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急性腎障害(AKI)

急性腎障害の症状・原因・検査・治療|福岡市早良区

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「胃腸炎で食べられなかったあと、急に腎臓の数値が悪くなった」「尿がいつもの半分も出ていない気がする」。それまで腎臓の病気を指摘されたことがない方でも、体調の変化をきっかけに腎臓の働きが短期間で低下することがあります。これが急性腎障害です。脱水だけでなく、薬の影響、重い感染症、心不全、尿の通り道の詰まりなどが原因になります。

早く原因を取り除くことで回復が見込める一方、尿が出ていても障害が進んでいることや、治療後に腎機能の低下が残ることがあります。「水を飲めば戻るだろう」と様子を見続けるのは避けたいところです。このコラムでは、気づきやすい症状から検査、治療、その後の生活までを説明します。突然尿が出なくなった、強い息苦しさがあるといった場合は、記事を読み終えるのを待たず受診してください。

この記事の要点

  • 急性腎障害は、数時間から数日ほどの短い間に腎臓の働きが低下する状態です。尿量が減らない場合もあります。
  • 脱水、薬の影響、感染症、心不全、前立腺肥大症などによる尿路閉塞が原因になります。
  • 診断には以前と比較した血液検査、尿検査、尿量の確認、腎臓・膀胱のエコーなどを組み合わせます。
  • 強い息苦しさ、意識の異常、失神を伴う動悸がある場合は、救急要請してください。急に尿が出ない場合も、その日のうちに医療機関へ相談してください。

この記事を書いた医師

うらマイハートクリニック副院長 腎臓内科医 浦 雅紀子
(日本内科学会 認定内科医、難病指定医、身体障害者福祉法指定医師)

腎臓内科医
副院長 浦 雅紀子から一言
「昨日まで普通に生活していたのに、腎臓が悪いと言われた」と戸惑う方もいらっしゃると思います。急性腎障害では、以前の検査結果と、直前の体調や薬の変化が診断の手がかりになります。健診結果とお薬手帳をお持ちいただけると、いつから何が変わったのかを一緒に確かめられます。

急性腎障害とは|慢性腎臓病とは何が違うのでしょうか

腎臓は、血液から不要な物質を取り除くだけでなく、水分や塩分、カリウムなどの量を調節しています。その働きが急に落ちた状態が急性腎障害です。英語の頭文字でAKIと呼ばれ、以前の「急性腎不全」よりも早い段階の障害を含む言葉です。単独の一つの病気ではなく、さまざまな原因によって起こる腎機能低下の総称と考えてください[1]。

これに対し、腎機能低下や尿の異常が3か月以上続く状態を慢性腎臓病といいます[2]。長く腎臓が悪かった方に、脱水などが重なって急性腎障害を起こすこともあります。「急性か慢性か」は今回の数値だけでは判断できず、過去の採血、尿検査、腎臓の大きさなどを合わせて確認します。慢性腎臓病の詳しい解説は、慢性腎臓病のコラムをご覧ください。

症状|尿の減少、むくみ、だるさに気づいたら

気づきやすい変化は尿量の減少です。「いつもなら朝から何度もトイレに行くのに、今日はほとんど行っていない」「飲んだ量に比べて尿が少ない」といった感覚が手がかりになります。尿の色が濃い、口が乾く、立つとふらつく場合は脱水が考えられます。ただし、尿量は飲水量や発汗にも左右されるため、尿が少ないことだけで原因を決めることはできません[3][4]。

体内に水分がたまると、足や顔のむくみ、短期間の体重増加が現れます。肺に水分がたまれば、歩くと息切れする、横になると苦しいなどの症状が出ます。老廃物の蓄積によって、食欲が落ちる、吐き気がする、だるいといった症状が出ることもあります。これらは風邪や疲れでも起こるため、症状が続くときには採血で確かめます[1][3]。

一方、尿が普段どおり出る急性腎障害もあります。尿が出ることと、老廃物を十分に排泄できることは同じではありません。痛みを伴わないことも多く、腰が痛くないから腎臓は大丈夫とは言い切れません。薬の開始後や重い感染症のあとなど、発症しやすい状況では症状がなくても検査が必要になる場合があります。

原因①|脱水や心不全で腎臓への血流が変わる

下痢や嘔吐が続く、発熱して水分が取れない、暑い場所で大量に汗をかくと、腎臓に流れる血液が不足します。出血や著しい血圧低下でも同じことが起こります。特に高齢の方は喉の渇きを自覚しにくく、食事や飲水が減った状態が続いて初めて異変に気づくことがあります[4][5]。

