「尿潜血と血尿」の症状・原因・検査・治療を腎臓内科医が解説 |福岡市早良区
「健康診断で尿潜血陽性と指摘された」「痛みはないけれど、尿に血が混じっているのではないかと心配」。健診結果を見て、どの診療科で何を調べればよいのか迷う方もいらっしゃいます。
尿潜血陽性だけで、重い病気と決まるわけではありません。一方、症状がなくても腎臓や尿の通り道の病気が隠れていることがあるため、検査結果に応じて再検査や精密検査を受けることが大切です[1][2]。
この記事では、尿潜血の判定の意味、原因と症状、再検査の流れ、腎臓内科と泌尿器科の違いを解説します。尿が赤い、血の塊が出るなどの変化がある場合は、次の健診まで待たずに受診してください[1][3]。
【この記事の要点】
- 尿潜血陽性は、尿に血液成分などへの反応があるという検査結果で、それだけで病気は決まりません。
- 痛みがなくても、尿潜血が続く場合や目で見える血尿がある場合は、原因を調べることが大切です。
- 腎炎、結石、感染症など原因はさまざまで、尿検査・血液検査・画像検査などを組み合わせて確認します。
- 尿蛋白や腎機能低下を伴う場合は腎臓内科、目で見える血尿などでは泌尿器科とも連携して診療します。
この記事を書いた医師
うらマイハートクリニック副院長 腎臓内科医 浦 雅紀子
(日本内科学会 認定内科医、難病指定医、身体障害者福祉法指定医師)
腎臓内科医副院長 浦 雅紀子から一言「痛くないし、尿の色も普通だから大丈夫」と思うかもしれません。尿潜血は、見た目や体調だけでは分からない異常を見つける手がかりです。まずは健診結果を持参し、尿蛋白や腎機能にも異常がないか、一緒に確認しましょう。
尿潜血とは 血尿との違い
尿潜血は、尿試験紙を使って、赤血球に含まれるヘモグロビンという血液成分などへの反応を調べる検査です。目で見て尿が赤くなくても、微量の血液成分に反応します[1]。
血尿は、尿に赤血球が混じった状態です。目で見て赤色や褐色に見えるものを「肉眼的血尿」、見た目では分からず検査で確認されるものを「顕微鏡的血尿」と呼びます。国内の血尿診断ガイドラインでは、顕微鏡で400倍に拡大した1視野に赤血球が5個以上ある場合などを、顕微鏡的血尿としています[1]。
尿潜血陽性でも、赤血球そのものではなく、ヘモグロビンや筋肉に含まれるミオグロビンに反応している場合があります。本当に赤血球が出ているかを調べるため、尿中の成分を詳しく見る「尿沈渣(にょうちんさ)」などで確認します[1]。
症状と受診の目安
健診で見つかる尿潜血には、自覚症状がないことが少なくありません。原因によっては、次のような症状を伴います[1][3]。
- 排尿時の痛み、頻尿、残尿感:膀胱炎などでみられます。
- 背中やわき腹の痛み:尿路結石などでみられ、発熱や悪寒を伴う場合は腎盂腎炎などにも注意が必要です。
- 顔や足のむくみ、血圧の上昇:腎炎などでみられることがあります。
- 赤色・褐色の尿や血の塊:出血の原因を調べる必要があります。痛みがなくても受診してください。
症状がなくても、尿潜血が続く場合や、尿蛋白・腎機能にも異常がある場合は受診してください。目で見える血尿は、若い方でも一度相談することが大切です。いったん尿の色が元に戻っても、原因が解決したとは限りません[1][3]。
血の塊が出るときや早急な受診が必要な症状
血の塊が尿の通り道を塞ぐと、尿が出なくなることがあります。尿が出ない、強い下腹部痛がある場合は、直ちに医療機関を受診してください。血尿に発熱・悪寒や背中の痛みを伴う場合も、早急な診察が必要です[8][11]。
尿潜血の判定の見方
| 検査結果 | 基本的な意味 |
|---|---|
| 陰性(-) | 試験紙で潜血反応が検出されていない状態です。 |
| 疑陽性(±) | ごく弱い反応がある状態です。検査が誤って陽性になる「偽陽性」とは異なります。 |
| 陽性(1+) | 潜血反応が認められます。尿沈渣や尿蛋白なども確認します。 |
| 陽性(2+・3+) | より強い反応を示します。ただし、この数値だけで原因や病気の重症度は決まりません。 |
