逆流性食道炎の症状・原因・検査・治療|福岡市早良区
1. はじめに:こんな症状でお悩みではありませんか?
「食後に胸やけがする」「酸っぱいものがこみ上げてくる」「喉の違和感が取れない」。こうした症状に心当たりはありませんか。胸やけや酸っぱいものがこみ上げる症状は、逆流性食道炎(胃食道逆流症・GERD)でよく見られます。喉の違和感も関係することがありますが、ほかの病気でも起こるため、症状だけで決めつけずに確認することが大切です。
胸やけが繰り返すと、食事や睡眠に支障が出ることがあります。炎症が強い場合は出血や食道の狭窄を起こすこともありますが、胸やけが続く方が皆、がんになるわけではありません。「薬をやめるとすぐに再発する」「風邪が治ったのに咳が長引く」といった場合も、原因を確認し、治療の続け方を相談しましょう。
【この記事の要点】
- 逆流性食道炎は、胃の内容物が食道へ逆流し、食道の粘膜に炎症が起こる病気です。胸やけや酸っぱいものがこみ上げる感じがよくみられます。
- 食後や横になったときの胸やけ、繰り返す症状、市販薬で改善しない症状は受診の目安です。咳や喉の違和感を伴うこともあります。
- 胸の痛みに冷汗や息苦しさを伴う場合は、心臓の病気も考えます。強い症状や意識の変化があるときは救急要請してください。
- 症状や必要に応じた胃カメラなどで判断し、胃酸を抑える薬と生活習慣の見直しで治療します。薬の継続期間は重症度や再発の状況に応じて決めます。
この記事を書いた医師
うらマイハートクリニック院長 浦 祐次郎
(循環器専門医・総合内科専門医・TAVI実施医/指導医・心血管インターベンション治療学会認定医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士)
循環器専門医院長 浦 祐次郎から一言「胸やけだと思っていたのですが、歩くと胸が苦しくなります」。胸の症状を、胃酸の逆流だけで説明できるとは限りません。いつ、どんなときに症状が出るかを教えてください。冷汗や息苦しさを伴う強い胸の痛みが続く場合は、胃薬で様子を見ずに救急要請してください。
2. 逆流性食道炎(胃食道逆流症・GERD)とは?
逆流性食道炎は、胃食道逆流症(Gastroesophageal Reflux Disease: GERD)と呼ばれる疾患群の一部です。胃の中から、胃酸を主成分とする強力な酸性の消化液や、消化途中の食物が食道へ逆流することによって、食道の粘膜に炎症(ただれ)やびらん(粘膜の浅い傷)、潰瘍を引き起こす状態を指します[1]。
本来、食道と胃のつなぎ目(噴門部)は、下部食道括約筋(LES)という筋肉によって、食べ物を飲み込むとき以外は固く閉じており、胃の内容物が逆流しないような精巧な仕組みになっています。しかし、加齢や生活習慣の乱れなど何らかの原因でこの仕組みがうまく機能しなくなると、胃酸が食道へと流れ込み、食道粘膜を直接刺激して様々な不快な症状を引き起こすのです。食道の粘膜は胃の粘膜とは異なり、強い酸に対する防御機能が弱いため、胃酸にさらされると容易にダメージを受けてしまいます。
一方で、胸やけや呑酸(どんさん:酸っぱいものがこみ上げる症状)などの典型的な逆流症状があるにもかかわらず、内視鏡検査(胃カメラ)を行っても食道に明らかな炎症やびらんが見られないケースも多々あります。これは非びらん性胃食道逆流症(Non-Erosive Reflux Disease: NERD)と呼ばれます。GERDは、この「逆流性食道炎(びらん性GERD)」と「NERD」を合わせた総称であり、症状の有無や内視鏡所見によって細かく分類されます[1]。
3. 症状:胸やけだけじゃない多彩なサイン
逆流性食道炎の症状は、食道に直接現れる食道症状と、食道以外に現れる食道外症状に大別されます。症状の現れ方には個人差が非常に大きく、内視鏡での重症度(炎症の強さ)と自覚症状の強さが必ずしも一致しないことも、この病気の大きな特徴であり、診断を難しくする要因の一つです[1]。
