、心臓を保護する治療と、血液中のカリウムを速やかに下げる治療を組み合わせます[4]。
- 緊急治療:カリウム値が著しく高い場合などは、症状や心電図の異常が目立たなくても緊急対応が必要です。心電図に異常がある場合などには、心臓への影響を和らげるカルシウム製剤を点滴します。また、インスリンでカリウムを細胞内に移動させ、一時的に血中濃度を下げる治療などを行います。インスリンを使う際には、低血糖を防ぐためブドウ糖を併用します[4]。
- 体外へ排出する治療:状態に応じて、尿からの排出を促す利尿薬や、腸の中でカリウムをつかまえて便とともに排出する飲み薬を使います。薬は、腎臓や心臓の状態、副作用などを考慮して選びます。重症の場合や、薬だけでは十分に改善しない場合には、血液透析でカリウムを除去することがあります[1][4]。
低カリウム血症の治療
原因への対応と、必要に応じたカリウム補充を行います。
- カリウムの補充:軽度の場合は、食事の調整や塩化カリウムなどの飲み薬で補います。重症の場合や飲み薬が使えない場合は、点滴で補充します。点滴では、過剰な補充や不整脈を防ぐため、投与の速さや血液検査の結果を確認しながら治療します[5]。
- 原因への対応:利尿薬などの調整や、下痢・嘔吐、ホルモンの病気などの治療を行います。マグネシウムも不足している場合は、その補充が必要になることがあります[5][7]。
心臓と腎臓を守る薬を続けるために
心臓と腎臓は互いに影響し合い、一方の働きが悪くなると、もう一方にも負担がかかることがあります。この関係を「心腎連関」といいます。
心臓や腎臓を守る薬の一部は、カリウム値を上げることがあります。カリウムを下げる薬などで数値を管理することで、必要な治療を続けやすくなる場合があります[1][10][11]。
ただし、カリウムを下げる薬を追加すれば、誰でも同じ治療を続けられるわけではありません。治療しても高値が続く場合などには、医師が薬の種類や量を見直します[1]。
こんな症状や検査結果の方はご相談ください
- 血液検査で、カリウムが高い・低いと言われた方
- 健康診断で腎機能の低下を指摘された方
- 原因の分からない脱力感、しびれ、足のつり、動悸がある方
- 慢性腎臓病、心不全、糖尿病があり、薬や食事について相談したい方
受診時には、今回と過去の検査結果、お薬手帳をお持ちください。市販薬や漢方薬、サプリメントの情報も、原因を調べる手がかりになります。症状だけでは判断できないため、指示された時期の検査を受けることが大切です。
よくある質問
A
症状がなくても、放置せず受診先に相談してください。再検査で確認する場合もありますが、数値によっては速やかな治療が必要です。医療機関からすぐ受診するよう連絡があった場合は、症状がなくても指示に従ってください[4]。
A
数値や症状が安定している場合は、医師に確認したうえで、持病や体力に合った運動を行いましょう。カリウムの異常が強いときや、動悸・強い脱力・めまいなどがあるときは、運動を控えて医師に相談してください。汗をかいてカリウム値を下げようと、無理な運動をすることは避けましょう。
A
意識を失う、強い息苦しさ、立てないほどの急な脱力、動悸に強いめまいや失神を伴う場合などは、直ちに救急要請してください。カリウムの異常に限らず、緊急の病気の可能性があります。症状がなくても、検査をした医療機関から緊急受診を指示された場合は従ってください。
福岡市でカリウムの診療なら|うらマイハートクリニックの特徴
うらマイハートクリニック(福岡市早良区藤崎・原)は、内科・循環器内科・腎臓内科・呼吸器内科を診療し、心臓リハビリテーションにも対応するクリニックです。
院長(浦 祐次郎)は、循環器専門医・総合内科専門医・心血管インターベンション治療学会認定医・TAVI実施医/指導医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士として、九州医療センターで13年間、小倉記念病院で1年半にわたり、重症心疾患の診療に従事してきました。副院長の浦 雅紀子は腎臓内科医として、福岡山王病院で約5年間、九州医療センターで6年間にわたり、心腎連関を踏まえた包括的な腎臓病診療に従事してきました。
現在はうらマイハートクリニックにて内科医2名体制で円滑な診療に努めています。
- 院内での迅速な検査体制:BNPなど含む当日結果のわかる多様な血液検査、心臓を含む各種エコー検査、総合病院レベルの64列CT(冠動脈CT含む)に対応。
- 治療後のサポート:心臓リハビリ施設「ReHeart Gym」で専門スタッフが体力回復・再発予防を支援。
- 通いやすい診療体制:診療開始は8時30分から、水曜は20時まで診療。駐車場11台完備。発熱症状のある方の専用入口あり。
検査でカリウムの異常を指摘された方や、薬・食事との関係が気になる方は、検査結果を持って福岡市早良区のうらマイハートクリニックまでお気軽にご相談ください。
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参考文献
[2] 日本腎臓学会編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023. 東京医学社; 2023. 出典
[3] National Kidney Foundation. High Potassium (Hyperkalemia). 2025年7月23日更新. 出典
[5] 厚生労働省. 重篤副作用疾患別対応マニュアル 低カリウム血症. 2018年6月. 出典
[7] 厚生労働省. 「使用上の注意」の改訂について. 2026年7月14日. 医薬安発0714第1号、別紙1・2(胃酸分泌抑制薬と低マグネシウム血症). 出典
[8] 日本腎臓学会. 医師・コメディカルのための慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル. 2014. p54、表7. 出典
[9] National Library of Medicine. Potassium Blood Test. MedlinePlus. 出典
[10] 日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドライン. 2025年改訂版 心不全診療ガイドライン. 出典
[12] National Library of Medicine. Gitelman syndrome. MedlinePlus Genetics. 出典
ウェブ資料の確認日:2026年9月18日。