高尿酸血症・痛風とは?基準・初期症状・原因・食事と治療|福岡市早良区
「健康診断で尿酸値が高いと指摘されたけれど、特に症状はないから大丈夫だろうか?」 「足の親指の付け根が急に赤く腫れて、激しい痛みに襲われた。これはもしかして痛風?」
尿酸値が高くても、普段は症状がないことがほとんどです。しかし、高い状態が続くと、突然の激しい関節痛を起こす「痛風」や尿路結石につながることがあります。健診で指摘された段階から、尿酸値と腎臓の働きを確認し、ご自身に合った対策を考えることが大切です[1]。
本記事では、腎臓内科医が、尿酸値の基準、痛風の初期症状と原因、食事や薬による治療、腎臓や心臓との関係を分かりやすく解説します。
【この記事の要点】
- 高尿酸血症は、血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超える状態です。症状がなくても、痛風や尿路結石につながることがあります。
- 足の親指の付け根などが突然赤く腫れ、強く痛むのが痛風発作の特徴です。初めての症状は早めに受診してください。
- 発熱を伴う関節の腫れは感染症の可能性もあります。意識の異常や強い息苦しさを伴う場合は、救急要請が必要です。
- 血液・尿検査などで尿酸値や腎臓の働きを確認します。痛みが治まった後も、食事や薬による尿酸値の管理が大切です。
【この記事を書いた医師】
副院長 浦 雅紀子
腎臓内科・内科/認定内科医・難病指定医
地域の総合病院で11年間、腎臓病の診療に携わり、特に福岡山王病院では各診療科からの腎臓病に関するすべての相談を担当。
腎臓内科医副院長 浦 雅紀子から一言「痛みがなくなったら、もう薬はいらないのでしょうか」「お酒を飲まないのに、なぜ尿酸値が高いのでしょうか」。尿酸値や痛風について、こうした疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。 尿酸値には、食事や飲酒だけでなく、生まれ持った体質や腎臓の働き、服用している薬なども関わります。ご自身の生活が悪かったと責める必要はありません。尿酸値が高い状態を放置すると、痛風だけでなく、腎臓の働きに悪影響が及ぶこともあります。「痛くないから大丈夫」と考えず、尿酸値と腎臓の働きを定期的に確認することが大切です。
高尿酸血症と痛風 尿酸値の基準を知る
尿酸値はいくつから高いのか
高尿酸血症とは、血液中の尿酸の濃度(血清尿酸値)が高くなった状態です。血清尿酸値が7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」と診断されます。これは病気を判断する基準で、治療を受ける方の目標値とは区別します[1]。
尿酸は、体内でプリン体という物質が分解されるときに作られる老廃物です。主に腎臓から尿へ、一部は腸を通じて体外へ排泄されます。作られる量と排泄される量のバランスが崩れると、血液中の尿酸が増えます[1]。
高尿酸血症と痛風の違い
痛風は、尿酸が結晶(尿酸塩結晶)となって関節にたまり、炎症を起こす病気です。足の親指の付け根などに、突然の強い痛みや赤み、腫れが生じる「痛風発作」が特徴です。尿酸値が高い状態を高尿酸血症といい、そのすべての方が痛風を発症するわけではありません[1][2]。
痛風の初期症状と発作時の対応
高尿酸血症自体には、通常、自覚症状がありません。痛風発作では、関節の違和感が先に出る場合もありますが、前触れなく、夜間から明け方などに強い痛みで気づくこともあります。足の親指の付け根に多く、足首や膝などに起こることもあります[1][2]。
| 病態 | 主な症状や気づくきっかけ |
|---|---|
| 無症候性高尿酸血症 | 自覚症状がなく、健康診断や他の病気の血液検査で見つかることが多い状態です。 |
| 痛風発作 | 関節に突然の激しい痛み、赤み、腫れ、熱感が現れます。痛みは1〜2週間ほどで自然に治まることもありますが、受診せずに様子を見ることは勧められません。初めての強い痛みや腫れは、感染症などとの区別も必要です[2]。 |
| 慢性結節性痛風 | 尿酸の結晶の塊である「痛風結節」が耳や肘、足などにできます。関節の変形や動かしにくさにつながることがあります。 |
| 痛風腎や尿路結石 | 腎臓の障害は、初期には症状が乏しいことがあります。尿路結石では、背中や脇腹の強い痛み、血尿などが現れることがあります。 |