「こんな経験はありませんか?」
- 夜中に突然咳き込んで目が覚める
- 耳鼻科に通っても喉のイガイガが治らない
- 心臓の検査をしても異常がないのに胸が痛む
実はこれらも、逆流性食道炎のサインかもしれません。
| 症状のタイプ | 具体的な症状 | 特徴と注意点 |
|---|---|---|
| 典型的な食道症状 | 胸やけ(みぞおちから胸骨の下にかけての焼けるような、熱くなるような感覚) 呑酸(どんさん)(酸っぱい液体や苦い胃液が喉や口までこみ上げてくる感覚) |
最も多く見られる症状。食後(特に食後2時間以内)や夜間就寝時、前かがみになった時、重いものを持ち上げた時に悪化しやすい。 |
| 非典型的な食道症状 | 胸の痛み(非心臓性胸痛)、食べ物のつかえ感、飲み込みにくさ(嚥下困難)、げっぷの頻発、胃もたれ | 胸痛は狭心症や心筋梗塞などの命に関わる心臓病と間違われることが多く、極めて注意が必要。冷汗や息苦しさを伴う強い胸痛が続く場合は、胸やけと思って様子を見ずに救急要請してください[1],[2]。 |
| 食道外症状 | 慢性的な咳(特に夜間や早朝に悪化)、喉の違和感・イガイガ感・詰まり感(咽喉頭異常感症)、声のかすれ(嗄声)、喘息の悪化、睡眠障害、歯の酸蝕症(酸で歯の表面が傷む状態) | 消化器症状が目立たず、呼吸器科や耳鼻咽喉科の症状が前面に出ることがある。咳や喉の違和感には、喘息や鼻の病気など別の原因もあるため、胸やけの有無や検査結果を合わせて判断する[1],[2]。 |
4. 疫学:どれくらいの人がかかっているの?
かつて逆流性食道炎は、高脂肪食を好む欧米人に多い疾患とされていましたが、現在では日本人にも非常に増えています。日本の成人におけるGERDの有病率は10〜20%と推定されており、実に5人から10人に1人がこの疾患に悩んでいる計算になります[3]。
特に、40歳以上の中高年層に多く見られますが、脂肪の多い食事、肥満、加齢などの影響を背景に、近年では20代〜30代の若年層にも増加傾向にあります。また、自覚症状がないまま健康診断や人間ドックの内視鏡検査で偶然発見される「無症候性GERD」のケースも少なくありません。
5. 原因と分類:なぜ胃酸が逆流するのか?
逆流性食道炎は、単一の原因で起こるわけではなく、様々な要因が複雑に絡み合って発症します。主な原因は、食道と胃のつなぎ目にある「逆流防止機能」の低下と、胃酸の過剰分泌、そして食道の運動機能の低下です。具体的には、以下のような要因が挙げられます[1]。
| 分類 | 具体的な要因 | メカニズム |
|---|---|---|
| 下部食道括約筋(LES)の機能低下 | 加齢、喫煙、特定の薬剤(カルシウム拮抗薬、硝酸薬、抗コリン薬など) | 胃と食道の間の締め付け(バルブ機能)が弱まり、胃の内容物が物理的に逆流しやすくなる。 |
| 食道裂孔ヘルニア | 肥満、加齢、猫背などの不良姿勢、慢性的な咳 | 横隔膜の穴(食道裂孔)が緩み、胃の一部が胸腔内にはみ出すことで、逆流防止機能が著しく低下する。 |
| 胃酸による刺激 | 逆流した胃酸、食べ過ぎや脂肪の多い食事など | 胃酸の分泌量が正常でも、食道へ逆流する量や酸にさらされる時間が増えると、粘膜が傷つきやすくなる[1]。 |
| 腹圧の上昇 | 肥満(特に内臓脂肪型肥満)、妊娠、便秘、ベルトやコルセットの締めすぎ、重い物を持つ仕事 | 外側から胃が圧迫され、物理的に内容物が食道へ押し上げられやすくなる。 |
| 食道の蠕動(ぜんどう)運動の低下 | 加齢、糖尿病による神経障害、一部の膠原病(強皮症など) | 逆流してきた胃酸を速やかに胃へ押し戻す(クリアランス)力が弱まり、酸にさらされる時間が長くなる。 |
