CARDIOVASCULAR MEDICINE

高血圧症

高血圧症とは?基準・症状・原因・検査・治療と家庭血圧の測り方を循環器専門医が解説|福岡市早良区

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「健康診断で血圧が高いと言われたけれど、どこも痛くないから大丈夫」

「家で測ると正常だから、病院で高いのは緊張しているだけ」

「薬を飲み始めたら一生やめられないと聞いて、受診をためらっている」

このように感じたことはありませんか?

高血圧は自覚症状が乏しく、症状だけでは判断できません。高い状態が続くと血管に負担がかかり、脳卒中や心筋梗塞、腎臓病などのリスクが高まります。一方、家庭で血圧を測り、生活習慣の改善や適切な治療を続けることで、そのリスクを減らすことができます。

日本高血圧学会の資料では、2017年時点の高血圧の方は約4,300万人と推計され、血圧が十分に管理されていたのは約3割でした。これは当時の基準による推計です[1]。

本コラムでは、2025年に公表された「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」[2]に基づき、症状や原因、正しい血圧の測り方、治療について、循環器専門医がわかりやすく解説します。

【この記事の要点】

  • 高血圧は自覚症状が乏しく、放置すると脳卒中・心筋梗塞・腎臓病などのリスクが高まります。
  • 家庭血圧の平均が上135mmHg以上、または下85mmHg以上なら、症状がなくても相談しましょう。
  • 突然の激しい頭痛、強い胸痛、急な息苦しさ、片側の手足のまひがあれば、血圧の値にかかわらず救急要請が必要です。
  • 朝晩の血圧測定と減塩・適度な運動が基本です。薬の必要性や目標値は、持病や体調に合わせて判断します。

この記事を書いた医師
うらマイハートクリニック院長 浦 祐次郎
(循環器専門医・総合内科専門医・TAVI実施医/指導医・心血管インターベンション治療学会認定医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士)

循環器専門医
院長 浦 祐次郎から一言
▶ 循環器専門医 院長 浦祐次郎 からの一言 実際の診療では、「何も症状がないから大丈夫だと思っていた」と言われる方が非常に多くいらっしゃいます。高血圧の治療で大切なのは、これから先も元気に過ごせるよう、心臓や血管、腎臓、脳を守ることです。

高血圧症とは?(定義と基準)

血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力のことです。高血圧症は、血圧が高い状態が続く病気です。血圧は時間帯や測定条件によって変動するため、1回の測定だけでなく、繰り返し測った値から判断します。血管は常に強い圧力を受け続けると、柔軟性を失って硬く、もろくなります。これが「動脈硬化」です。動脈硬化は全身の血管で進行し、心臓、脳、腎臓、目など、あらゆる臓器に障害を引き起こします。

高血圧の診断基準と降圧目標(JSH2025)

高血圧の「診断基準」と「治療の目標値(降圧目標)」は異なります。JSH2025でも診断基準は従来通りですが、降圧目標はより厳格になり、原則として年齢にかかわらず診察室血圧「130/80 mmHg未満」、家庭血圧「125/75 mmHg未満」を目指します[2][3]。前回のJSH2019では75歳以上の原則の目標は診察室血圧140/90 mmHg未満でした[4]。ただし、一律に下げるのではなく、ふらつきなどの副作用や体調に注意しながら、個別に調整します。

項目 診察室血圧(病院) 家庭血圧(自宅)
高血圧の診断基準 140/90 mmHg以上 135/85 mmHg以上
降圧目標(原則) 130/80 mmHg未満 125/75 mmHg未満

※診断基準は、上の血圧(収縮期血圧)・下の血圧(拡張期血圧)のいずれかが基準値以上の場合に該当します。通常は、複数回の診察室血圧や数日間の家庭血圧の平均を確認して診断します。治療目標は、上下とも目標値未満を目指します[2][3]。

※体力が低下している方や介護が必要な方などでは、ふらつきや転倒のリスク、生活の状態に応じて、目標を個別に設定します[5]。

高血圧の診断基準未満でも、すべてが正常血圧というわけではありません。「高値血圧」の段階でも、生活習慣の改善や定期的な測定が大切です。[2][3]

診察室血圧の分類(mmHg)

