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COPD(慢性閉塞性肺疾患)

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の症状・原因・検査・治療 を解説|福岡市早良区

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「以前より階段で息が切れる」「同年代の人と歩くと遅れてしまう」「朝の咳や痰が続いている」。年齢や運動不足のせいだと思っている症状に、肺の病気が隠れていることがあります。現在タバコを吸っている方だけでなく、以前吸っていた方も、一度ご相談ください。

慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん:COPD)は、主にたばこの煙などによって気道や肺の傷みが生じて、空気を十分に吐き出しにくくなる病気です。禁煙や吸入薬、運動などの治療で、息切れを軽くし、日常生活を保つことを目指します[1][2][3]。

【この記事の要点】

  • COPDは、主にたばこの煙などで肺に炎症や損傷が起こり、咳・痰・息切れが続く病気です。
  • 「階段で息が切れる」「咳や痰が当たり前になった」は、年齢や喫煙のせいと決めつけず相談したいサインです。
  • 診断には息を強く吐く呼吸機能検査を用い、胸部画像などで肺の状態やほかの病気も確認します。
  • 禁煙と吸入薬、体力・栄養の管理を組み合わせ、息切れの軽減と急な悪化の予防を目指します。

この記事を書いた医師

うらマイハートクリニック院長 浦 祐次郎

(循環器専門医・総合内科専門医・TAVI実施医/指導医・心血管インターベンション治療学会認定医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士)

循環器専門医
院長 浦 祐次郎から一言
▶ 総合内科専門医(院長 浦祐次郎)からの一言 「年のせいで歩くのが遅くなっただけ」と思っていませんか。以前は休まず上れた階段や坂道で立ち止まるようになったら、呼吸の変化を確認しましょう。喫煙していた期間や、普段の咳・痰の様子もお聞かせください。

COPDの症状 思い当たる変化はありませんか

代表的な症状は、体を動かしたときの息切れ、長く続く咳や痰です。初期には症状が目立たないこともあり、息切れを避けて活動量が減っているために、変化に気づきにくい場合もあります[2][3]。

  • 階段や坂道で息が切れ、途中で休むようになった。
  • 以前より歩く速度が遅くなった、外出を控えるようになった。
  • 風邪が治った後も咳や痰が続く、朝に痰がからむ。
  • 呼吸するとゼーゼー、ヒューヒューという音がする。

こうした変化が続く場合は、症状が軽くても受診してください。息切れは、喘息、心不全、貧血などでも起こります。「タバコを吸っているからCOPD」と自己判断せず、原因を調べることが大切です[2]。

急に息苦しくなったとき 急性増悪と救急受診の目安

いつもより息切れが強い、咳や痰が増えた、痰が黄色や緑色になったなど、普段の状態を超える悪化を「増悪(ぞうあく)」と呼びます。感染症などがきっかけになることがあり、治療の追加や変更が必要になる場合があります。普段と明らかに違う症状があれば、その日のうちに医療機関へ相談してください[2]。

安静にしていても強く息苦しい、息苦しくて会話ができない、唇が紫色になる、意識がぼんやりする場合は、救急要請してください。突然の強い胸痛や息苦しさも、心臓や肺の別の緊急疾患の可能性があるため、様子を見ないでください[1][8]。

COPDの原因 タバコとの関係

日本では喫煙が主な原因です。タバコの煙に含まれる有害物質によって、空気の通り道である気道に炎症が起きたり、酸素を取り込む肺胞という小さな袋が壊れたりします。長年の喫煙の影響は、禁煙後にも残る場合があります[2][3]。

ただし、喫煙者全員が発症するわけではなく、タバコを吸わない方にも起こります。受動喫煙、仕事で吸い込む粉じんや化学物質、大気汚染、肺の発育や過去の病気、遺伝的な体質なども関係します。本人の生活習慣だけで説明できる病気ではありません[1][2][4]。