| 食事・生活習慣 | 食べ過ぎ(ドカ食い)、早食い、就寝直前の食事、アルコール、コーヒー、炭酸飲料、喫煙 | 胃酸分泌を促進したり、LES圧を低下させたり、胃の滞留時間を長くしたりする。 |
また、内視鏡検査で観察される食道の炎症の程度によって、重症度が分類されます。世界的に広く用いられており、日本のガイドラインでも推奨されているのがロサンゼルス分類(LA分類)です。この分類により、客観的な重症度評価と治療方針の決定が可能になります。日本では、明らかなびらんのない状態をGrade N・Mとして補足することもあります[1]。
| グレード | 内視鏡所見 | 重症度 |
|---|---|---|
| Grade N | 内視鏡的に異常を認めない(逆流症状がある場合はNERDを検討) | - |
| Grade M | 粘膜に色調の変化(発赤など)のみを認める | - |
| Grade A | 長径5mm以下の粘膜傷害(びらん)が1箇所以上ある | 軽症 |
| Grade B | 長径5mmを超える粘膜傷害が1箇所以上あるが、互いに癒合していない | 軽症 |
| Grade C | 粘膜傷害が2本以上の粘膜のひだをまたいで広がるが、食道全周の75%未満にとどまる | 重症 |
| Grade D | 全周の75%以上に及ぶ広範囲な粘膜傷害 | 重症 |
6. 治療でつまずきやすい点
薬を飲むと症状が軽くなるため、「もう飲まなくてよいのでは」と感じる方もいます。薬を続ける期間や減らす時期は、症状だけでなく食道の炎症の程度も見て決めます。
① 症状が軽くなったあとの薬の続け方
胃酸を抑える薬を飲むと、症状が先に軽くなることがあります。初期治療の期間は薬の種類や重症度で異なり、逆流性食道炎では通常4~8週間を目安に効果を確認します。症状が治まっても炎症が残る場合がありますので、処方された期間は指示どおりに服用し、その後の減量や休薬は医師と相談してください[1],[4],[5]。
② 市販薬を使っても症状が繰り返すとき
市販の胃薬で一時的に楽になっても、症状が繰り返す場合は受診しましょう。食道の炎症や、ほかの病気がないかを確認することが大切です[1],[2]。
③ 毎日飲む治療と、症状が出たときに飲む治療
初期治療や重症例では、毎日の服用が必要になることが多くあります。一方、軽症の逆流性食道炎や非びらん性胃食道逆流症では、状態が落ち着いたあと、医師と相談して症状が出たときに服用する「オンデマンド療法」を選ぶことがあります。飲み方を変えたい場合は、まず処方医に確認しましょう[1]。
7. 検査・診断:専門医による的確なアプローチと鑑別診断
逆流性食道炎の診断は、丁寧な問診と上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を軸に行います。特に重要なのは、似たような症状を引き起こす他の重大な疾患(胃がん、食道がん、狭心症など)を見逃さないための「鑑別診断」です[1],[2]。
| 検査方法 | 目的と詳細 | 当院での対応と強み |
|---|---|---|
| 問診・質問票(Fスケールなど) | 症状の種類、頻度、程度、発症のタイミング、生活習慣、服薬歴などを詳しく聴取する。Fスケール(FSSG)などの標準化された質問票を用いて、客観的に症状をスコア化し、治療効果の判定にも活用する。 | 症状の経過や食事・睡眠、薬の飲み方を伺い、診断と治療に役立てます。 |
| 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ) | 食道粘膜の炎症の有無と重症度(ロサンゼルス分類)を直接目で見て評価する。食道裂孔ヘルニアの有無の確認や、食道がん、胃がん、胃潰瘍など他の器質的疾患との鑑別に不可欠。バレット食道の診断にも必須[1]。 | 胃カメラが必要な場合は、消化器内科の医療機関と連携します。検査時の苦痛を減らす方法は、検査先で相談できます。 |