高血圧にはI度からIII度までの段階があります。「正常高値血圧」や「高値血圧」は、まだ高血圧の診断基準には達していませんが、将来の高血圧発症リスクが高い状態です。「健診で少し高めと言われた」という方は、まさにこの段階にいる可能性があります。 上下の血圧が異なる分類に当てはまる場合は、高い方の分類で判断します[2]。

分類 収縮期血圧 拡張期血圧
正常血圧 120未満 かつ 80未満
正常高値血圧 120〜129 かつ 80未満
高値血圧 130〜139 かつ/または 80〜89
I度高血圧 140〜159 かつ/または 90〜99
II度高血圧 160〜179 かつ/または 100〜109
III度高血圧 180以上 かつ/または 110以上

高血圧の症状|頭痛は関係する?症状がなくても注意

高血圧の最大の特徴は、多くの場合「自覚症状がない」ことです。血圧がかなり高くても、何も感じないことがあります。そのため、症状がないから大丈夫とは判断せず、健診や家庭での血圧測定が大切です[2][6]。

頭痛やめまい、動悸、息切れなどを伴うこともありますが、これらは高血圧以外の原因でも起こります。肩こりや鼻血、顔のほてりだけで、高血圧かどうかを判断することもできません。

「最近、朝の頭痛が続く」「階段で息切れするようになった」と感じる方は、症状と血圧の記録を持って受診してください。症状だけで臓器の障害があるとは限りませんが、原因を調べることが大切です。

急激な血圧上昇とともに、脳や心臓、腎臓などに急な障害が起こる状態を「高血圧緊急症」と呼びます。突然の激しい頭痛、強い胸痛、急な息苦しさ、手足のまひや意識の異常などがある場合は、血圧の値にかかわらず直ちに救急要請してください。詳しくはFAQの救急要請の項目をご覧ください[7][8]。

高血圧の原因

高血圧は大きく2つのタイプに分けられます。

① 本態性高血圧(高血圧の多くを占めるタイプ)

原因を一つに特定できない高血圧です。遺伝的な体質や加齢に、以下のような生活習慣などが重なって発症します。家族に高血圧の方がいると発症しやすい傾向がありますが、必ず発症するわけではありません[2][4]。

  • 塩分の摂りすぎ(日本人の平均食塩摂取量は約10g/日で、高血圧の方の目標は6g/日未満)
  • 肥満(体格指数(BMI)25以上)
  • 運動不足
  • 過度な飲酒
  • ストレス、睡眠不足
  • 喫煙(血圧を一時的に上げるだけでなく、動脈硬化を進める)

② 二次性高血圧(病気や薬が原因となるタイプ)

特定の病気や薬が原因で起こる高血圧です。原因となる病気を治療したり、薬を調整したりすることで血圧が改善する可能性があるため、正確な診断が重要です。若年発症(30歳未満)、急激な悪化、利尿薬を含む3種類以上の降圧薬を適切な量で使っても十分に下がらない場合などには、二次性高血圧を調べます[2][3]。

  • 腎実質性高血圧(慢性糸球体腎炎、糖尿病による腎障害など):代表的な原因の一つ
  • 腎血管性高血圧(腎臓に血液を送る動脈が狭くなる)
  • 原発性アルドステロン症(副腎から血圧を上げるホルモンが過剰に分泌される)
  • 褐色細胞腫(副腎などの腫瘍から血圧を上げるホルモンが過剰に分泌される)
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS):大きないびきや睡眠中の無呼吸がある方は相談を
  • 薬剤性高血圧(甘草を含む漢方薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの痛み止め、経口避妊薬など)

家庭血圧が重要な理由と正しい測り方

JSH2025では、家庭で測った血圧を重視しています[2][3]。病院での血圧は緊張やストレスで高くなることがある一方、病院では正常でも、家庭や職場では高いことがあります。家庭血圧を継続して測ることで、普段の状態を把握し、診断や薬の調整に役立てることができます。

白衣高血圧と仮面高血圧

タイプ 特徴 リスク
白衣高血圧 診察室では高血圧の基準以上、家庭では基準未満 将来的に持続性高血圧に移行するリスクが高い。定期的な経過観察が必要。
仮面高血圧 診察室では高血圧の基準未満、家庭などでは基準以上 持続性高血圧と同程度の脳卒中・心筋梗塞リスクがあり、治療が必要。