肺気腫や慢性気管支炎との違い

「肺気腫」は肺胞が壊れた状態、「慢性気管支炎」は咳や痰が長く続く状態を指します。COPDにはこれらの特徴がみられますが、どれも完全に同じ意味ではありません。画像で肺気腫があっても、呼吸機能検査でCOPDの診断基準を満たさない場合があります[1][2]。

COPDは肺がんとは別の病気ですが、喫煙はどちらのリスクにもなり、両方を合併することもあります。血痰や体重減少、新たな胸痛などをCOPDの症状と決めつけず、医師に伝えてください[1][2]。

COPDの検査と診断基準

呼吸機能検査で息の吐き出しやすさを調べる

診断には、スパイロメトリーという呼吸機能検査が重要です。大きく息を吸ってから、機器に向かって勢いよく吐き出し、空気の量や速さを測定します。喫煙歴や症状を確認し、喘息などとの区別も行います[2][3]。

COPDの診断では、病状が安定しているときに、気管支を広げる薬を吸入した後でも「1秒率」が70%未満であることを確認します。1秒率は、努力して吐き出せる空気のうち、最初の1秒間に吐ける割合です。喘息など、似た検査結果になる病気を調べ、喫煙歴や症状と合わせて判断します。境界に近い値では再検査なども行います[1][2]。

気管支を広げる薬の吸入前後で、息の吐き出しやすさを比べる検査を「BDテスト(気管支拡張薬反応性検査)」といいます。薬を吸入して通常15分ほど待ち、もう一度息を強く吐く検査を行います。使用する薬によっては30分後に測定します。普段の吸入薬を一時的に控える場合があるため、お薬手帳を持参し、休薬は医師の指示に従ってください[2][11]。

胸部画像や心臓の検査を組み合わせる

胸部エックス線やCTは、肺気腫の状態や、肺がん・肺炎など別の病気を調べるために使います。画像検査だけでCOPDを確定したり、否定したりすることはできません[2]。

COPDと心不全の関係 肺と心臓の両方を確認する

COPDと心不全は合併することがあり、どちらも息切れや疲れやすさの原因になります。喫煙や加齢など共通する背景に加え、COPDによる酸素不足や、肺に空気がたまって膨らみすぎる状態は、心臓の働きにも影響します。反対に、心不全で肺に水分がたまると、さらに息苦しくなります[2:pp.36–37]。

「吸入薬を使っていても息切れが続く」「足がむくむ」「数日で体重が増えた」「横になると苦しい」といった変化がある場合は、肺だけでなく心臓の状態も確認します。これらの症状だけで心不全と決まるわけではありませんが、COPDのせいと決めつけず、早めに医師へ伝えてください。

診察に加え、必要に応じて心電図、心臓超音波検査、BNP・NT-proBNPなどの血液検査を組み合わせます。心臓が血液を押し出す割合が保たれていても心不全のことがあるため、心エコーの一つの数値だけでは判断できません[2:pp.157、215]。

COPDが急に悪化したときや、その後は、心不全など心血管の病気にも注意が必要です。両方の病気がある場合は、COPDの吸入治療と心不全の治療を並行して行います。心臓の薬の中には呼吸への影響を確認しながら使うものもありますが、自己判断で中止せず、薬の種類や量を医師と調整しましょう[2:pp.36–37、157]。

COPDの病期と重症度の見方

日本のガイドラインでは、気管支を広げる薬の吸入後の「1秒量」を、年齢や身長などから予測される値と比べ、空気の吐き出しにくさをⅠ期からⅣ期に分けます。診断に使う「1秒率」と、病期をみる「予測値に対する1秒量」は異なる指標です[2]。

病期(気流閉塞の程度) 予測値に対する1秒量
Ⅰ期(軽度) 80%以上
Ⅱ期(中等度) 50%以上80%未満
Ⅲ期(高度) 30%以上50%未満
Ⅳ期(きわめて高度) 30%未満