心不全も腎機能が悪くなる原因です。心臓から十分な血液を送り出せない場合に加え、静脈側に血液が滞って腎臓が働きにくくなる場合があります。むくんでいるのに腎臓への有効な血流が足りないこともあり、単純に水分を足せば解決するとは限りません。点滴で補うのか、水分を減らす治療をするのかは、血圧、体重、診察、エコーなどで見極めます。心不全の詳しい解説は、心不全のコラムをご覧ください。

原因②|腎臓そのものの炎症や薬の影響

重い感染症では、血圧の低下や全身の炎症により腎臓が障害されます。腎臓のろ過部分に炎症が起こる腎炎、薬への反応で腎臓内に炎症が起こる間質性腎炎、筋肉が大きく傷ついて成分が血液に流れ出す横紋筋融解症なども原因になります。発熱と血尿、強い筋肉痛と褐色の尿など、ほかの症状があるかも確認します[1][5]。

ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの解熱鎮痛薬は、条件によって腎臓への血流を低下させます。普段は問題なく使えていても、脱水時やもともとの腎機能低下、利尿薬などの併用が重なると障害が起こることがあります。抗菌薬、抗ウイルス薬、抗がん薬などにも腎機能を確認しながら使う薬があります。処方薬だけでなく、市販薬、漢方、サプリメントの名前も伝えてください[3]。

原因③|尿の通り道が詰まる

腎臓で作られた尿は、尿管、膀胱、尿道を通って外に出ます。前立腺肥大症などによる尿路閉塞、尿路の結石、腫瘍などでこの流れが妨げられると、腎臓に圧がかかり腎機能が低下します。尿を出したいのに出ない、下腹部が張る、以前から尿の勢いが弱いなどの情報が役立ちます[4][5]。

片側の尿管が詰まっても、反対側の腎臓が十分働いていれば採血値があまり変わらないことがあります。一方、両側が詰まった場合や、機能している腎臓が一つの場合は急に悪化することがあります。「少し尿は出ている」というだけで閉塞を否定せず、エコーで尿のたまり方や膀胱の状態を調べます。

検査|今回の数値だけでなく、変化の速さを調べます

まず、飲水や食事の量、下痢・嘔吐・発熱、尿量、体重の変化、薬の開始や増量を伺います。診察では血圧、脈拍、むくみ、口の乾燥などを確認します。健診や別の医療機関で受けた採血の結果は、発症前の腎機能を推定するために役立ちます。検査結果をお持ちの場合は、数値が悪かった回だけでなく、その前の結果もお持ちください。

血液検査で調べるクレアチニンは、腎臓から排泄される物質です。国際的な診断基準では、48時間以内に0.3mg/dL以上上がる、7日以内に以前の1.5倍以上になる、一定時間にわたり尿量が著しく減る、のいずれかで急性腎障害を判断します。例えばクレアチニンが0.7から1.1mg/dLへ短期間で上がれば、検査票で目立たない数値でも評価が必要です[1][4]。

カリウムやナトリウム、血液が酸性に傾いていないかも確認します。カリウムの大きな上昇は不整脈につながるため、心電図が必要になることがあります。腎機能を示す推算値であるeGFRは、腎機能が急変している最中には普段と同じ精度で解釈できません。クレアチニンの推移、尿量、全身状態を重視します。

尿検査では蛋白、血液、炎症の有無や、尿中の細胞などを調べます。エコーは腎臓の形や尿路の詰まりを確認でき、通常痛みはありません。結石などを詳しく見るためCTを追加することもあります。原因が不明で腎炎などが疑われる場合は、専門病院で腎生検を検討します。腎生検は局所麻酔のうえ針で腎臓の一部を採る検査で、出血の観察などのため入院が一般的です[4][6]。

治療|原因を取り除き、体の水分と電解質を整える

急性腎障害には、すべての患者さんに同じ量で使う「腎臓を元に戻す薬」はありません。脱水なら失われた水分と塩分を補い、感染症なら原因に応じた抗菌薬などで治療し、尿路閉塞なら尿の流れを回復させます。薬が原因と考えられるときは、医師が中止、変更、減量を判断します[1][5]。治療期間は原因と腎機能の回復によって変わり、数日で改善する場合も、数週間以上の治療が必要な場合もあります。

脱水への点滴は、血圧、尿量、心臓の状態を見ながら種類・量・速度を調整します。心不全で水分がたまっている方では、利尿薬などで余分な水分を減らす治療が必要になることがあります。利尿薬で尿が増えても、それだけで腎臓の障害が治ったとは判断できません。腎機能、呼吸の状態、体重を繰り返し確認します[1]。