仮面高血圧は、診察室での測定だけでは見逃されることがあります。「病院では正常だから大丈夫」と判断せず、家庭でも血圧を測る習慣をつけましょう[2][3]。

正しい家庭血圧の測り方

血圧は測る条件によって大きく変動します。以下のポイントを守って正確に測定しましょう。

ポイント 詳細
血圧計の選び方 上腕式(二の腕に巻くタイプ)を使用する。腕の太さに合ったカフ(腕帯)を選ぶ。
朝の測定 起床後1時間以内、排尿後、朝食前、服薬前に、椅子に座って1〜2分安静にしてから測定する。
夜の測定 就寝前に、椅子に座って1〜2分安静にしてから測定する。入浴や飲酒の直後は避ける。
測定回数 朝と夜、それぞれ1機会に2回測定する。測定値をすべて記録し、平均値も確認する。
姿勢 背もたれのある椅子に座り、カフを心臓の高さに合わせる。足は組まず、足底を床につけ、会話せずに測る。
記録の頻度 週5日以上記録し、受診時に医師に見せる。血圧手帳やスマホアプリが便利。

特に「朝の血圧」は重要です。心筋梗塞や脳卒中は早朝から午前中にかけて多く発生します。日本の高齢の高血圧患者さんを対象とした研究では、起床前後の急激な血圧上昇(モーニングサージ)と脳卒中との関連が報告されています[9]。朝の家庭血圧だけでこの上昇幅は判断できませんが、朝と夜の測定を続けることは、血圧の状態を把握するために役立ちます。

年代別の高血圧の特徴

高血圧は年齢によって原因や注意点が異なります。ご自身の年代に当てはまる項目がないか、チェックしてみてください。

年代 特徴 注意すべきポイント
20〜30代 高血圧は少ないが、二次性高血圧(腎臓病、ホルモン異常など)の割合が高い。仕事のストレスや不規則な生活が引き金に。 若いからと油断せず、原因検索が重要。睡眠時無呼吸症候群にも注意。
40〜50代 本態性高血圧が増加。メタボリックシンドロームとの合併が多い。仕事の責任が増え、運動不足・飲酒量増加の時期。 職場健診で指摘されたら放置しない。仮面高血圧(職場高血圧)に注意。
60代以上 収縮期血圧(上の血圧)だけが高い「収縮期高血圧」が増える。動脈硬化が進み、血管が硬くなることが原因。 降圧薬の効きすぎ(ふらつき・転倒)に注意。個別の目標設定が重要。

高血圧を放置すると起こりうる合併症

高血圧は、自覚症状がないまま心臓や脳、腎臓などに負担をかけます。「血圧が高いだけで、どこも悪くない」と感じていても、高い状態が長く続くほど、次のような病気のリスクが高まります。血圧を適切に管理することは、これらの病気の予防につながります[2][3]。

影響を受ける臓器 引き起こされる病気・状態
心臓 心肥大(心臓の筋肉が分厚くなる)、心不全、狭心症、心筋梗塞、心房細動
脳 脳出血、脳梗塞、くも膜下出血、血管性認知症
腎臓 腎硬化症、慢性腎臓病(CKD)、末期腎不全(透析が必要になる)
血管 大動脈瘤、大動脈解離、末梢動脈疾患(足の血管が詰まる)
目 高血圧性網膜症(重症の場合は視力に影響する)

心臓と腎臓の関係を示す心腎連関

心臓と腎臓は「心腎連関(しんじんれんかん)」と呼ばれる密接な関係にあります [10]。高血圧によって腎臓の細い血管が傷つくと、腎機能が低下し、体内に余分な水分や塩分が溜まります。すると血液量が増えてさらに血圧が上がり、心臓に大きな負担がかかります。逆に、心臓の働きが落ちると腎臓への血流が減り、さらに腎機能が悪化します。

この「負の連鎖」が進行すると、心不全と腎不全が同時に悪化する「心腎症候群」に至ることがあります。この連鎖を断ち切るためには、早期から、それぞれの病状に合った血圧管理を続けることが大切です。