| PPIテスト(診断的治療) | 内視鏡検査ですぐに異常が見つからない場合や、検査をすぐに受けられない場合に、胃酸分泌抑制薬(PPIまたはP-CAB)を1〜2週間試験的に投与し、症状が改善するかを見る。改善すればGERDの可能性を考えるが、薬への反応だけで確定診断することはできない[1]。 | 患者様の症状や状況に応じて、適切なタイミングで実施を検討します。 |
| 各種画像検査・血液検査・生理機能検査 | 胸痛がある場合は、狭心症や心筋梗塞、大動脈解離などの可能性を、症状や診察に応じた検査で評価する。必要に応じて全身状態や腎機能も確認する。 | 当院では心電図、心臓エコー検査、CT検査などに対応し、胸痛の原因に応じて検査を選びます。BNPは主に心不全の評価に用いる検査で、逆流性食道炎の診断のために全員に測定するものではありません。 |
【胸の痛みの原因を確認する】
逆流性食道炎と狭心症による胸の痛みは、症状だけでは区別が難しいことがあります。当院では循環器専門医が診察し、必要な心電図や心臓エコー検査、CTなどを検討します。緊急性が高い場合は、救急病院と連携して対応します[1],[2]。
胸の痛みで急いで受診したい症状については、胸の痛みのコラムで詳しく説明しています。
8. 治療:薬物療法と生活習慣改善の二本柱
治療では、胸やけなどの症状と食道の炎症を改善し、再発や出血・狭窄などの合併症を防ぐことを目指します。胃酸を抑える薬と、食事や生活習慣の見直しを組み合わせます[1]。
薬物療法:強力な酸分泌抑制が鍵
現在の薬物療法の中心は、胃酸の分泌を強力に抑える薬剤です。患者様の症状の強さ、内視鏡での重症度、ライフスタイル、そして合併症の有無に合わせて最適な薬剤を選択します。
| 薬剤の種類 | 代表的な薬剤(一般名/商品名®) | 特徴と臨床的な位置づけ |
|---|---|---|
| プロトンポンプ阻害薬(PPI) | ランソプラゾール (タケプロン®) ラベプラゾール (パリエット®) エソメプラゾール (ネキシウム®) |
胃酸を分泌する仕組みを抑える薬。例として、成人のエソメプラゾールは逆流性食道炎に20mgを1日1回、通常8週間まで服用する。再発する方の維持療法では10~20mgを1日1回。非びらん性胃食道逆流症では10mgを1日1回、通常4週間まで。薬ごとに用量は異なる[4]。 |
| カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB) | ボノプラザン (タケキャブ®) | PPIとは異なる仕組みで胃酸を抑え、重症例などにも用いる。成人の逆流性食道炎では20mgを1日1回、通常4週間まで、効果が不十分な場合は8週間まで。再発する方の維持療法は10mgを1日1回で、必要に応じて20mg。非びらん性胃食道逆流症は日本での承認適応に含まれない[1],[5]。 |
| H2ブロッカー | ファモチジン (ガスター®) ラフチジン (プロテカジン®) |
PPIやP-CABが登場する前の主流薬。効果はややマイルドだが、速効性がある。軽症例や、PPI投与中の夜間の酸分泌突破(NAB)に対する追加薬として用いられることがある[1]。 |
| 消化管運動機能改善薬 | モサプリド(ガスモチン®)など | 胃もたれなどを伴う場合に、症状や併存する病気に応じて併用を検討する。逆流性食道炎で全員に必要な薬ではなく、上乗せ効果には限界もある[1]。 |
| 粘膜保護薬・制酸薬 | アルギン酸ナトリウム (アルロイドG®) スクラルファート (アルサルミン®) |
食道粘膜を物理的にコーティングして保護したり、出た胃酸を中和したりする。根本治療にはならないが、症状の即効的な緩和目的で補助的に使用される[1]。 |
9. 持病と薬の長期使用で気をつけること
逆流性食道炎の治療を続けるときは、心臓や腎臓の持病、ほかに飲んでいる薬も確認します。胸痛や咳がある場合は、食道以外の原因がないかを見直すことも大切です。