判定は試験紙の種類や尿の状態にも影響されます。「1+だから放置してよい」「3+だから重い病気」とは判断せず、尿中の赤血球数、尿蛋白、腎機能、症状などを合わせて確認します[1]。
尿潜血や血尿が出る原因
原因は、腎臓のフィルターである「糸球体(しきゅうたい)」の病気と、それ以外の腎臓や尿の通り道の病気に大きく分かれます。一時的に陽性になることもあるため、採尿時の状況も確認します[1][3]。
腎臓のフィルターの病気
免疫グロブリンA(IgA)が関わるIgA腎症、ループス腎炎、アルポート症候群などが原因になります。尿潜血に加えて尿蛋白も出る場合や、腎機能が低下している場合は、腎炎などを疑って調べます。尿中の赤血球の形も、出血している場所を推定する手掛かりになります[1][4]。
高血圧や糖尿病がある方でも、血尿をその持病だけで説明できるとは限りません。別の腎臓病や尿路の病気がないかを確認します[1]。
尿の通り道などの病気
尿路結石、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症、前立腺肥大症、膀胱がん・腎がん・腎盂尿管がんなどが原因になります。痛みがなくても、検査が必要な病気が隠れていることがあります[1][3]。
運動や月経などの影響
激しい運動の後に、一時的な血尿が出る場合があります。また、月経血が尿に混じると尿潜血が陽性になるため、月経中の検査だった場合は医師に伝えてください。ビタミンCを多く摂取していると、試験紙によっては反応が弱くなり、本来陽性でも陰性に出る「偽陰性」が起こることがあります[1]。
処方薬や市販薬、サプリメントの使用についても確認します。血液を固まりにくくする薬を服用していても、「薬のためだから問題ない」とは判断せず、通常と同様に原因を調べます。自己判断で薬を中止せず、処方した医師に相談してください[1][2]。
何科を受診するか 腎臓内科と泌尿器科の違い
腎臓内科も泌尿器科も、腎臓や尿の異常を診る診療科です。主に扱う病気や検査・治療に違いがあります。受診先を考える際は、次の表を目安にしてください[1][3]。
| 項目 | 腎臓内科 | 泌尿器科 |
|---|---|---|
| 主に診る病気 | 腎炎など、腎臓のフィルターや働きに関わる病気 | 尿路結石、腎臓や膀胱などの腫瘍、排尿の障害など |
| 相談の目安 | 尿潜血に加えて尿蛋白、腎機能低下、むくみなどがある | 目で見える血尿、血の塊、排尿時の痛み、結石を疑う痛みなどがある |
| 主な診療 | 尿・血液検査などで原因や腎機能を調べ、薬による治療を行います。必要に応じて食事や血圧管理について助言します。 | 尿・画像検査、必要に応じて膀胱鏡などで調べます。病気に応じて薬による治療、処置や手術を行います。 |
この区分は、診療科を完全に二つに分けるものではありません。腎臓の病気が疑われても、年齢や喫煙歴などによっては泌尿器科での検査も必要になります。両科が連携して調べる場合もあります[1][2]。
受診先に迷う場合は、まず相談しやすい医療機関へ健診結果を持参してください。当院では尿検査や腎機能の評価を行い、膀胱鏡など泌尿器科での検査が必要な場合は、連携医療機関をご紹介します。
腎臓内科医副院長 浦 雅紀子から一言「腎臓内科と泌尿器科、どちらに行けばよいのでしょうか」と迷う方もいると思います。尿に血が混じる原因は一つではありません。当院では尿や血液の検査で腎臓の状態を確認し、膀胱鏡などが必要な場合は泌尿器科へご紹介します。受診先に迷って、そのままにしないことが大切です。
再検査と精密検査の流れ
問診と尿検査
最初に、尿の色や痛み、発熱、以前の検査結果、家族の腎臓病、喫煙歴、服用中の薬などを確認します。尿潜血に加えて尿蛋白を調べ、尿沈渣で赤血球の数や形、白血球、円柱などを確認します。感染が疑われる場合には、細菌を調べる尿培養検査を行うこともあります[1][2]。
再検査では、月経や激しい運動などの影響を考慮し、採尿の指示に従ってください。通常は、出始めの尿を少し流してから途中の尿を採る「中間尿」を用います。月経中や体調不良などがあれば、あらかじめ伝えましょう[1]。
血液検査と画像検査