高血圧の治療①:生活習慣の改善

高血圧治療の基本は生活習慣の改善です。薬を飲んでいる方も、減塩や適度な運動を組み合わせることで、より良い血圧管理につながります。JSH2025では、以下の取り組みが勧められています[2][3]。できることから少しずつ始めましょう。表の降圧効果は収縮期血圧についての目安で、もとの血圧や取り組み方によって異なり、単純に足し合わせることはできません。

項目 目標・内容 期待される降圧効果
減塩 食塩 6g/日未満。麺類の汁を残す、醤油はかけずにつける、酸味や出汁を活用。 約4〜5 mmHg
血圧を改善する食事法(DASH食) 野菜・果物・全粒穀物・低脂肪乳製品などを取り入れ、飽和脂肪酸を控える。腎機能が低下している方は、カリウム摂取量を医師と相談する。 減塩との組み合わせで効果が高まる[11]
適正体重の維持 肥満がある方は、無理のない減量でBMI 25未満を目指す。高齢でやせている方は、体重を減らしすぎないよう相談する。 1kg減量につき約1 mmHg
運動 ウォーキングなどの有酸素運動を毎日30分以上を目安に。体力に合わせ、短時間から始める。 約2〜5 mmHg
節酒 純アルコール量として男性20〜30mL/日以下、女性10〜20mL/日以下。5%のビール500mLには純アルコール約20g(25mL)が含まれ、女性の目安より多い。 約2〜4 mmHg
禁煙 喫煙は血圧を一時的に上げるだけでなく、動脈硬化を強力に促進する。 直接の降圧効果は小さいが、心血管リスクを大幅に低減

特定の食品だけで高血圧を治せるわけではありません。減塩を基本に、食事全体のバランスを整えることが大切です。腎機能が低下している方などは、野菜・果物やカリウムを含む減塩調味料を自己判断で増やさず、主治医に相談してください。[2][10]

食塩とカリウムの摂取バランスをみる指標として、「尿ナトカリ比」(尿中のナトリウムとカリウムの比率)があります。腎臓病などのない方では「まず4未満、理想は2未満」が目安として提案されています。日や時間帯で変わるため、複数回の結果で評価します[12]。当院でも尿検査で測定できます。腎機能が低下している方などは、カリウムの摂取量や目標を個別に相談してください。

血圧の季節変動にも注意

血圧は季節によって変動します。冬は寒さで血管が収縮するため血圧が上がりやすく、夏は暑さで血管が広がり、発汗による脱水も加わって血圧が下がりやすくなります。

  • 冬場:暖房の効いた部屋から寒い廊下やトイレに移動する際の急激な温度差(ヒートショック)に注意。脱衣所や浴室を暖めておくことが重要です。
  • 夏場:降圧薬が効きすぎてふらつきや立ちくらみが出ることがあります。自己判断で薬をやめず、家庭血圧の記録を持参して医師に相談してください。

高血圧の治療②:薬物療法

生活習慣を改善しても血圧が十分に下がらない場合や、初診時から血圧が著しく高い場合、脳卒中や心臓病のリスクが高い場合は、降圧薬による治療を検討します。JSH2025では、低〜中等リスクの高血圧でも、生活習慣改善後1か月以内に再評価し、十分に下がらなければ薬物療法を開始します。血圧が著しく高い方などでは、生活習慣の改善と同時に薬を開始します[2][3]。

主な降圧薬

JSH2025では、以下の5種類を主要降圧薬(G1降圧薬)に位置づけています。β遮断薬も含まれ、血圧だけでなく、持病や脈拍、腎機能などに応じて選択します[2][3]。

種類 代表的な薬剤名 特徴と適した患者さん
カルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬) アムロジピン(アムロジン)
ニフェジピンCR(アダラートCR)
血管を広げて血圧を下げる。高齢の方や狭心症を合併する方などにも使われる。
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB) オルメサルタン(オルメテック)
テルミサルタン(ミカルディス)
血圧を上げるホルモンの働きを抑える。特に尿蛋白・尿アルブミンの増加を伴う慢性腎臓病などで選択する。心不全や糖尿病を合併する場合は、病状や薬ごとの適応を考慮する[10]。
アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬) エナラプリル(レニベース)
ペリンドプリル(コバシル)
血圧を上げるホルモンが作られるのを抑える。心不全や心筋梗塞後などでは、病状に応じて選択する。空咳が出ることがある。
サイアザイド系利尿薬 トリクロルメチアジド
インダパミド
尿への塩分と水分の排出を促し、血圧を下げる。他の降圧薬と組み合わせることも多い。
β遮断薬 ビソプロロール(メインテート)
カルベジロール(アーチスト)
心臓の過剰な働きを抑え、心拍数や血圧を下げる。頻脈、狭心症、心不全などの病状に応じて選択する。

