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心臓弁膜症

心臓弁膜症とは?症状・原因・検査・治療を循環器専門医が解説|福岡市早良区

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「最近、少し動いただけで息切れがする」「健康診断で心雑音を指摘された」――そのような経験はありませんか。これらは、心臓弁膜症の初期サインである可能性があります。

心臓弁膜症は、心臓の中にある4つの「弁」のいずれかに異常が生じ、血液の流れが妨げられる病気の総称です。年齢とともに頻度が高くなり、高齢化に伴って患者数の増加が見込まれています。弁膜症は心不全の主要な原因の一つであり、重症化すると心不全や、病型によっては突然死につながることがあります。[1]

本記事では、心臓弁膜症の基本的な定義から、見過ごされやすい初期症状、原因となる疾患、そして現在行われている検査・治療法まで、弁膜症診療の専門的な視点から詳しく解説します。

【この記事の要点】

  • 心臓弁膜症は、心臓の弁が開きにくくなったり閉じにくくなったりして、心臓に負担がかかる病気です。
  • 「以前より階段で息切れする」「疲れやすい」「足がむくむ」は相談したいサインです。症状がない場合もあります。
  • 安静時の強い息苦しさ、続く強い胸痛、倒れて意識が戻らない場合は、救急要請が必要です。
  • 診断の中心は心エコー検査です。弁の状態や症状に応じて、経過観察、薬、手術・カテーテル治療を検討します。

この記事を書いた医師
うらマイハートクリニック院長 浦 祐次郎
(循環器専門医・総合内科専門医・TAVI実施医/指導医・心血管インターベンション治療学会認定医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士)

循環器専門医
院長 浦 祐次郎から一言
▶ 循環器専門医(院長 浦祐次郎)の臨床コメント 弁膜症診療における専門的な視点 TAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)実施医・指導医として、小倉記念病院で多数のTAVI症例を経験し、九州医療センターではTAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)の導入を主導しました。指導医として多くの症例を手がけ、弁膜症外来を担当した臨床経験を持ちます。現在はクリニックにおいて、弁膜症の早期発見から治療適応の判断、術後の継続フォローまで、専門的な診療を身近な環境で提供しています。

弁膜症は「重篤な症状が出る前に適切なタイミングで介入すること」が最も重要な疾患の一つです。本記事では、臨床経験をもとに実際の診療で重視しているポイントも交えながら解説します。

心臓弁膜症とは?定義と心臓で起きていること

心臓には4つの部屋(右心房・右心室・左心房・左心室)があり、それぞれの部屋の出入り口に「弁」と呼ばれる扉のような構造があります。弁は、血液が一方向にだけ流れるように開閉を繰り返す「逆流防止弁」の役割を果たしています。

心臓弁膜症とは、この弁が何らかの原因で正常に機能しなくなった状態の総称です。弁の異常には大きく分けて2つのタイプがあります。

タイプ 状態 心臓への影響
狭窄症(きょうさくしょう) 弁の開きが悪くなり、血液の通り道が狭くなる 心臓は狭い出口から無理に血液を押し出そうとするため、過大な負担がかかる
閉鎖不全症(逆流症) 弁がきちんと閉じなくなり、血液が逆流する 送り出した血液が戻ってくるため、心臓は余分な仕事を強いられる

いずれの場合も、重症化すると心臓に負担がかかり、心不全につながることがあります。弁膜症は症状のない期間が長いことがあり、気づかないうちに重症化しているケースもあります。[1]

心臓弁膜症の疫学

全国のレセプトデータを用いた研究では、2020年に弁膜症と診断された患者は約247万人で、人口全体の1.96%でした。有病率は年齢とともに上昇しており、超高齢社会を迎えた日本において、今後さらに患者数が増加すると予測されています。[2] 弁膜症は症状のないまま進行することがあるため、早期発見と適切な経過観察が重要です。

循環器専門医
院長 浦 祐次郎から一言
▶ 循環器専門医(院長 浦祐次郎)の臨床コメント 弁膜症は無症状の期間が長く、「まさか自分が弁膜症とは思わなかった」「少し疲れやすくなったけれど、年齢のせいだと思っていた」と言われる方も少なくありません。聴診で弁膜症が疑われることがありますが、診断と重症度の評価には心エコー検査が必要です。気になる症状や心雑音の指摘がある場合は、循環器内科へご相談ください。