この病期だけでは、息切れの強さや治療内容は決まりません。息切れで歩行や家事がどの程度制限されるか、普段の活動量、生活への影響、過去の増悪などを合わせて重症度を判断します。治療後もこれらを繰り返し確認し、薬や運動の内容を調整します[2]。

COPDの治療 息切れを軽くし悪化を防ぐために

禁煙は治療の基本

禁煙は、今後の肺機能の低下を緩やかにするために重要です。すでにCOPDと診断された後でも遅すぎることはありません。壊れた肺胞が元通りになるわけではありませんが、咳や痰などの改善が期待できます。続けることが難しい場合は、一人で抱えず禁煙治療について相談しましょう[2][4]。

吸入薬で気管支を広げる

治療の中心は、気管支を広げる吸入薬です。日常的に症状がある方などには、長く効果が続く薬を定期的に使います。日本のガイドラインでは、喘息を合併しない場合、まず長時間作用性抗コリン薬(LAMA)を基本とし、副作用などに応じて長時間作用性β2刺激薬(LABA)を選びます。1種類で息切れや増悪を十分に抑えられない場合は、LAMAとLABAを組み合わせます。症状が強い方や活動量が落ちている方では、最初から2種類を併用することもあります[2]。

毎日続ける薬とは別に、一時的な息切れに使う短時間作用性の吸入薬が処方されることもあります。使う回数や受診の目安をあらかじめ確認し、効きにくいからと繰り返し吸入して受診を遅らせないようにしましょう[2]。

息切れが残る場合は、吸入方法や使用状況を確認し、他の病気がないかも調べます。吸い込む力、手の動かしやすさ、生活リズムなどに合わせて吸入器を選び、使い方を繰り返し練習します[2][5]。

主な吸入薬の種類と役割

以下は薬の一般名と商品名の例です。毎日使う薬と、必要なときに使う薬は役割が異なります。製剤によって吸入回数や操作方法が異なるため、処方された方法を守ってください[2][12][13]。

種類 薬の例(一般名/商品名) 主な役割
LAMA チオトロピウム
(スピリーバ2.5μgレスピマット)
長く気管支を広げる、毎日の治療薬。
LABA インダカテロール
(オンブレス吸入用カプセル150μg)
LAMAとは別の仕組みで気管支を広げる、毎日の治療薬。
LAMA/LABA配合薬 チオトロピウム/オロダテロール
(スピオルトレスピマット)
2種類の気管支拡張薬を1つの吸入器で使う。
ICS/LABA配合薬 ブデソニド/ホルモテロール
(シムビコートタービュヘイラー)
フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロール
(レルベア100エリプタ)
吸入ステロイドで気道の炎症を抑え、LABAで気管支を広げる。喘息を合併する場合など、ICSが必要な方に用いる。
LAMA/LABA/ICS配合薬 グリコピロニウム/ホルモテロール/ブデソニド
(ビレーズトリ7.2エアロスフィア)
2種類の気管支拡張薬と吸入ステロイドを組み合わせる。追加する条件は下記参照。
短時間作用性β2刺激薬(SABA) サルブタモール
(サルタノールインヘラー)
プロカテロール
(メプチンエアー)
医師の指示に従い、一時的な息切れや増悪時に使う。

ICS/LABAは、喘息を合併する方などに用います。日本のガイドラインでは、ICSが必要でもLAMAを使用できない場合にも選択肢となります。喘息の合併がないCOPDでは、まずLAMAやLAMA/LABAを基本に、増悪歴や好酸球数などからICSの必要性を判断します[2:pp.122–124]。

循環器専門医
院長 浦 祐次郎から一言
▶ 総合内科専門医(院長 浦祐次郎)からの一言 「吸入しているのに、あまり変わらない」と感じるときは、使っている吸入器をお持ちください。うまく吸入できていない場合があるため、吸う速さや操作が薬に合っているかを一緒に確認します。薬の調整に加え、息切れに合わせた活動の続け方も相談しましょう。