治療のステップアップ

血圧や持病に合わせて薬を選び、十分に下がらなければ、働きの異なる薬を組み合わせます。血圧が高い方や脳卒中・心臓病のリスクが高い方では、最初から2種類で治療を始めることもあります。

JSH2025では、1剤から2剤、3剤へと必要に応じて治療を調整します。主要降圧薬以外の薬も病状に応じて早い段階から選択でき、3剤併用では原則としてサイアザイド系利尿薬を含めます。それでも十分に下がらない場合は、飲み忘れや生活習慣、二次性高血圧などを確認します[1][2]。

欧州心臓病学会のガイドライン(ESC 2024)でも、多くの患者さんで初期から2剤を組み合わせることが勧められています[13]。2種類の成分を1錠にまとめた「配合剤」は、飲む錠数を減らし、飲み忘れを防ぐために役立ちます。

薬を飲んでも血圧が下がりにくい場合

利尿薬を含む3種類以上の降圧薬を適切な量で使用しても血圧が十分に下がらない場合は、「治療抵抗性高血圧」を疑います。まず、以下の点を確認します[2][13]。

  • 薬を継続して飲めているか
  • 家庭血圧や24時間血圧も高いか、測定方法は適切か
  • 塩分の摂りすぎや、血圧を上げる薬の使用がないか
  • 二次性高血圧が隠れていないか(特に原発性アルドステロン症など)

これらを確認したうえで、薬の追加や変更を検討します。追加する薬には、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)のスピロノラクトンやエサキセレノンなどがあります。使用中は血液検査で腎機能やカリウム値を確認します[2][3]。

なお、心不全や慢性腎臓病を合併する場合には、心臓や腎臓を守る目的で、病状に応じてナトリウム・グルコース共輸送体2阻害薬(SGLT2阻害薬)を使用することがあります。高血圧だけを治療するための薬ではありません[10][14]。

生活習慣や薬を調整しても血圧が十分に下がらない一部の方では、専門施設で腎臓の動脈周囲の神経に働きかけるカテーテル治療「腎デナベーション」を検討する場合があります。適応は専門的な評価で判断します。[15]

よくある質問(FAQ)

Q健康診断で「血圧が高め」と言われましたが、症状がありません。受診は必要ですか?

A

症状がなくても、健診で指摘された血圧は確認が必要です。家庭でも測って記録し、健診結果と一緒に受診時に見せてください。血圧の程度や持病に応じて、生活習慣の改善や治療を相談します。症状が出る前から管理することが大切です[2][3]。

Q病院で測るといつも高いのですが、家では正常です。薬は必要ですか?

A

薬を飲んでいない方で、病院では上の血圧が140以上または下が90以上、家庭では上が135未満かつ下が85未満(単位はいずれもmmHg)の場合は、「白衣高血圧」の可能性があります。薬が必要かどうかは、数日間の家庭血圧の記録や持病などを踏まえて判断します。将来、家庭でも血圧が高くなることがあるため、測定と定期的な受診を続けましょう[2][3]。

Q薬を飲み始めたら、血圧が下がりすぎてフラフラします。

A

降圧薬が効きすぎている可能性があります。特に夏場は暑さで血管が広がり、汗による脱水も加わるため、血圧が下がりやすくなります。自己判断で薬をやめず、家庭血圧の記録を持参して早めに受診してください。薬の減量や変更を検討します。[2][5]

Q高血圧の薬はいつ飲むのが一番良いですか?