血液検査では、クレアチニンや推算糸球体ろ過量(eGFR)などで腎臓の働きを確認します。必要に応じて貧血や炎症、腎炎に関係する項目も調べます[1][5]。
超音波(エコー)検査では、腎臓や膀胱の形、結石や腫瘍の有無などを確認します。より詳しい評価が必要な場合は、コンピュータ断層撮影(CT)などを検討します。当院でも64列CTによる検査に対応し、検査の目的や腎機能などを踏まえて必要な方法を選びます[1][3]。
必要に応じて膀胱鏡や腎生検を検討する
膀胱の病気が疑われる場合には、細いカメラで膀胱の内側を見る「膀胱鏡検査」を行います。エコーやCTだけでは十分に判断できない場合があるため、必要に応じて泌尿器科で検査を受けます[1][2][3]。
腎炎が疑われ、病気の種類や治療方針を確かめる必要がある場合は、腎臓の組織を少量採取する「腎生検」を検討します。尿潜血陽性の方全員に必要な検査ではありません[1][9]。
検査は、年齢だけでなく、喫煙歴、血尿の程度や持続、肉眼的血尿の既往、尿蛋白・腎機能などを合わせて選びます。リスクが低いと判断された場合は、まず一定期間内に再検査をする場合もあります。受診時に、次の検査の時期を確認してください[1][2]。
尿潜血の治療は原因によって異なる
尿潜血は病名ではなく、検査で分かる所見です。原因に応じて治療を行い、詳しく調べた結果、薬を使わず定期的な検査で経過を確認する場合もあります[1]。
糸球体腎炎などの治療
IgA腎症などでは、尿蛋白や腎機能、病気の活動性に応じて治療を選びます。治療により尿の異常が改善する「寛解」を目指すことや、腎機能の低下を抑えることが治療の目的になります[4]。
腎臓を保護する薬として、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)などを使用します。血圧、腎機能、血液中のカリウムなどを確認しながら調整します。病状によっては、ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬を用いることもあります。これらは尿潜血陽性という理由だけで必要になる薬ではありません[4][5][7]。
ステロイド薬などは、効果と副作用を考慮して使用します。日本では、IgA腎症の病状に応じて扁桃摘出術とステロイドパルス療法を検討することもあります。専門医と相談し、ご自身の病状に合った治療を選びます[4]。
腎臓病や高血圧がある場合には、薬による治療とともに、必要に応じて減塩などの食事指導を行います。食塩は1日6g未満が目安です。慢性腎臓病の降圧目標は、原則として診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満ですが、年齢、腎機能、ふらつきなどに応じて個別に調整します[5][6]。
結石や感染症などの治療
尿路結石では、大きさや位置に応じて、薬による治療や、体外から衝撃波を当てて石を砕く治療、内視鏡による治療などを選びます。尿路感染症では、必要に応じて抗菌薬を使います。がんが見つかった場合は、種類や進行度に応じて手術や薬物療法などを検討します[1][3]。
よくある質問
A
尿潜血陽性だけで、一律に運動を禁止する必要はありません。目で見える血尿、痛み、発熱などがあるときは無理をせず受診してください。激しい運動後には一時的な血尿が出ることもあるため、再検査前の運動については医師の指示に従いましょう[1]。
A
一部には、アルポート症候群など遺伝が関わる病気があります。家族に血尿、腎不全、難聴がある場合は、診察時に伝えてください。家族に尿潜血があるというだけで、原因や将来の経過が決まるわけではありません[1]。
A
はい。学校検尿で見つかることがあります。一時的な血尿のほか、腎炎や遺伝性の腎臓病などが関係する場合もあります。再検査で続いているか、尿蛋白や血圧にも異常がないかを確認し、必要に応じて小児の腎臓病に詳しい医療機関へ相談します[1]。
福岡市で尿潜血・血尿の診療なら|うらマイハートクリニックの特徴
うらマイハートクリニック(福岡市早良区藤崎・原)は、内科・循環器内科・腎臓内科・呼吸器内科を診療し、心臓リハビリテーションにも対応するクリニックです。