痛みが治まっても、原因となる尿酸の結晶がなくなったとは限りません。症状だけでなく、その後の尿酸値の管理も大切です[1][2][3]。
急に関節が腫れて痛むとき
痛む関節を安静にし、保冷剤などをタオルで包んで冷やすと、痛みを和らげる助けになります。初めての強い痛みや腫れは、痛風と決めつけず早めに受診してください[2][4]。
発熱を伴う赤い関節の腫れや、急速な体調の悪化がある場合は、関節の感染症なども考え、速やかに受診してください。救急要請が必要な全身症状については、後半の「よくある質問」で説明します[2]。
症状がないときの受診の目安
健診で尿酸値が高いと指摘された方、以前に関節が急に腫れて痛んだことがある方、腎機能低下や尿路結石を指摘された方は、検査結果を持ってご相談ください。ご家族に痛風の方がいることも、診察時にお伝えください。
尿酸値が高くなる原因
尿酸値は、食事や飲酒だけで決まるものではありません。体質や腎臓の働き、体重、服用中の薬などが関わります。主な仕組みは、尿酸が体外に出にくくなること、作られすぎること、またはその両方です[1]。
- 尿酸が出にくくなる:遺伝的な体質、腎機能の低下、肥満、利尿薬などの影響があります。腎臓だけでなく、腸からの排泄が少なくなる場合もあります[1]。
- 尿酸が作られすぎる:プリン体の多い食品やアルコールの過剰摂取、激しい運動などが関わります。複数の要因が重なっている場合もあります[1]。
治療では、細かなタイプ分けだけにこだわらず、尿酸値、腎機能、尿路結石や合併症、生活習慣、薬の影響を合わせて確認します。原因と考えられる薬があっても、自己判断で中止せず、主治医に相談してください[1]。
高尿酸血症と痛風の検査
高尿酸血症や痛風が疑われる場合は、症状や診察所見に応じて、以下の検査を組み合わせます。通常は外来で調べられます[1][2]。
- 血液検査:尿酸値のほか、クレアチニンや推算糸球体濾過量(eGFR)などで腎臓の働きを確認し、肝機能や脂質なども評価します。痛風発作中は尿酸値が高くないこともあるため、症状が落ち着いてから再検査する場合があります[1][2]。
- 尿検査:血尿や蛋白尿、尿の酸性度などを調べます。必要に応じて尿中の尿酸排泄量を測定し、原因や治療を考える参考にします[1]。
- 関節液検査:診断がはっきりしない場合などに、関節から針で液を採り、尿酸の結晶や感染の有無を調べます。すべての方に必要な検査ではありません[2]。
- 画像検査:必要に応じてX線(レントゲン)検査で関節の状態を確認し、超音波(エコー)検査などで尿酸の結晶や腎臓の状態を評価します[1][2]。
高尿酸血症と痛風の治療
治療には、「発作の炎症・痛みを抑える治療」と、「尿酸値を下げて発作や痛風結節を防ぐ治療」があります。薬の目的が異なるため、痛みが治まった後も、必要に応じて尿酸値の管理を続けます[1][2]。
痛風発作の痛みを抑える薬
痛風発作では、腎機能や合併症、症状の程度に合わせて炎症と痛みを抑える薬を選びます[1][2]。
- コルヒチン:関節に違和感があるなど、発作の前兆や早い時期に用います。服用する時期や方法は、あらかじめ医師に確認してください。
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):ロキソプロフェンなどで、炎症と痛みを抑えます。腎機能の低下や胃腸の病気などによっては、使えないことがあります。
- ステロイド:内服薬や関節内注射などで用います。他の薬が使いにくい場合も含め、病状に合わせて選択します。
すでに尿酸値を下げる薬を服用している方は、発作が起きても原則として処方どおり継続し、医師に相談してください。自己判断で開始・中止・増減せず、新しく始める時期も医師と相談します[1][5]。
尿酸値を下げる薬が必要になる目安
尿酸値を下げる治療を「尿酸降下療法」といいます。日本のガイドラインでは、症状や合併症、尿酸値に応じて、以下を目安に薬物治療を検討します[1]。
- 痛風発作の既往がある場合
- 痛風結節がある場合
- 尿酸値が8.0mg/dL以上で、腎障害、尿路結石、高血圧、心血管疾患などの合併症がある場合
- 合併症がなくても、尿酸値が9.0mg/dL以上の場合