トリプル療法は必要な方に選ぶ治療

2種類の気管支拡張薬に吸入ステロイド薬(ICS)を加えた治療を「トリプル療法」と呼びます。日本のガイドラインでは、喘息を合併する方には吸入ステロイド薬(ICS)を含む治療を行います。喘息を合併しない方では、適切な吸入治療でも増悪を繰り返し、血液中の好酸球という白血球が多い場合などに吸入ステロイド薬(ICS)の追加を検討します。好酸球の数値だけで使用を決めるものではなく、増悪の経過や肺炎のリスクも合わせて判断します。COPDに対して吸入ステロイド薬(ICS)だけを単独で使う治療は勧められていません[2]。

増悪歴のある患者さんなどを対象にした試験では、トリプル療法による増悪の減少や、一部の比較で死亡リスクの低下が報告されています。ただし、患者さんの状態や比較する薬によって結果が異なり、COPDの方全員に必要な治療ではありません[1][2][6][7]。

吸入ステロイド薬には、肺炎や口の中のカビ、声がれなどの副作用があります。期待できる効果とリスクを考えて選び、吸入後はうがいをしましょう。心臓病があるという理由だけで、トリプル療法を選ぶわけでもありません[2][5]。

吸入治療でも増悪を繰り返す場合

適切なトリプル療法を続けても増悪を繰り返し、好酸球などの検査から特定の炎症が関係していると判断された方では、注射薬のデュピルマブ(商品名:デュピクセント)を追加する選択肢があります。国内でもCOPDへの使用が承認されていますが、対象は限られます。ICSが禁忌の場合の扱いも含め、専門医が呼吸機能、増悪歴、血液検査などから適応を判断します。急な息苦しさをその場で止めるための薬ではありません[2][9]。

運動・栄養・感染予防も治療の一部

体を動かさなくなると筋力が落ち、さらに息切れしやすくなります。日本のガイドラインでは、呼吸リハビリテーションをCOPDの標準的な治療の一つとしています。歩行や筋力トレーニングに加え、呼吸法、日常動作の工夫、吸入方法や悪化時の対応、栄養管理などを組み合わせます。息切れの軽減と、日常生活で動ける範囲を広げることを目指します[2]。

運動を始める前に、息切れ、酸素の値、歩ける距離、筋力、心臓などの持病を確認します。重症の方も状態に合った軽い負荷から取り組めます。歩数や活動内容を記録し、無理なく続けられる目標を医療者と相談しましょう[2]。

体重が減っている方では、栄養不足や筋肉の減少にも注意します。必要なエネルギーとたんぱく質を確保し、運動と栄養管理を組み合わせることが大切です。食事で息苦しくなる場合は、少量ずつ回数を分ける方法があります。腎臓病などで食事制限がある方は、自己判断でたんぱく質を増やさず相談してください[2]。

感染による増悪を防ぐため、手洗いなどに加え、年齢や持病に応じてインフルエンザ、肺炎球菌、新型コロナ、RSウイルスのワクチン接種を相談してください[2][3]。

血液中の酸素が慢性的に大きく不足している場合には、在宅酸素療法を検討します。息切れがある方全員に必要な治療ではなく、酸素の値などで判断します[2]。

増悪時の治療

悪化したときは、速く気管支を広げる短時間作用性β2刺激薬(SABA)の吸入を基本に、重症度や検査結果に応じて短期間の飲み薬のステロイドなどを用います。抗菌薬は、細菌感染が疑われる場合に検討し、痰の変化だけでなく、炎症の検査や全身状態も確認します。すべての増悪に同じ薬の組み合わせが必要なわけではありません[2]。

酸素不足や呼吸の状態によっては、入院して酸素投与や呼吸を助ける治療が必要です。以前の残りの薬を自己判断で使わず、「いつもより苦しいときに使う薬」「連絡先」「受診する目安」を普段の診察で確認しておきましょう[2]。