胃酸を抑える薬を長く飲むとき
PPIの長期使用と慢性腎臓病の関連を示した観察研究はありますが、それだけで「PPIが腎臓病の原因になる」とは言い切れません。必要な薬を自己判断で中止せず、症状や炎症の程度を見ながら、続ける必要性と用量を定期的に確認します。長期服用中は、薬や持病に応じて血液検査なども行います。エソメプラゾールやボノプラザンでは、長期投与時に血中マグネシウムを定期的に測定するよう注意が示されています[2],[4],[5]。
咳や喉の違和感が続くとき
胃酸の逆流は、慢性的な咳や喉の違和感に関係することがあります。ただし、こうした症状だけで逆流が原因と決めることはできません。胃酸を抑える治療で改善しない場合は、喘息や鼻の病気なども確認します。長引く咳の原因については、慢性咳嗽のコラムで詳しく説明しています[1],[2]。
10. 食事と生活習慣の見直し
薬で症状が治まっても、逆流しやすい食事や生活習慣が続くと再発することがあります。ご自身の症状に合わせて、次のような点を見直しましょう[1]。
| 改善項目 | 具体的な実践内容とアドバイス |
|---|---|
| 食事内容の見直し | 脂肪の多い食事、アルコール、コーヒー、炭酸飲料、酸味の強い食品などで症状が悪くなる方もいます。すべてを一律に禁止する必要はなく、ご自身が食べたあとに胸やけが出やすいものを、量や食べる時間も含めて調整しましょう[1],[3]。 |
| 食べ方の工夫 | 一度にたくさん食べる「ドカ食い」や「早食い」を避け、よく噛んで腹八分目を心がける。胃がパンパンになると逆流しやすくなります。 |
| 食後の過ごし方 | 食後すぐに横にならない。食べてから胃が空になるまでには時間がかかります。食後最低2〜3時間は横になるのを避けましょう。食後の軽い散歩は胃の排出を助けます[1],[3]。 |
| 就寝時の工夫 | 就寝前2〜3時間は食事を摂らない。夜間に逆流しやすい方は、枕を高くするだけでなく、クッションや専用のマットを使って上半身全体を15〜20cm程度高くして寝る(頭側挙上)と効果的です。左側を下にして寝る(左側臥位)のも逆流を防ぐのに有効とされています[1],[2]。 |
| 腹圧対策(ダイエットと姿勢) | 肥満のある方は、無理のない減量を考えます。ベルトやコルセットの締めすぎ、お腹を強く圧迫する姿勢にも注意しましょう[1]。 |
| 禁煙の徹底 | タバコに含まれるニコチンは、LESの圧力を低下させ、逆流を悪化させるだけでなく、唾液の分泌を減らして食道の酸を洗い流す力(クリアランス)を低下させます。禁煙は逆流性食道炎治療において必須の条件です[1]。 |
禁煙の進め方については、ニコチン依存症・禁煙治療のコラムで詳しく説明しています。
循環器専門医院長 浦 祐次郎から一言「コーヒーも好きな食べ物も、全部やめないといけませんか」。何で胸やけが出るかは人によって違います。まずは、症状が出たときの食事や量、食べた時間を振り返ってみましょう。夕食が遅い、食後すぐ横になるといった習慣も、見直す手がかりになります。
11. 体調に合わせた運動
体重管理には、ウォーキングなどの無理のない運動が役立ちます。持病や体力に合わせて始めましょう。
ただし、食後すぐの激しい運動や、腹筋運動、重量挙げのように腹圧を強くかけるトレーニングは、逆に胃酸の逆流を誘発する可能性があるため注意が必要です[1]。
12. 予防と再発防止のために:長期的な視点を持つ
逆流性食道炎は、一度症状が改善しても再発することがあります。症状が落ち着いた後も、食事や体重、喫煙など、逆流に関係する習慣を見直していくことが大切です[1]。
症状がなくなった後の減量や休薬は、食道の炎症の程度や再発の有無を見ながら医師と相談します。必要に応じて通院や胃カメラで経過を確認します[1]。
13. こんな症状があればご相談ください(受診の目安)