症状がない方では、数値だけで一律に薬を始めるのではなく、期待される効果と副作用、腎機能などを踏まえて個別に判断します[1]。尿酸値を下げれば必ず腎臓の働きが守られるわけではないため、治療の目的も確認しながら薬の必要性を判断します[6]。
痛風のある方では、血清尿酸値を6.0mg/dL以下に維持することを基本的な目標とします。痛風結節がある場合や発作を繰り返す場合などは、さらに低い目標を検討することもあります。症状のない高尿酸血症では、薬の必要性や目標値を合併症などに応じて個別に判断します。高尿酸血症の診断基準である「7.0mg/dLを超える」とは意味が異なります。薬の種類と量は、尿酸値、腎機能・肝機能、尿路結石や合併症、併用している薬などを確認して決めます[1][2]。
尿酸値を下げる薬の種類
尿酸の排泄を促す薬は、腎臓から尿へ出る尿酸を増やします。尿路結石の有無や腎機能などを確認して使用します[1][5]。
- プロベネシド:尿酸の排泄を促す薬の一つです。[5]
- ベンズブロマロン(商品名:ユリノームなど):尿酸の排泄を促します。重い肝障害が起こることがあるため、定期的な肝機能検査が必要です。
- ドチヌラド(商品名:ユリス):尿酸の排泄を促します。腎機能や尿路結石の有無などを確認して使用します。
尿酸の生成を抑える薬は、体内で新たに作られる尿酸を減らします。腎機能や合併症に応じて選び、少量から調整します[1][5]。
- アロプリノール(商品名:ザイロリックなど):古くから使われている薬です。腎機能に応じて量を調整し、重い皮膚症状などの副作用に注意します。[5]
- フェブキソスタット(商品名:フェブリクなど):腎機能が低下した方にも使用されますが、腎機能の程度や心血管疾患などの合併症を確認して使用します。
- トピロキソスタット(商品名:ウリアデックなど):少量から開始し、尿酸値や肝機能などを確認しながら量を調整します。
尿酸値を下げる薬を始めた時期には、一時的に痛風発作が起こることがあります。その場合も自己判断で中止せず、主治医に連絡してください[1][5]。
尿酸値を下げるための食事と生活習慣
生活習慣を見直すことは、尿酸値の管理や体重の改善に役立ちます。ただし、特定の食品を食べれば十分に下がるわけではなく、生活改善だけでは目標に届かない場合には薬も組み合わせます[1][2][4]。
食事と飲み物で気をつけること
- 食べ過ぎを避け、適正体重を目指す:レバー、あん肝、白子、一部の魚介類など、プリン体を多く含む食品の食べ過ぎに注意します。特定の食品だけを避けるのではなく、食事全体の量とバランスを整えましょう。急激な減量は避け、無理のない方法で体重を管理します[1][4]。
- 糖分の多い飲料を控える:清涼飲料水などを日常的にたくさん飲む習慣は見直しましょう。普段の水分補給には水や無糖のお茶を選びます[1][4]。糖分を含むスポーツドリンクを、尿酸値を下げる目的で多量に飲むことは勧められません[4]。
- お酒は種類だけでなく量を見直す:ビールに含まれるプリン体に加え、アルコール自体にも尿酸値を上げる作用があります。「プリン体ゼロ」のお酒でも飲み過ぎには注意が必要です[1]。
水分補給と運動の注意点
- 脱水を避ける:水や無糖のお茶でこまめに水分を補いましょう。適切な量は体格や活動量、心臓や腎臓の状態で異なります。水分制限の指示がある方は、その範囲を守ってください[1][7]。
- 無理のない運動を続ける:発作が落ち着いているときは、ウォーキングなどの有酸素運動を体調に合わせて行います。発作中は痛む関節を休め、激しい運動や脱水は避けましょう[1][4]。
痛風腎と尿路結石 腎臓や心臓との関係
尿酸と腎臓の関係
尿酸や尿酸塩の結晶が腎臓にたまり、腎障害を起こすことがあります。「痛風腎」と呼ばれますが、実際には高血圧などの合併症も腎機能の低下に関わります。また、尿酸による尿路結石ができることもあります。反対に、腎機能が低下すると尿酸が排泄されにくくなるため、尿酸値と腎機能の両方を確認することが大切です[3][8]。
心臓と腎臓を合わせて管理する
高尿酸血症は、腎臓病や心筋梗塞・脳卒中などとの関連が報告されています。一方、尿酸値を薬で下げることで、これらの病気を予防できるかは十分に明らかになっていません。尿酸値だけでなく、腎機能や血圧、コレステロールなども確認し、総合的に管理することが大切です[6][8][9]。