よくある質問

QCOPDは治りますか 一生薬が必要ですか

A

傷んだ肺を完全に元通りにする治療は、現時点ではありません。ただし、禁煙や適切な治療で症状を軽くし、悪化を防いで生活を続けることは目指せます。吸入薬を長く続ける方が多いものの、薬の種類や必要性は経過に応じて見直します。調子がよくなっても自己判断で中止しないでください[1][2][4]。

Q禁煙すれば息切れは治りますか

A

咳や痰などが改善することはありますが、肺の傷みが残っている場合、息切れが完全になくなるとは限りません。禁煙後も症状が続くときは、COPDや他の病気がないか調べましょう。禁煙は、その後の肺の働きを守るためにも大切です[2][4]。

Q加熱式タバコや電子タバコなら大丈夫ですか

A

加熱式タバコはタバコ葉を加熱する製品、電子タバコは液体を加熱する製品で、同じものではありません。どちらへの切り替えも、COPDの治療になるわけではありません。害がないとはいえず、禁煙の進め方を医療者に相談してください[2][10]。

Q息切れがあっても運動してよいですか

A

病状が安定していれば、息切れを理由にすべての運動を避ける必要はありません。休憩をはさみながら短時間の歩行などから始めます。普段より息苦しい、発熱している、胸痛やめまいがあるときは中止して相談してください。酸素療法中の方は、運動時の使い方も確認しましょう[2][3]。

Q食事で気をつけることはありますか

A

特定の食べ物でCOPDが治るわけではありません。体重や筋肉を保てるよう、必要なエネルギーとたんぱく質をとることが大切です。食事で息苦しくなる方は、1回の量を減らして回数を分けると食べやすい場合があります。やせすぎにも肥満にも注意し、腎臓病などによる食事制限がある方は、個別に相談してください[2][3]。

Q家族にCOPDがいると遺伝しますか

A

家族に患者さんがいても、必ず発症するわけではありません。共通する喫煙環境や体質が関係することがあります。まれに、α1アンチトリプシン欠乏症という遺伝性の病気が関わります。若い年齢で発症した場合や喫煙歴が少ない場合、家族にも肺の病気が多い場合は、医師に伝えてください[1][2][4]。

Q検査は痛いですか 入院が必要ですか

A

呼吸機能検査は針を使わず、通常は外来で行います。強く息を吐くため、一時的に疲れたり咳が出たりすることはあります。血液検査では採血の痛みがありますが、診断のために全員が入院する必要はありません。強い息苦しさや酸素不足などがあれば、入院が必要になる場合があります[1]。

Qどの症状なら救急車を呼ぶべきですか

A

安静でも強く息苦しい、会話ができない、唇が紫色、意識がおかしいといった場合は救急要請してください。そこまで強くなくても、いつもより息切れや痰が増えている場合は、早めに医療機関へ連絡しましょう[1][8]。

福岡市でCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の診療なら|うらマイハートクリニックの特徴

うらマイハートクリニック(福岡市早良区藤崎・原)は、内科・循環器内科・腎臓内科・呼吸器内科を診療し、心臓リハビリテーションにも対応するクリニックです。

院長(浦 祐次郎)は、循環器専門医・総合内科専門医・心血管インターベンション治療学会認定医・TAVI実施医/指導医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士として、九州医療センターで13年間、小倉記念病院で1年半にわたり、重症心疾患の診療に従事してきました。副院長の浦 雅紀子は腎臓内科医として、福岡山王病院で約5年間、九州医療センターで6年間にわたり、心腎連関を踏まえた包括的な腎臓病診療に従事してきました。

現在はうらマイハートクリニックにて内科医2名体制で円滑な診療に努めています。

  • 院内での迅速な検査体制:BNPなど含む当日結果のわかる多様な血液検査、心臓を含む各種エコー検査、総合病院レベルの64列CT(冠動脈CT含む)に対応。
  • 治療後のサポート:心臓リハビリ施設「ReHeart Gym」で専門スタッフが体力回復・再発予防を支援。
  • 通いやすい診療体制:診療開始は8時30分から、水曜は20時まで診療。駐車場11台完備。発熱症状のある方の専用入口あり。