尿路が詰まっている場合は、尿道から膀胱へ細い管を入れる、尿管に管を留置するなどの処置を行います。腎炎や間質性腎炎では、検査結果に応じてステロイドなどを用いる場合があります。これらは脱水と同じ治療ではありません。泌尿器科的な処置、腎生検、免疫を抑える治療が必要な場合は、専門病院と連携します[4][6][7]。

腎機能が急に落ちると、普段の薬が体にたまりやすくなります。腎臓が直接傷つく薬だけでなく、通常は腎臓から排泄される薬も見直しが必要です。飲み続ける薬と一時的に調整する薬、再開の時期を医師・薬剤師と確認してください。処方薬をすべて一度にやめたり、症状が治ったから自己判断で元の量へ戻したりしないことが大切です。

透析が必要になる場合|一度始めたら一生とは限りません

治療してもカリウムが危険な高さのまま、肺に水分がたまって呼吸が苦しい、血液の酸性化が強い、老廃物による意識の異常などがある場合は、透析が必要になることがあります。クレアチニンが何mg/dLになったら必ず透析、という一律の決め方ではありません。変化の速さや尿量、全身状態で判断します[1][4]。

急性腎障害の透析は、腎臓が回復するまでの間、体のバランスを保つために行う場合があります。回復すれば終了できることもあり、透析を始めたことだけで一生続くとは決まりません。ただし、障害が強かった方や、もともと腎機能が大きく低下していた方では、継続が必要になる場合もあります。今の治療の目的と回復の見込みを、その時点の経過に沿って確認します。

腎臓内科医
副院長 浦 雅紀子から一言
「点滴をしてもらえばいいですか」「水をたくさん飲めば治りますか」という疑問には、まず原因を確かめてからお答えします。脱水では補給が必要ですが、心不全や尿が出にくい状態では水分が負担になることもあります。尿量やむくみの変化を伝えていただくことが、適切な治療を選ぶ助けになります。

回復したあとも確認したいこと

尿が増えたり、食欲が戻ったりしても、採血の数値が回復しているかを確認します。回復の途中に尿が多く出る時期があり、その際は水分や電解質が不足することもあります。飲水量は回復に合わせて見直すため、「入院中に水を制限されたから」と退院後も同じ量を続けるとは限りません。退院時や再診時に、その日の目安を確かめてください。

急性腎障害を経験したあとには、慢性腎臓病が残ったり、以前からの腎臓病が進んだりすることがあります。状態に応じて早い時期に再検し、その後も腎機能、尿蛋白、血圧を確認します。体調が良くなって通院を終える場合にも、「次はいつ検査するか」を決めておくと安心して生活を戻せます[1][2]。

食事は腎機能と採血結果で調整します。むくみや高血圧があれば塩分を控える必要がありますが、カリウムや蛋白をすべての方が厳しく制限するわけではありません。食べられない状態が続くことも回復を妨げます。食事量が落ちている方、体重が減る方には、制限だけでなく必要な栄養を取れるかも確認します。

再発を防ぐために|体調が悪い日の薬と水分

暑い日の外出や運動では、休憩し、水分を取れる環境を整えます。ただし、心不全などで飲水量の指示がある方は、その範囲で対策を相談してください。嘔吐や下痢で飲めない、発熱で食事が取れないときは、普段どおりの生活ができないこと自体を医療機関へ伝えます。無理に大量の水を飲み込む必要はありません。

腎臓や心臓、糖尿病の薬の中には、脱水時に一時的な調整を考えるものがあります。平時に「食べられない日にどの薬について連絡するか」「再開はいつ判断するか」を確認しておきましょう。市販の痛み止めを買うときも、急性腎障害の経験があることを薬剤師へ伝えてください。お薬手帳を一冊にまとめると、別の診療科や薬局でも情報を共有しやすくなります。

受診の目安|尿が出ないときは翌日まで待たずに相談を

急に尿がほとんど出ない、尿を出したいのに出ず下腹部が張る、嘔吐や下痢で水分が取れない、むくみと体重増加が進む場合は、その日のうちに相談してください。尿量が少ないまま「明日まで水を飲んでみよう」と待ち続けないでください。夜間など通常の外来が受けられない場合は、救急医療機関へ連絡します。

安静にしていても強く息苦しい、横になれない、呼びかけへの反応がおかしい、失神する、強い動悸にふらつきや胸痛を伴う場合は救急要請してください。血液中のカリウム異常や、肺に水分がたまる状態などが考えられます。自分で車を運転して受診しないでください。