胸やけや胃酸の逆流を繰り返す方、次のような症状がある方はご相談ください。
- 週に2回以上、胸やけやみぞおちの痛みを感じる
- 酸っぱい液体や苦い胃液がこみ上げてくる感じが頻繁にある
- 食べ物が胸につかえる感じがする、飲み込みにくい、むせる
- 市販の胃薬を飲んでも症状が改善しない、または薬をやめるとすぐ再発する
- 原因不明の咳や声のかすれ、喉の違和感が2週間以上続いている
- 胸の痛みや圧迫感があり、心臓の病気ではないかと不安に思っている
- 健康診断のバリウム検査や内視鏡検査で「逆流性食道炎の疑い」「食道裂孔ヘルニア」と指摘された
- 黒い便が出る、吐血した、急激に体重が減少した(※これらは胃がんや食道がんなどの危険なサインの可能性があり、至急の受診が必要です)[2],[4]
14. よくあるご質問(FAQ)
暴飲暴食などの一時的な原因がはっきりしている軽い症状は、食事や生活の見直しで改善することもあります。ただし、症状を繰り返す場合や、内視鏡でびらん・潰瘍が見つかった場合は、胃酸を抑える薬などで治療します。飲み込みにくさや出血があるときは、自然に治るか様子を見ずに受診してください[1]。
除菌後に逆流性食道炎が見られることはありますが、全員で起こるわけではありません。ピロリ菌に感染していると、胃粘膜が萎縮して胃酸の分泌が低下していることが多いです。この状態でピロリ菌を除菌すると、胃の機能が正常化して胃酸分泌が活発になり、結果として逆流性食道炎の症状が新たに出現したり、悪化したりすることが一部の患者様で報告されています。しかし、ピロリ菌は胃がんの最大のリスク因子であり、除菌による胃がん予防のメリットは計り知れません。たとえ逆流性食道炎の症状が出たとしても、酸分泌抑制薬で十分にコントロール可能です。当院では、両方のリスクとベネフィットを総合的に判断し、最適な治療方針をご提案します[1]。
長年の逆流により、食道の粘膜が別の種類の粘膜に置き換わる「バレット食道」ができることがあります。食道腺がんのリスクは上がりますが、日本のバレット食道は短いものが多く、胸やけのある方が皆、がんになるわけではありません。内視鏡で確認された範囲や症状などに応じて、経過観察の方法を相談します。治療や検査で、がんを完全に防げると保証することはできません[1]。
福岡市で逆流性食道炎の診療なら|うらマイハートクリニックの特徴
うらマイハートクリニック(福岡市早良区藤崎・原)は、内科・循環器内科・腎臓内科・呼吸器内科を診療するクリニックです。
院長(浦 祐次郎)は、循環器専門医・総合内科専門医・心血管インターベンション治療学会認定医・TAVI実施医/指導医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士として、九州医療センターで13年間、小倉記念病院で1年半にわたり、重症心疾患の診療に従事してきました。副院長の浦 雅紀子は腎臓内科医として、福岡山王病院で約5年間、九州医療センターで6年間にわたり、心腎連関を踏まえた包括的な腎臓病診療に従事してきました。
現在はうらマイハートクリニックにて内科医2名体制で円滑な診療に努めています。
- 院内の検査体制:BNPなど、当日結果がわかる血液検査、心臓エコー検査を含む各種エコー検査、CT検査(冠動脈CTを含む)に対応。
- 通いやすい診療体制:診療開始は8時30分から、水曜は20時まで診療。駐車場11台完備。発熱症状のある方の専用入口あり。
胸やけや胃酸の逆流を繰り返す方、食後の不快感や長引く咳が気になる方は、福岡市早良区のうらマイハートクリニックまでお気軽にご相談ください。
この症状でお悩みですか?
当院の専門外来では最適な治療プランをご提案しております。
参考文献
[3] 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター. 逆流性食道炎ってどんな病気? 原文