咳や痰が続く方、以前より階段や歩行で息切れする方、COPDの検査や吸入治療について相談したい方は、福岡市早良区のうらマイハートクリニックまでお気軽にご相談ください。

補足:専門的内容(検査と治療)

以下はCOPDガイドラインと呼吸機能検査ハンドブックに基づく具体的な目安です。患者さんが薬を自己調整するための記載ではありません。

BDテストの実施方法

検査手順・用量・休薬時間は『呼吸機能検査ハンドブック』冊子14〜16・18・62ページを参照する。病状が安定し、検査と休薬を安全に行えるかを医師が確認したうえで実施する[11]。

  1. 吸入前測定:使用中の薬剤と最終使用時刻を確認する。FVC手技を繰り返し、妥当性のある測定結果を少なくとも3回得ることを目指す。再現性も確認し、ハンドブックの採択基準に従ってFEV₁・FVCを記録する[11][14]。
  2. 薬剤吸入:一般に短時間作用性β₂刺激薬(SABA)を用いる。定量噴霧吸入器(MDI)ではスペーサーを併用する。下表は代替となる薬剤・剤形の例であり、すべてを併用するものではない。
  3. 吸入後測定:吸入終了時から計時し、SABAは15分後、短時間作用性抗コリン薬(SAMA)は30分後に再測定する。吸入前と同様に測定の妥当性と再現性を確認する[11]。

BDテストに用いる薬剤と商品名

用量は検査用の目安であり、通常の治療用量を指示するものではない。[11][12]。

一般名・剤形 商品名・規格の例 検査時の用量 再測定
サルブタモール
MDI
サルタノールインヘラー100μg 2〜4吸入
200〜400μg
15分後
プロカテロール
MDI
メプチンエアー10μg吸入100回 2吸入
20μg
15分後
サルブタモール
ネブライザー
ベネトリン吸入液0.5%
(5mg/mL)
0.3〜0.5mL
1.5〜2.5mg
15分後
イプラトロピウム
MDI
アトロベントエロゾル20μg 2吸入
40μg
30分後

サルタノールは通常成人1回量は200μg(2吸入)で、年齢・症状により適宜増減とされる。検査時の200〜400μgという目安と区別し、患者背景に応じて医師が実施量を決める。ネブライザー用量は薬液そのものの量で、希釈後の総液量ではない。[11][12]。

検査前の休薬時間

以下は検査前に薬の使用を控える時間の目安である。患者さん自身の判断では中止せず、検査担当医が病状と使用薬を確認して指示する[11:pp.15、62][12][13]。

薬の種類 一般名/商品名の例 休薬時間の目安
SABA サルブタモール(サルタノールインヘラー、ベネトリン吸入液)
プロカテロール(メプチンエアー)
4〜6時間
SAMA イプラトロピウム(アトロベントエロゾル) 12時間
LABA ホルモテロール(オーキシスタービュヘイラー)
サルメテロール(セレベントディスカス)
24時間
LABA インダカテロール(オンブレス吸入用カプセル)
ビランテロール、オロダテロール(配合剤の例は下記)
36時間
LAMA チオトロピウム(スピリーバレスピマット)など 36〜48時間
キサンチン系薬 テオフィリン(テオドール錠)など 24時間

ICS/LABA配合薬では、シムビコートタービュヘイラーに含まれるホルモテロールは24時間、レルベアエリプタに含まれるビランテロールは36時間がLABA成分の休薬の目安である。オロダテロールはスピオルトレスピマット(LAMA/LABA)などに含まれるが、LAMAの36〜48時間も考慮して休薬時間を決める。ビレーズトリなどの3成分配合剤も同様である。いずれも配合されるICSまで中断する影響を含め、医師が判断する[11][13]。