A

薬の種類や血圧の変動、飲み忘れにくさを考えて決めます。2025年に報告された大規模な研究でも、就寝前の服用が朝の服用より心筋梗塞や脳卒中などを防ぐとは示されていません[16]。自己判断で服用時刻を変えず、生活リズムや体調に合わせて医師と相談しましょう。

Q減塩のコツを教えてください。味が薄くて美味しくありません。

A

いきなり全ての味を薄くすると長続きしません。まずは「麺類のスープは飲まない」「醤油はかけるのではなく、小皿に出してつける」といった簡単なことから始めましょう。また、お酢やレモンなどの酸味、カレー粉や七味などの香辛料、出汁の旨味を効かせることで、塩分が少なくても美味しく食べられます。 加工食品やお弁当は、栄養成分表示の「食塩相当量」を比べて選ぶことも役立ちます[2]。

Q上の血圧は高いのですが、下の血圧は正常です。治療は必要ですか?

A

下の血圧が正常でも、上の血圧が高ければ治療の対象になります。上の血圧だけが高い「収縮期高血圧」は、高齢の方に多くみられます。血管が硬くなることなどが原因で、脳卒中や心筋梗塞のリスクに関係します。繰り返し測った血圧や持病を確認し、生活習慣の改善や薬の必要性を判断します[2][3]。

Q上の血圧は正常ですが、下の血圧だけ高い場合も高血圧ですか?

A

はい。上の血圧が高くなくても、下の血圧が診察室で90mmHg以上、家庭で85mmHg以上の状態が続く場合は、高血圧に該当します。1回の値だけで判断せず、正しい方法で数日間測定し、記録を持って受診してください。生活習慣や持病などを確認し、治療が必要か判断します。[2][3]

Q血圧の薬を飲んでいますが、グレープフルーツを食べてはいけないと聞きました。

A

カルシウム拮抗薬の一部では、グレープフルーツによって薬の作用が強まり、血圧が下がりすぎることがあります。アムロジピンでも、グレープフルーツジュースとの併用に注意が必要です[17]。影響は薬によって異なるため、ご自身の薬について医師や薬剤師に確認してください。

Q高血圧と診断されたら、運動はしてはいけないのですか?

A

適度な運動は血圧を下げるために役立ちます。ウォーキングなどの有酸素運動を、体力に合わせて短時間から始めましょう。ただし、安静時の上の血圧が180以上または下が110以上(単位はいずれもmmHg)の場合や、重い心臓病がある場合は、運動を始める前に医師へ相談してください。軽い負荷の筋力トレーニングも役立ちますが、息を止めて力む運動や重い重量を扱う運動には注意が必要です[1][2]。

Q高血圧は治りますか?薬は一生飲み続ける必要がありますか?

A

高血圧は、血圧が下がった後も継続した管理が大切です。ただし、減塩や減量、運動習慣の改善などで、医師の判断により薬を減らしたり、やめたりできる場合があります。原因となる病気の治療で改善する高血圧もあります。薬をやめると血圧が再び上がることがあり、薬の種類によっては急な中止で症状が悪化するため、減量・中止は必ず医師と相談してください[2][4]。

Q親が高血圧だと、自分も高血圧になりますか?

A

高血圧になりやすい体質には遺伝が関係しますが、親が高血圧だからといって必ず発症するわけではありません。家族で似た食生活や生活習慣を共有していることも関係します。ご家族に高血圧の方がいる場合は、家庭で血圧を測り、減塩や適度な運動を早めに取り入れましょう[2][4]。

Q高血圧の検査や治療は痛いですか?入院は必要ですか?

A

通常は通院で検査や治療を進めます。血圧測定では腕が締めつけられ、採血では針を刺す際に短い痛みがあります。必要に応じて行う心電図や心エコーは、通常、強い痛みを伴いません。治療の中心は生活習慣の改善と必要に応じた飲み薬です。臓器の障害が疑われる場合や、原因を詳しく調べる場合には、入院が必要になることもあります[2][4]。

Q血圧が高いとき、救急要請が必要なのはどんな場合ですか?

A

突然の激しい頭痛、強い胸痛、急な息苦しさ、片側の手足のまひ、言葉が出にくい、意識がおかしいなどの症状があれば、血圧の値にかかわらず直ちに救急要請してください。症状がなくても、安静にして測り直した血圧が上180以上または下120以上(単位はいずれもmmHg)など、著しく高い状態が続く場合は、速やかに医療機関へ連絡しましょう[7][8]。