心臓と腎臓が互いに影響し合うことを「心腎連関」といいます。片方の機能が低下すると、もう一方にも負担がかかることがあります。高尿酸血症の診療でも、持病や薬の影響を含め、腎臓と心臓の状態を合わせて考えます[8]。
当院では、腎臓内科医の副院長と循環器専門医の院長が連携し、尿酸値の管理に加え、高血圧や脂質異常症などの合併症にも対応します。
日本で痛風の治療を受けている人
2025年の国民生活基礎調査では、痛風で通院している人は約131万人と推計されています。これは、その年に新しく発症した人数ではなく、通院している人の推計です。男性に多くみられますが、女性や若い人にも起こります[4][10]。
よくある質問
A
症状がなくても、尿酸値が高い状態が続くと痛風などを起こすことがあります。定期的に尿酸値や腎機能を確認し、生活習慣を見直しましょう。薬が必要かどうかは、尿酸値や合併症などを踏まえて判断します[1]。
A
ビールのプリン体だけでなく、アルコール自体にも尿酸値を上げる作用があります。日本酒、焼酎、ワインや「プリン体ゼロ」のお酒でも、飲み過ぎには注意が必要です。現在の尿酸値や持病に合わせて、飲酒量を医師と相談しましょう[1]。
A
通常は外来で採血や尿検査などを行います。採血時には針を刺す痛みがあります。診断のために関節液検査が必要な場合も、関節に針を刺して液を採るため痛みを伴うことがあります。強い症状や感染症などが疑われる場合には、入院や専門の医療機関での検査が必要になることもあります[2]。
A
初めての強い痛みや腫れは、痛風と決めつけず早めに受診してください。発熱を伴う赤い関節の腫れや全身状態の悪化がある場合は、関節の感染症などを除外するため、速やかな診察が必要です。意識がおかしい、呼びかけへの反応が悪い、呼吸が苦しいなどの場合は、救急要請してください[2]。
福岡市で高尿酸血症・痛風の診療なら|うらマイハートクリニックの特徴
うらマイハートクリニック(福岡市早良区藤崎・原)は、内科・循環器内科・腎臓内科・呼吸器内科を診療し、心臓リハビリテーションにも対応するクリニックです。
院長(浦 祐次郎)は、循環器専門医・総合内科専門医・心血管インターベンション治療学会認定医・TAVI実施医/指導医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士として、九州医療センターで13年間、小倉記念病院で1年半にわたり、重症心疾患の診療に従事してきました。副院長の浦 雅紀子は腎臓内科医として、福岡山王病院で約5年間、九州医療センターで6年間にわたり、心腎連関を踏まえた包括的な腎臓病診療に従事してきました。
現在はうらマイハートクリニックにて内科医2名体制で円滑な診療に努めています。
- 院内での迅速な検査体制:BNPなど含む当日結果のわかる多様な血液検査、心臓を含む各種エコー検査、総合病院レベルの64列CT(冠動脈CT含む)に対応。
- 治療後のサポート:心臓リハビリ施設「ReHeart Gym」で専門スタッフが体力回復・再発予防を支援。
- 通いやすい診療体制:診療開始は8時30分から、水曜は20時まで診療。駐車場11台完備。発熱症状のある方の専用入口あり。
健診で尿酸値が高いと指摘された方、腎臓が悪い方、突然の関節痛を経験した方、薬や食事について迷っている方は、福岡市早良区のうらマイハートクリニックまでお気軽にご相談ください。
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当院の専門外来では最適な治療プランをご提案しております。
参考文献
[1] 日本痛風・核酸代謝学会 ガイドライン改訂委員会編. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版. 診断と治療社; 2018. および日本痛風・尿酸核酸学会. 同ガイドライン 第3版 2022年追補版. 第3版ダイジェスト / 2022年追補版
[3] 日本腎臓学会. 全身性疾患に伴う腎障害「7. 痛風腎」. 解説
[5] 医薬品医療機器総合機構(PMDA). 尿酸降下薬の電子添文. フェブリク / ウリアデック / ユリノーム / ユリス / ベネシッド / アロプリノール「ケミファ」
[8] 日本腎臓学会編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023. 東京医学社; 2023. ガイドライン