心臓弁膜症の症状|初期の見逃しやすいサインから重症まで

初期症状と症状がない場合

心臓弁膜症の初期は、自覚症状がほとんどないことが多いのが特徴です。以下のような症状は「年齢のせい」と見過ごされがちですが、弁膜症の初期サインである可能性があります。症状だけで弁膜症かどうかを判断することはできません。

初期症状 具体的な例
労作時の息切れ 階段を上る、坂道を歩くなど、以前は平気だった動作で息が切れる
疲れやすさ 日常の家事や散歩で以前より疲れるようになった
動悸 心臓がドキドキする、脈が飛ぶ感じがする
めまい・ふらつき 立ち上がった時や運動時にクラッとする

重症大動脈弁狭窄症では、本人が無症状と感じていても、医療機関で行う運動負荷試験によって症状が明らかになることがあります。[3] 「以前と比べて何か変わった」という感覚を大切にしてください。

進行・重症化のサインと救急要請の目安

弁膜症が進行すると、心臓への負担が限界を超え、以下のような明確な症状が現れます。

重症化のサイン 説明
安静時の息切れ 何もしていなくても息苦しい
起座呼吸 横になると苦しく、上体を起こさないと呼吸できない
下肢のむくみ 靴下の跡がつく、靴が履けなくなる
失神 突然意識を失う(特に大動脈弁狭窄症で重要)
胸痛 労作時に胸が締め付けられるような痛み
夜間の咳・呼吸困難 夜中に咳き込んで目が覚める

安静にしていても強く息苦しい、強い胸痛が続く、突然倒れて意識が戻らない場合は、救急要請が必要です。失神は大動脈弁狭窄症の危険なサインになることがあり、意識が戻った場合も速やかな医療評価が必要です。むくみや息切れが徐々に増えてきた場合も、次の予約日を待たずに循環器内科へご相談ください。

弁膜症と心房細動の関係

弁膜症、特に僧帽弁疾患などでは、心房細動を合併することがあります。弁膜症により心房に負担がかかり続けると、心房が拡大し、その結果として心房細動が発生しやすくなります。心房細動を合併すると脳梗塞のリスクが高まるため、弁膜症の種類、年齢や合併症などからリスクを評価し、必要に応じて抗凝固療法(血栓予防のための薬)を行います。中等度以上の僧帽弁狭窄症に心房細動を合併した場合は、原則としてワルファリンを使用します。[1] また、心房細動自体が心不全を悪化させる因子でもあるため、弁膜症と心房細動の両方を総合的に管理することが重要です。動悸や脈の乱れを感じる場合は、早めに循環器内科へご相談ください。

心臓弁膜症の原因|なりやすい病気と生活習慣

主な原因

原因 説明
加齢による変性・石灰化 最も多い原因。長年の使用により弁が硬くなる、石灰化する
リウマチ熱の後遺症 小児期のリウマチ熱により弁が障害される。日本では減少傾向
感染性心内膜炎 弁に細菌が付着し、弁を破壊する
先天性の異常 大動脈弁が通常3枚のところ2枚しかない「二尖弁」など
心筋梗塞後 心筋梗塞により乳頭筋が障害され、僧帽弁逆流が生じる
心不全に伴う二次的変化 心臓が拡大することで弁輪が広がり、逆流が発生する

生活習慣との関係

弁膜症そのものを生活習慣の改善だけで確実に予防する方法は確立していませんが、高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙などを適切に管理することは、心血管病全体の予防に重要です。塩分の過剰摂取を避け、禁煙や無理のない運動を心がけることは、心臓への負担を減らすことにつながります。

心臓と腎臓の深い関係「心腎連関」とは

弁膜症が進行して心不全に至ると、腎臓への血流が低下し、腎機能が悪化します。そして腎機能が低下すると、体内の水分・塩分の調節がうまくいかなくなり、さらに心臓への負担が増すという悪循環に陥ります。これが「心腎連関」です。腎臓が悪いと心臓も悪くなり、心臓が悪いと腎臓も悪くなるという関係を理解し、心臓と腎臓の両方を守ることが重要です。当院では、循環器専門医と腎臓内科医が連携し、この心腎連関を踏まえた包括的な診療を行っています。