福岡市で高血圧症の診療なら|うらマイハートクリニックの特徴

うらマイハートクリニック(福岡市早良区藤崎・原)は、内科・循環器内科・腎臓内科・呼吸器内科を診療し、心臓リハビリテーションにも対応するクリニックです。

院長(浦 祐次郎)は、循環器専門医・総合内科専門医・心血管インターベンション治療学会認定医・TAVI実施医/指導医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士として、九州医療センターで13年間、小倉記念病院で約2年間にわたり、重症心疾患の診療に従事してきました。副院長の浦 雅紀子は腎臓内科医として、福岡山王病院で約5年間、九州医療センターで6年間にわたり、心腎連関を踏まえた包括的な腎臓病診療に従事してきました。

現在はうらマイハートクリニックにて内科医2名体制で円滑な診療に努めています。

  • 院内での迅速な検査体制:BNPなど含む当日結果のわかる多様な血液検査、心臓を含む各種エコー検査、総合病院レベルの64列CT(冠動脈CT含む)に対応。
  • 治療後のサポート:心臓リハビリ施設「ReHeart Gym」で専門スタッフが体力回復・再発予防を支援。
  • 通いやすい診療体制:診療開始は8時30分から、水曜は20時まで診療。駐車場11台完備。発熱症状のある方の専用入口あり。

「血圧が少し高めと言われた」「家で測ると高いことがある」「薬を飲んでいるのにコントロールが悪い」という方は、症状が出る前に、福岡市早良区のうらマイハートクリニックまでお気軽にご相談ください。

患者さん向けの参考資料:日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025』わかりやすい解説冊子「高血圧の話」も参考になります[18]。

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参考文献

[1] Ohya Y, Sakima A, Arima H, et al. Key highlights of the Japanese Society of Hypertension Guidelines for the management of elevated blood pressure and hypertension 2025 (JSH2025). Hypertens Res. 2025;48:2500–2511. [出典]

[2] 日本高血圧学会. 高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025). 2025.(2026年3月31日版正誤表を含む) [出典]

[3] Ohya Y, Arakawa K, Arata N, et al. The Japanese Society of Hypertension Guidelines for the Management of Elevated Blood Pressure and Hypertension 2025 (JSH2025). Hypertens Res. 2026;49:9–235. [出典]

[4] 日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019). 2019. および一般向け解説冊子. [出典]

[5] 日本老年医学会・日本高血圧学会. 要介護高齢者における降圧療法の適正化に関する実践的指針. 2025年11月25日. [出典]

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[7] American Heart Association. When To Call 911 About High Blood Pressure. 2025年8月14日更新. [出典]

[8] American Heart Association. Heart Attack, Stroke and Cardiac Arrest Symptoms. [出典]

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[11] Sacks FM, et al. Effects on blood pressure of reduced dietary sodium and the Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH) diet. N Engl J Med. 2001;344:3–10. [出典]

[12] Hisamatsu T, et al. Practical use and target value of urine sodium-to-potassium ratio in assessment of hypertension risk for Japanese: Consensus Statement by the Japanese Society of Hypertension Working Group on Urine Sodium-to-Potassium Ratio. Hypertens Res. 2024;47:3288–3302. doi:10.1038/s41440-024-01861-x. [出典]

[13] McEvoy JW, et al. 2024 ESC Guidelines for the management of elevated blood pressure and hypertension. Eur Heart J. 2024;45:3912–4018. [出典]

[14] 医薬品医療機器総合機構(PMDA). フォシーガ錠5mg・10mg 電子添文. 4. 効能又は効果. [出典]

[15] 日本高血圧学会. 高血圧管理・治療ガイドライン2025 更新情報・正誤表(2026年3月31日版).

[16] Garrison SR, et al. Antihypertensive Medication Timing and Cardiovascular Events and Death: The BedMed Randomized Clinical Trial. JAMA. 2025;333:2061–2072. [出典]

[17] 医薬品医療機器総合機構(PMDA). アムロジン錠・OD錠 電子添文. 2026年4月改訂. 10.2 併用注意. [出典]

[18] 日本高血圧学会. 『高血圧管理・治療ガイドライン2025』わかりやすい解説冊子「高血圧の話」. 2025年12月25日発行.

ウェブ資料の確認日:2026年9月17日。

浦 祐次郎

この記事の監修者:
うらマイハートクリニック院長 
浦 祐次郎

循環器専門医・総合内科専門医・TAVI実施医/指導医・心血管インターベンション治療学会認定医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士

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