ATS/ERS 2019スパイロメトリー標準化声明では、吸入ステロイド薬(ICS:ブデソニド〈パルミコートタービュヘイラー〉など)とロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカスト〈シングレア錠〉など)の休薬は不要としている[14]。一方、国内ハンドブックでは、これらの中止も望ましいとする『喘息予防・管理ガイドライン2018』の記載も紹介されている[11:p.62]。検査目的や喘息の合併、配合剤に含まれる気管支拡張薬の作用時間を踏まえ、施設の手順に沿って医師が判断する。休薬が難しい場合や休薬中に症状が出た場合は、検査より治療を優先して実施時期を再検討する。

判定と解釈

改善量(mL)=吸入後FEV₁−吸入前FEV₁。改善率(%)=改善量÷吸入前FEV₁×100。同書およびCOPDガイドライン2026では、FEV₁が吸入前から12%以上かつ200mL以上増加すれば反応性ありとする。これはFEV₁の変化であり、FEV₁/FVC(1秒率)の改善率ではない[2:pp.92–93][11:pp.18、62]。

反応性陽性でもCOPDは否定できず、陰性でも喘息は否定できない。COPDの診断では、吸入後FEV₁/FVCが70%未満であることを、曝露歴・症状・鑑別診断と合わせて評価する[2][11]。

治療選択の具体的な目安

  • 安定期の吸入治療:喘息病態非合併例ではLAMAを基本とし、単剤で不十分な場合はLAMA/LABAへ変更する。mMRC 2以上、CAT 10点以上、または身体活動性が損なわれている場合には初期からLAMA/LABAも選択できる。排尿障害を伴う前立腺肥大や閉塞隅角緑内障などにも留意する[2:pp.122–124]。
  • ICS追加:喘息病態合併例には併用する。非合併例では頻回の増悪(年間の中等症増悪2回以上、または重症増悪1回以上)かつ末梢血好酸球増多(参考値300/μL以上)を主な目安に検討する。好酸球は変動するため複数回の測定が望ましい。100~300/μLでも増悪歴などから検討する場合があり、単一の閾値で一律に決めない。肺炎の反復や抗酸菌感染症の既往、効果不十分・副作用時の継続可否も評価する[2:pp.122–124、132–133]。
  • デュピルマブ(商品名:デュピクセント皮下注300mgペン/シリンジ):ガイドラインでは、予測値に対する1秒量(%FEV₁)が30%超70%以下、トリプル療法を3ヵ月以上行っても増悪を反復し、末梢血好酸球300/μL以上などの条件を確認する。COPDの用量は成人1回300mgを2週間隔で皮下注射する。ICS禁忌時の扱いを含め、電子添文と最適使用推進ガイドラインに従って専門医が適応を判断する[2:pp.122–125、135–136][9]。
  • 増悪時:SABA吸入を第一選択とし、高度の気流閉塞や入院を要する増悪などでは全身性ステロイドを検討する。国内ガイドラインの目安はプレドニゾロン換算30mg/日程度(本文では約0.5mg/kg/日)を通常5日間。細菌感染を疑う場合は抗菌薬を検討し、薬剤は重症度、過去の培養結果、抗菌薬使用歴などに応じて選ぶ[2:pp.193–194]。

心不全を合併する場合の評価と治療

  • 心不全の評価:BNPまたはNT-proBNPは診断補助に有用だが、単独で判断しない。肺気腫によって心エコーの評価が難しい場合や、左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)にも留意する。急な呼吸困難では、COPD増悪だけでなく心不全、肺炎、肺血栓塞栓症などの鑑別も行う[2:pp.157、191–192、215]。
  • 治療の併行:心不全の病型・重症度に応じたガイドライン治療を、COPDの治療と並行する。心不全治療としてβ遮断薬の適応がある場合は、選択的β₁遮断薬を少量から開始し、呼吸状態を確認しながらゆっくり増量する。最重症COPDや喘息合併例では、電子添文上の注意事項も含め個別に判断する。COPD増悪の予防だけを目的にβ遮断薬を追加するという意味ではない[2:p.157]。
  • 吸入薬の注意点:LAMA・LABAなどは心不全合併例でも必要性を評価して用いる。臨床試験では心血管有害事象の有意な増加は示されていないが、既存の不整脈などがある場合は注意する。特にSABAでは頻脈などの副作用に留意する。心不全の合併だけを理由にICSやトリプル療法を選択せず、喘息病態、増悪歴、好酸球数などで適応を判断する[2:pp.122–124、157]。