院長(浦 祐次郎)は、循環器専門医・総合内科専門医・心血管インターベンション治療学会認定医・TAVI実施医/指導医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士として、九州医療センターで13年間、小倉記念病院で1年半にわたり、重症心疾患の診療に従事してきました。副院長の浦 雅紀子は腎臓内科医として、福岡山王病院で約5年間、九州医療センターで6年間にわたり、心腎連関を踏まえた包括的な腎臓病診療に従事してきました。
現在はうらマイハートクリニックにて内科医2名体制で円滑な診療に努めています。
- 院内での迅速な検査体制:BNPなど含む当日結果のわかる多様な血液検査、心臓を含む各種エコー検査、総合病院レベルの64列CT(冠動脈CT含む)に対応。
- 治療後のサポート:心臓リハビリ施設「ReHeart Gym」で専門スタッフが体力回復・再発予防を支援。
- 通いやすい診療体制:診療開始は8時30分から、水曜は20時まで診療。駐車場11台完備。発熱症状のある方の専用入口あり。
健診で尿潜血を指摘された方、血尿が続く方、尿蛋白や腎機能の異常もあり受診先に迷っている方は、福岡市早良区のうらマイハートクリニックまでお気軽にご相談ください。
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当院の専門外来では最適な治療プランをご提案しております。
参考文献
[1] 日本腎臓学会, 日本泌尿器科学会, 日本小児腎臓病学会, ほか 編. 血尿診断ガイドライン2023. ライフサイエンス出版; 2023. 出典
[2] Barocas DA, Lotan Y, Matulewicz RS, et al. Updates to Microhematuria: AUA/SUFU Guideline (2025). J Urol. 2025;213(5):547–557. doi:10.1097/JU.0000000000004490. 出典
[3] 日本泌尿器科学会. 尿に血が混じる。血尿を指摘された. 出典
[4] KDIGO IgAN and IgAV Work Group. KDIGO 2025 Clinical Practice Guideline for the Management of Immunoglobulin A Nephropathy (IgAN) and Immunoglobulin A Vasculitis (IgAV). Kidney Int. 2025;108(4S):S1–S71. 出典
[5] 日本腎臓学会 編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023. 東京医学社; 2023. 出典
[6] 日本腎臓学会. 慢性腎臓病(CKD)患者の血圧管理に関するステートメント. 日腎会誌. 2026;68(5):253–258(2026年6月25日策定). 出典
[7] Heerspink HJL, Stefánsson BV, Correa-Rotter R, et al. Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease. N Engl J Med. 2020;383(15):1436–1446. doi:10.1056/NEJMoa2024816. 出典
[8] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Symptoms & Causes of Urinary Retention. 出典
[9] 日本腎臓学会. 腎臓の病気について調べる「8.検査」. 出典
[10] 総務省消防庁. 救急車利用リーフレット 成人版. 出典
[11] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Symptoms & Causes of Kidney Infection (Pyelonephritis). 出典