高齢者で増える理由

弁膜症が高齢者に多い最大の理由は、弁の「経年劣化」です。心臓の弁は1日に約10万回開閉しており、70年間で約25億回以上の開閉を繰り返します。この膨大な回数の機械的ストレスにより、弁の組織が徐々に変性し、石灰化が進行します。加えて、高齢者では高血圧や動脈硬化が併存していることが多く、これらが弁の劣化をさらに加速させます。

心臓の4つの弁と主な弁膜症

心臓には以下の4つの弁があり、それぞれに狭窄症と閉鎖不全症が起こり得ます。

弁の名称 位置 代表的な弁膜症
僧帽弁(そうぼうべん) 左心房と左心室の間 僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症(逆流症)
大動脈弁 左心室と大動脈の間(心臓の出口にある扉) 大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症
三尖弁(さんせんべん) 右心房と右心室の間 三尖弁閉鎖不全症
肺動脈弁 右心室と肺動脈の間 肺動脈弁狭窄症(比較的まれ)

臨床上、特に問題となることが多いのは大動脈弁と僧帽弁の疾患です。

心臓弁膜症の種類|狭窄症と閉鎖不全症

大動脈弁狭窄症(AS)

大動脈弁とは「心臓の出口にある扉」のことです。この扉の開きが悪くなり、心臓から全身へ血液を送り出しにくくなる病気が大動脈弁狭窄症です。高齢者に多い弁膜症であり、加齢に伴う弁の石灰化(カルシウムの沈着)が主な原因です。症状のない期間が長いため気づかないうちに重症化することがあり、重症例では症状が現れると予後が悪化します。[1]

僧帽弁閉鎖不全症(MR)

僧帽弁がきちんと閉じなくなり、左心室から左心房へ血液が逆流する病気です。日本のレセプトデータを用いた研究では、弁膜症の中で最も頻度が高いと報告されています。[2] 弁そのものの異常(変性、逸脱)による一次性MRと、心不全などによる左心室の拡大や、心房細動などによる左心房・弁輪の拡大に伴って逆流が生じる二次性MRに分類されます。[4]

僧帽弁狭窄症(MS)

僧帽弁が十分に開かず、左心房から左心室への血液の流れが妨げられる病気です。かつて日本ではリウマチ熱が原因の大部分を占めていましたが、現在では加齢による弁の石灰化によるものも増えています。僧帽弁狭窄症は弁膜症の中でも特に心房細動を合併しやすいことが知られており、心房細動を合併した場合は脳塞栓症(脳梗塞)のリスクが非常に高くなるため、抗凝固療法が必要です。[1]

大動脈弁閉鎖不全症(AR)

大動脈弁がきちんと閉じなくなり、大動脈から左心室へ血液が逆流する病気です。左心室に過剰な血液が流れ込むため、左心室が徐々に拡大していきます。

三尖弁閉鎖不全症(TR)

三尖弁がきちんと閉じなくなり、右心室から右心房へ血液が逆流する病気です。多くの場合、左心系の弁膜症や肺高血圧症に伴って二次的に発生します。国内の高齢慢性心不全患者を対象とした登録研究では、22.4%に中等度以上の三尖弁閉鎖不全症が認められ、近年その治療の重要性が注目されています。[5] 2026年3月からは、カテーテルを用いた三尖弁修復術(TriClip)が保険適応となり、開胸手術が困難な患者さんにも新たな治療選択肢が広がりました。[6]

心臓弁膜症の検査・診断|心エコー・聴診・CT

診断の流れ(初診〜確定診断まで)

問診・診察と心エコー検査を中心に、必要に応じて以下の検査を組み合わせます。

  1. 問診・聴診:症状の確認と、聴診器による心雑音の評価。弁膜症の多くは特徴的な心雑音を伴います
  2. 心電図・胸部X線:心臓の肥大や不整脈の有無をスクリーニング
  3. 心エコー検査(診断の中心となる検査):弁の形態・動き・逆流や狭窄の程度を詳細に評価
  4. 血液検査(BNP):心臓への負担の程度を数値化
  5. CT検査(必要に応じて):弁の石灰化の程度、大動脈の評価、手術・カテーテル治療の計画のための詳細な解剖評価