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参考文献

[1] Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease. Global Strategy for Prevention, Diagnosis and Management of COPD: 2026 Report.
[2] 日本呼吸器学会. COPD診断と治療のためのガイドライン2026〔第7版〕. メディカルレビュー社, 2026. 参照箇所:診断・病期 pp.74–77、禁煙 pp.120–121、安定期の治療選択 pp.122–125、薬剤 pp.128–136、呼吸リハビリ・栄養 pp.136–143、酸素療法 pp.144–146、増悪時治療 pp.193–194。ページ番号は冊子の表記。 心血管疾患との関係 pp.36–37、心不全併存時の管理 p.157、心疾患との鑑別 p.215。
[3] 日本呼吸器学会. 慢性閉塞性肺疾患(COPD).
[4] World Health Organization. Chronic obstructive pulmonary disease (COPD).
[5] 環境再生保全機構. COPDの薬物療法.
[6] Martinez FJ, et al. Reduced All-Cause Mortality in the ETHOS Trial of Budesonide/Glycopyrrolate/Formoterol for Chronic Obstructive Pulmonary Disease. Am J Respir Crit Care Med. 2021;203:553–564.
[7] Li Y, et al. Effect of triple therapy on mortality and cardiovascular risk in patients with moderate to severe COPD: a meta-analysis of randomized controlled trials. BMC Pulm Med. 2025;25:345.
[8] 総務省消防庁. 救急車利用リーフレット(成人版).
[9] 医薬品医療機器総合機構. デュピクセント皮下注300mg 電子添文(2026年3月改訂).
[10] World Health Organization. Tobacco: E-cigarettes.

[11] 日本呼吸器学会 肺生理専門委員会 呼吸機能検査ハンドブック作成委員会 編. 呼吸機能検査ハンドブック. 日本呼吸器学会, 2021(第1版、添付資料は2022年第2刷). pp.14–16、18、62.


[12] 薬剤の商品名・規格:グラクソ・スミスクライン「サルタノールインヘラー100μg」「ベネトリン吸入液0.5%」、大塚製薬「メプチンエアー10μg吸入100回」、日本ベーリンガーインゲルハイム「アトロベントエロゾル20μg」の製品資料。検査用量は文献11に基づく。サルタノール 電子添文 / ベネトリン 電子添文 / メプチンエアー 製品情報 / アトロベント 電子添文
[13] 吸入薬・休薬対象薬の商品名:各社の製品情報および電子添文。スピリーバ/スピオルト(日本ベーリンガーインゲルハイム)、オンブレス(ノバルティス)、シムビコート/ビレーズトリ/パルミコート(アストラゼネカ)、オーキシス(Meiji Seika ファルマ)、セレベント/レルベア(グラクソ・スミスクライン)、テオドール、シングレア。デュピクセントは文献9参照。スピオルト / スピリーバ / オンブレス / ビレーズトリ販売名変更 / オーキシス / セレベント / レルベア / パルミコート / テオドール / シングレア / シムビコート 電子添文
[14] Graham BL, et al. Standardization of Spirometry 2019 Update. An Official American Thoracic Society and European Respiratory Society Technical Statement. Am J Respir Crit Care Med. 2019;200:e70–e88. 本文・Table 8

浦 祐次郎

この記事の監修者:
うらマイハートクリニック院長 
浦 祐次郎

循環器専門医・総合内科専門医・TAVI実施医/指導医・心血管インターベンション治療学会認定医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士

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