よくある質問

Q急性腎障害は治りますか。薬を一生飲むことになりますか。

A

脱水や尿路閉塞などの原因が解消すると回復することがあります。ただし、元の腎機能まで戻るかは障害の強さ、期間、もともとの腎臓病で変わります。急性腎障害という理由だけで一生薬が必要になるわけではありませんが、原因の病気や残った腎機能低下への治療は続ける場合があります。

Q尿が出ているのに急性腎障害と診断されることはありますか。

A

あります。尿の量を保ちながら、老廃物の排泄が十分にできなくなる場合があります。尿が出ていても採血で腎機能が悪化していれば、原因の確認と経過観察が必要です。「出ているから受診しなくてよい」とは考えないでください。

Q運動してもよいですか。

A

発症中は脱水や全身状態の悪化を避け、強い運動を控えます。回復後は体力や原因に応じて日常生活から戻します。発汗の多い運動、長時間の屋外活動、筋肉痛を我慢して行う激しい運動は、再開前に相談してください。

Q水をたくさん飲み、腎臓に良い食品を取れば治りますか。

A

脱水なら補給が必要ですが、尿が出ない方や心不全のある方で大量に飲むと、むくみや呼吸困難を悪化させることがあります。特定の食品やサプリメントで急性腎障害を治すことはできません。水分・塩分・カリウムなどは検査結果と体の状態に合わせて決めます。

Q遺伝する病気ですか。

A

急性腎障害そのものが、そのまま子どもへ遺伝するわけではありません。ただし、遺伝性の腎臓病などが背景にある場合は別です。ご家族に腎臓病や若い年齢での透析の方がいる場合は、診察時に教えてください。

Q検査は痛いですか。入院が必要ですか。

A

通常の確認は採血と尿検査、エコーが中心で、採血以外の痛みはほとんどありません。軽症で原因が明らかなら外来で管理する場合もありますが、急速な悪化、電解質異常、飲水困難などがあれば入院が必要です。腎生検や透析が必要な場合も専門病院で対応します。

Qどの症状なら救急車を呼ぶべきですか。

A

強い息苦しさ、意識の異常、失神、胸痛を伴う動悸などがある場合は救急要請してください。急に尿が出なくなった場合も当日中の受診が必要ですが、救急車の要否は全身状態で変わります。強い痛みやぐったりした状態で移動が難しい場合は、救急要請してください。

福岡市で急性腎障害・急な腎機能低下の診療なら|うらマイハートクリニックの特徴

うらマイハートクリニック(福岡市早良区藤崎・原)は、内科・循環器内科・腎臓内科・呼吸器内科を診療し、心臓リハビリテーションにも対応するクリニックです。

院長(浦 祐次郎)は、循環器専門医・総合内科専門医・心血管インターベンション治療学会認定医・TAVI実施医/指導医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士として、九州医療センターで13年間、小倉記念病院で1年半にわたり、重症心疾患の診療に従事してきました。副院長の浦 雅紀子は腎臓内科医として、福岡山王病院で約5年間、九州医療センターで6年間にわたり、心腎連関を踏まえた包括的な腎臓病診療に従事してきました。

現在はうらマイハートクリニックにて内科医2名体制で円滑な診療に努めています。

  • 院内での迅速な検査体制:BNPなどを含む当日結果のわかる多様な血液検査、心臓を含む各種エコー検査、総合病院レベルの64列CT(冠動脈CTを含む)に対応。
  • 治療後のサポート:心臓リハビリ施設「ReHeart Gym」で専門スタッフが体力回復・再発予防を支援。
  • 通いやすい診療体制:診療開始は8時30分から、水曜は20時まで診療。駐車場11台完備。発熱症状のある方の専用入口あり。

尿量の減少やむくみが気になる方、急に腎臓の数値が悪くなったと指摘された方は、福岡市早良区のうらマイハートクリニックまでお気軽にご相談ください。

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参考文献

[1] 日本腎臓学会ほか.AKI(急性腎障害)診療ガイドライン2016.

[2] 日本腎臓学会.エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023.

[3] 厚生労働省.重篤副作用疾患別対応マニュアル:急性腎障害(急性尿細管壊死).

[4] 東京都健康長寿医療センター.急性腎障害.

[5] 国立循環器病研究センター.急性腎障害(AKI).

[6] 日本腎臓学会.腎生検ガイドブック2020.

[7] 厚生労働省.重篤副作用疾患別対応マニュアル:間質性腎炎(尿細管間質性腎炎).

浦 雅紀子

この記事の監修者:
うらマイハートクリニック副院長 
浦 雅紀子

福岡山王病院にて各診療科からの腎臓病相談を一手に担ってきた 腎臓の専門家。豊富な知識と経験で、多くの症例を解決に導く。

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