主な検査

検査名 目的 特徴
心エコー検査 弁の形態・動き・逆流/狭窄の重症度評価 弁膜症診断の中心となる検査。痛みなし、被曝なし
経食道心エコー 経胸壁では見えにくい弁の詳細な評価 食道から超音波を当てることで、より鮮明な画像が得られる
心電図 不整脈(心房細動など)の検出 弁膜症に合併しやすい心房細動の早期発見
胸部X線 心拡大、肺うっ血の評価 心不全の程度を簡便に評価
CT検査 弁の石灰化、大動脈の評価 手術・カテーテル治療の計画に不可欠
循環器専門医
院長 浦 祐次郎から一言
▶ 循環器専門医(院長 浦祐次郎)の臨床コメント 私はSHD心エコー図認証医として、弁膜症の診断で重要となる心エコー検査の結果を判読します。弁膜症の重症度評価では、わずかな計測の違いが「経過観察」と「治療介入」の判断に影響することがあります。九州医療センターで弁膜症外来を担当した経験を活かし、弁の状態を丁寧かつ精密に評価します。

血液検査(BNP)による心臓への負担の評価

弁膜症の診断において重要なのが、血液検査で測定するBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)の値です。これは、心臓に負担がかかると心室から分泌される物質で、弁膜症による心臓への負担を客観的に評価する指標となります。ただし、BNPは年齢、腎機能、心房細動などの影響でも上昇するため、BNP値だけで心不全を診断することはできません。心エコー検査などの結果と合わせて判断します。[7]

BNP値 解釈
35pg/mL未満 心不全の可能性は低い
35〜100pg/mL 前心不全または心不全の可能性があり、心エコー検査などによる評価を検討
100pg/mL以上 心不全の可能性が高く、詳細な精査が必要

BNPだけでは弁膜症の有無や重症度は判断できません。BNPが低くても弁膜症を否定できず、評価の中心は心エコー検査です。[1]

冠動脈CTによる精査

弁膜症の患者さんでは、冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)を合併していることが少なくありません。手術やカテーテル治療を検討する際には、年齢や冠動脈疾患のリスクなどに応じて冠動脈の評価を行います。[4]

冠動脈CTが必要な場合、当院では64列CTを用いて院内で撮影できます。これにより、患者さんの通院負担を軽減し、診断と治療方針の検討を速やかに進めることができます。

当院では、総合病院レベルの64列CTを導入しており、冠動脈CTに対応しています。

心臓弁膜症の治療|薬物療法から手術・カテーテル治療まで

薬物療法

硬くなった弁や傷んだ弁を薬で元に戻すことは通常できません。ただし、心不全などに伴う弁の逆流は、原因となる病気の治療で改善する場合があります。心不全症状の緩和や合併症の予防にも薬物療法が用いられます。[4]

薬剤の種類 目的
利尿薬 むくみや肺うっ血を改善する
ACE阻害薬/ARB 心臓への負担を軽減する
β遮断薬 心拍数を抑え、心臓を休ませる
抗凝固薬(DOAC、ワルファリンなど) 心房細動を合併している場合の血栓予防

機械弁に交換した方ではワルファリンが必要で、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)は使用しません。中等度以上の僧帽弁狭窄症に心房細動を合併した場合も、原則としてワルファリンを使用します。[1] 重症で治療介入が必要な場合には、手術やカテーテル治療を検討します。

外科手術(弁置換術・弁形成術)

重症の弁膜症に対する根本的な治療法です。

手術の種類 内容
弁置換術 壊れた弁を人工弁(機械弁または生体弁)に取り替える
弁形成術 自分の弁を修復して機能を回復させる。僧帽弁で多く行われる

カテーテル治療(TAVI/MitraClipなど)

年齢、全身状態、弁や血管の形などを踏まえ、手術とカテーテル(細い管)治療から適切な方法を選びます。TAVIは開胸手術が困難な方だけに限られる治療ではありません。日本では、優先的に考慮するおおまかな目安として80歳以上の方ではTAVIを第一選択とすることが多くなっています。[1] 2025年のESC/EACTS弁膜症ガイドライン(ヨーロッパ)では、70歳以上の重症大動脈弁狭窄症で、大動脈弁が3枚の弁尖からなり、弁や血管の形が適していて、太ももの付け根の動脈から治療できる場合にTAVIが推奨されています。[4] 年齢だけで決めるのではなく、循環器内科医・心臓血管外科医などからなる「ハートチーム」で、将来の治療も見据えて方針を検討します。

治療法 対象 内容
TAVI(経カテーテル大動脈弁置換術) 重症大動脈弁狭窄症 カテーテルで人工弁を留置。開胸不要
MitraClip(経カテーテル僧帽弁修復術) 重症僧帽弁閉鎖不全症 カテーテルで弁をクリップし逆流を軽減
TriClip(経カテーテル三尖弁修復術) 重症三尖弁閉鎖不全症 カテーテルで三尖弁をクリップし逆流を軽減
循環器専門医
院長 浦 祐次郎から一言
▶ 循環器専門医(院長 浦祐次郎)の臨床コメント 私は、弁膜症に対するカテーテル治療であるTAVIの実施医・指導医として、小倉記念病院で多数のTAVI症例を経験し、九州医療センターではTAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)の導入を主導しました。指導医として多くの症例を手がけ、術後の経過観察も行ってきました。クリニックでTAVIを実施することはありませんが、「TAVIが必要か」「開胸手術とどちらが適切か」「いつ介入すべきか」を、年齢、体力、合併症などを踏まえて判断します。治療が必要な場合は、適切な治療施設へ速やかにご紹介します。「手術が怖い」「高齢だから治療は難しい」とお考えの方にも、カテーテル治療を含めた選択肢をご説明します。治療を受けないことによる身体的・生活上の負担が大きくなる場合もありますので、まずはご相談ください。セカンドオピニオンにも対応します。

心臓リハビリテーションの重要性

「心臓が悪いから安静にしなければならない」とは限りません。医師の評価のもとで行う適切な運動療法(心臓リハビリテーション)は、弁膜症の術後における身体機能や運動耐容能の回復を促し、生活の質(QOL)の改善に役立ちます[8]。 手術を行う大病院では、退院後の長期的なリハビリを継続することが難しいケースが少なくありません。実際に心臓リハビリが継続して必要であるのに心臓リハビリを実施できていない方が多数おられるのが現実です。

当院の強み: 専用の心臓リハビリ機器を備え、専門スタッフの見守りのもと、心電図や血圧をモニターしながら、一人ひとりの状態に合わせた運動療法プログラムを提供しています。退院後も心臓リハビリを継続できるよう、治療を行った医療機関と連携しながらサポートします。「薬だけの治療」ではなく、運動療法を組み合わせた包括的な弁膜症管理を行います。

心臓弁膜症の予防と経過観察|日常生活でできること

日常生活での注意点

弁膜症と診断された場合、以下の点に注意して生活することが重要です。

  • 塩分への配慮:塩分のとりすぎを避け、心不全や高血圧がある場合は主治医の指示に応じて1日6g未満などを目標にする
  • 適度な運動:主治医の指示に従い、無理のない範囲で体を動かす
  • 体重管理:毎日同じ条件で体重を測定する。数日で2kg程度増えるなど急な増加や、息切れ・むくみの悪化があれば早めに相談する。相談の目安は主治医と確認しておく
  • 感染予防:毎日の歯みがきと定期的な歯科受診で口の中を清潔に保つ。人工弁などがある方では、歯科処置の前に予防的な抗菌薬が必要になる場合があるため、心臓の病気や治療歴を歯科医師に伝える。[9]
  • 禁煙:動脈硬化の進行を防ぐため、禁煙は必須

定期的な経過観察の重要性

弁膜症は、たとえ症状がなくても定期的な心エコー検査で弁の状態を確認し、適切な治療時期を見逃さないことが重要です。症状が出る前から変化がみられることもあるため、定期的な通院を継続してください。

「症状がないのに手術が必要?」――無症候性重症弁膜症について

「症状がないのに手術を勧められた」という患者さんの声を耳にすることがあります。弁膜症はゆっくり進行するものが多く、日常生活の活動量を無意識に減らしているために、症状を自覚しにくいことがあります。特に重症大動脈弁狭窄症では、本人が無症状と感じていても、医療機関で行う運動負荷試験によって症状が明らかになることがあります。[3] 心エコー検査で重症と判定された場合は、症状がなくても治療の時期を慎重に検討する必要があります。

特に重症大動脈弁狭窄症では、症状が現れると予後が悪化するため、適切な介入時期を見極めることが重要です。[1][4] そのためにも、定期的な心エコー検査によるフォローアップが欠かせません。

定期通院の重要性

弁膜症の治療は、手術やカテーテル治療を受けた後も終わりではありません。人工弁の機能チェック、抗血栓薬の管理、心不全の再発予防など、生涯にわたる定期的なフォローアップが必要です。

このような症状があればご相談ください

受診の目安|早めの相談が大切なケース

以下のような症状や状況に当てはまる方は、心臓弁膜症の可能性を考え、早めに循環器内科を受診されることをお勧めします。

  • 階段や坂道で以前より息切れするようになった
  • 健康診断や人間ドックで心雑音を指摘された(指摘されたまま放置している方は特に注意)
  • 動悸やめまいが気になる
  • 足のむくみが取れない
  • ご家族に弁膜症や心臓病の方がいる
  • 高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある
  • 以前リウマチ熱にかかったことがある
  • 「年齢のせい」と言われたが、体力の低下が気になる

「年齢のせい」で片付けてしまう前に、一度心エコー検査を受けてみてください。早期発見が、あなたの心臓を守る第一歩です。

よくある質問(FAQ)

Q心臓弁膜症は治りますか? 一生薬が必要ですか?
A

弁の状態や原因によって異なります。軽度であれば薬を使わず経過をみる場合もあり、重症の場合は手術やカテーテル治療で弁の働きを改善します。心不全に伴う弁の逆流は、薬などで改善する場合もあります。薬を続ける期間は治療方法や合併症によって異なりますが、機械弁に交換した場合は原則として生涯ワルファリンの服用が必要です。治療後も定期的な診察を受けましょう。[1][4]

Q弁膜症があっても運動はできますか?
A

運動できる範囲は、弁膜症の種類、重症度、症状、心臓の働きによって異なります。状態が安定していれば、散歩などの運動ができる場合もあります。運動中に胸痛、強い息切れ、めまいが出る場合は中止して相談してください。重症の弁膜症では運動を制限することがあるため、始める前に主治医に確認しましょう。[1]

Q食事で気をつけることはありますか?
A

塩分のとりすぎを避け、必要な栄養をバランスよくとることが基本です。心不全を合併している場合などは、減塩や水分量について個別の指示を受けてください。また、ワルファリンを服用している方は、納豆など薬の作用に影響する食品に注意が必要です。薬剤師や主治医に確認しましょう。

Q家族に弁膜症があると、自分もなりますか?
A

すべての弁膜症が遺伝するわけではありません。ただし、生まれつき大動脈弁が2枚の「大動脈二尖弁」など、家族内でみられる病気もあります。家族が大動脈二尖弁や遺伝性の大動脈の病気と診断されている場合は、ご自身にも心エコー検査などが必要か相談してください。[4]

Q検査は痛いですか? 入院が必要ですか?
A

基本となる心電図や胸の上から行う心エコー検査は、通常、痛みがほとんどなく、外来で受けられます。採血や造影CTでは針を刺す痛みがあります。詳しく調べるために経食道心エコーや心臓カテーテル検査を行う場合は、検査方法や体調に応じて、鎮静や入院が必要になることがあります。

Qどのような症状なら救急車を呼ぶべきですか?
A

安静にしていても強く息苦しい、強い胸痛が続く、突然倒れて意識が戻らない場合は、救急要請が必要です。反応がなく普段どおりの呼吸がない場合は、通信指令員の指示に従って胸骨圧迫やAEDの使用を行います。失神後に意識が戻った場合も、弁膜症に伴う危険な症状の可能性があるため、速やかな医療評価が必要です。

Q弁膜症の手術後、普通の生活に戻れますか?
A

多くの場合、手術後は心臓リハビリテーションを経て、日常生活に復帰できます。仕事や旅行、適度なスポーツも可能です。ただし、機械弁に交換した場合は原則として生涯ワルファリンの服用が必要です。生体弁の場合も、心房細動などの合併症によって薬を続けることがあります。

Q高齢でも手術は受けられますか?
A

近年はTAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)やMitraClipなどの低侵襲治療が普及しており、従来の開胸手術が困難な高齢の方でも治療が可能になっています。年齢だけで治療を諦める必要はありません。

Q心雑音があると言われましたが、弁膜症ですか?
A

心雑音は弁膜症の重要なサインですが、心雑音があるからといって必ずしも弁膜症とは限りません。心エコー検査で正確に評価することが大切です。

Qクリニックで弁膜症の精密検査はできますか?
A

はい。当院の院長はSHD心エコー図認証医の資格を持ち、心エコー検査により弁膜症の重症度を詳しく評価し、治療方針を検討します。また、TAVI指導医としての経験を活かし、カテーテル治療の適応についてのご相談やセカンドオピニオンにも対応します。

福岡市で心臓弁膜症の診療なら|うらマイハートクリニックの特徴

当院の診療体制

うらマイハートクリニック(福岡市早良区藤崎/原)は、内科・循環器内科・腎臓内科・呼吸器内科を診療し、心臓リハビリテーションにも対応するクリニックです。

院長(浦 祐次郎)は、循環器専門医・総合内科専門医・SHD心エコー図認証医・TAVI実施医/指導医・心臓リハビリテーション指導士として、九州医療センターで13年間、小倉記念病院で約2年間にわたり、弁膜症を含む重症心疾患の診療に従事してきました。副院長の浦 雅紀子は腎臓内科医として、福岡山王病院で約5年間、九州医療センターで6年間にわたり、心腎連関を踏まえた包括的な腎臓病診療に従事してきました。

現在はうらマイハートクリニックにて内科医2名体制で円滑な診療に努めています。

当院の検査・治療体制と継続フォロー

当院では、弁膜症の診断から治療方針の決定、術後の継続管理まで、以下の体制で一貫した診療を提供しています。

  • SHD心エコー図認証医による精密な弁膜症評価
  • 64列CTによる冠動脈・大動脈の精密検査
  • 院内即日BNP測定による心臓への負担の迅速評価
  • TAVI指導医による専門的なカテーテル治療の適応判断
  • 心臓リハビリテーション施設「ReHeart Gym」での術後回復サポート
  • 循環器専門医と腎臓内科専門医による心腎連関を踏まえた包括管理

弁膜症は「早く見つけて、適切なタイミングで治療する」ことが何より大切です。心雑音を指摘された方、息切れが気になる方は、福岡市早良区のうらマイハートクリニックまでお気軽にご相談ください。

この症状でお悩みですか?

当院の専門外来では最適な治療プランをご提案しております。

参考文献

[1] 日本循環器学会ほか. 2020年改訂版 弁膜症治療のガイドライン(JCS/JSCS/JATS/JSVS 2020 Guidelines on the Management of Valvular Heart Disease). Izumi C, Eishi K, Ashihara K, et al. Circ J. 2020;84(11):2037-2119. doi:10.1253/circj.CJ-20-0135

[2] Igarashi A, Takeshima T, Irie S, Iwasaki K. Prevalence, incidence, patient characteristics, and treatment trends of valvular heart disease using the national database of health insurance claims of Japan. J Med Econ. 2025;28(1):405-412. doi:10.1080/13696998.2025.2474885.

[3] Saeed S, Rajani R, Seifert R, et al. Exercise testing in patients with asymptomatic moderate or severe aortic stenosis. Heart. 2018;104(22):1836-1842. doi:10.1136/heartjnl-2018-312939.

[4] Praz F, et al. 2025 ESC/EACTS Guidelines for the management of valvular heart disease. Eur Heart J. 2025;46(44):4635-4736. doi:10.1093/eurheartj/ehaf194.

[5] Yokota H, Tanaka H, Fujimoto W, et al. Impact of Tricuspid Regurgitation From a Population-Based Chronic Heart Failure Registry in Japan. Circ J. 2025;89(9):1555-1565. doi:10.1253/circj.CJ-24-0991.

[6] 国立循環器病研究センター. 国循が経皮的三尖弁クリップ留置術の実施成功. 2026年3月2日.

[7] 日本循環器学会・日本心不全学会. 2025年改訂版 心不全診療ガイドライン(JCS/JHFS 2025 Guideline on Diagnosis and Treatment of Heart Failure). Japanese Circulation Society and the Japanese Heart Failure Society Joint Working Group. J Card Fail. 2025;31(8):1164-1322. doi:10.1016/j.cardfail.2025.02.014

[8] 日本循環器学会・日本心臓リハビリテーション学会. 2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(JCS/JACR 2021 Guideline on Rehabilitation in Patients With Cardiovascular Disease). Makita S, et al. Circ J. 2023;87(1):155-235. doi:10.1253/circj.CJ-22-0234

[9] 日本循環器学会ほか. 2026年改訂版 感染性心内膜炎診療ガイドライン.

浦 祐次郎

この記事の監修者:
うらマイハートクリニック院長 
浦 祐次郎

循環器専門医・総合内科専門医・TAVI実施医/指導医・心血管インターベンション治療学会認定医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士

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