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閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症とは?症状・原因・検査・治療を循環器専門医が解説|福岡市早良区

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「歩くと足が重だるくなって、少し休むとまた歩けるようになる」。そんな症状に心当たりはありませんか?単なる加齢や運動不足だけでなく、「閉塞性動脈硬化症」という足の血管の病気が隠れている可能性もあります。

閉塞性動脈硬化症(動脈硬化性下肢閉塞性動脈疾患)は、足の動脈が動脈硬化によって狭くなったり詰まったりして、血流が悪くなる病気です。進行すると、安静にしていても足が痛む、傷が治りにくいといった症状が現れ、下肢切断に至ることもあります。さらに、この病気は足だけの問題ではなく、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高いことを示す、全身の動脈硬化のサインでもあります[1][2]。

閉塞性動脈硬化症(ASO)は、現在のガイドラインでは『動脈硬化性下肢閉塞性動脈疾患(動脈硬化性LEAD)』に位置づけられる病気です。

本記事では、日本循環器学会・日本血管外科学会のガイドライン[1][3]などに基づき、閉塞性動脈硬化症の症状、原因、検査、治療法まで、循環器専門医の視点で詳しく解説します。

【この記事の要点】

  • 閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化で足の血流が悪くなる病気で、心筋梗塞や脳梗塞にも注意が必要です。
  • 「歩くと足が痛み、休むと楽になる」「足の傷が治りにくい」は、早めに相談したいサインです。
  • 突然の強い足の痛みや冷たさ、色の変化、動かしにくさがある場合は、救急要請が必要です。
  • 診断にはABIや血管エコーなどを用い、病状に応じて薬物療法、運動療法、血行再建術を行います。

この記事を書いた医師
うらマイハートクリニック院長 浦 祐次郎
(循環器専門医・総合内科専門医・TAVI実施医/指導医・心血管インターベンション治療学会認定医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士)

循環器専門医
院長 浦 祐次郎から一言
▶ 循環器専門医(院長 浦祐次郎)の臨床コメント 実際の診療では、「年齢のせいで歩けなくなったと思っていた」「休めばまた歩けるので、大丈夫だと思っていた」とお話しされる方がいらっしゃいます。痛みを避けるために歩く距離を減らし、ご自身では変化に気づきにくくなっていることもあります。

閉塞性動脈硬化症とは?全身の動脈硬化のサイン

閉塞性動脈硬化症(ASO)とは、主に足の血管に動脈硬化が起こり、血管が狭くなったり(狭窄)、詰まったり(閉塞)することで、血流が不足する病気です。心臓の血管で起これば心筋梗塞、脳の血管で起これば脳梗塞になるのと同じ動脈硬化が、足の血管に起きている状態です。この病気で注意すべき点は、単なる「足の病気」では終わらないことです。足の血管に動脈硬化がある場合、全身の血管にも動脈硬化が進んでいる可能性があります。閉塞性動脈硬化症の患者さんは、そうでない人と比べて、死亡や心筋梗塞・脳梗塞などの心血管イベントのリスクが高いことがわかっています[1][2]。足の症状は、全身の動脈硬化を知らせる重要なサインなのです。

近年のガイドラインでは、下肢の閉塞性動脈疾患を「下肢閉塞性動脈疾患(LEAD:Lower Extremity Artery Disease)」と表記し、動脈硬化性LEADは従来のASOと同じ意味で用いられています[1]。

閉塞性動脈硬化症の症状|歩くと足が痛い・休むと楽になる

歩くとふくらはぎや太もも、お尻などが痛んだり重だるくなったりし、立ち止まって休むと楽になるのが特徴です。症状は片足だけに出ることも、両足に出ることもあります[1][2]。

症状には、歩行時の痛み、安静時の痛み、治りにくい傷などがあり、その重症度を表す分類の一つが「Fontaine(フォンテイン)分類」です。ただし、必ずこの順番で進行するわけではありません。糖尿病などで痛みを感じにくい方では、症状が目立たないまま足の傷が悪化することもあります[1]。

Fontaine分類 症状の段階 主な症状
I度 無症状期 自覚症状はありませんが、ABI検査などで足の血流低下が見つかることがあります。
II度 間歇性跛行期 最も典型的な症状。一定距離を歩くと足が痛くなり、休むと改善する。
III度 安静時疼痛期 じっとしていても足先がジンジン、ズキズキと痛む。
IV度 潰瘍・壊疽期 血流不足が極限に達し、足に治りにくい傷(潰瘍)や組織の壊死(壊疽)が生じる。
循環器専門医
院長 浦 祐次郎から一言
▶ 循環器専門医(院長 浦祐次郎)の臨床コメント 特に「間歇性跛行」は、この病気を疑う重要な症状です。「買い物の途中で何度も立ち止まる」「以前より短い距離で足がつらくなる」といった変化は、足の血流を確認するきっかけになります。休むと楽になるからと我慢せず、いつ、どのあたりが、どのくらい歩くと痛むのかを教えてください。これからもご自身の足で歩き続けられるよう、一緒に原因を調べ、病状に合った治療を考えていきましょう。安静時にも続く痛みや、治りにくい潰瘍・壊疽がある場合は、「包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)」の可能性があります。放置すると下肢切断や死亡につながることがあるため、速やかに血管を専門とする医療機関で評価を受ける必要があります<a href="#reference-1">[1]</a><a href="#reference-2">[2]</a><a href="#reference-3">[3]</a>。

すぐに救急要請が必要な症状:突然、片脚に強い痛み、冷感、蒼白、しびれ、動かしにくさなどが現れた場合は、急性下肢虚血の可能性があります。短時間で足の組織に回復不能な障害が生じることがあるため、すぐに救急要請してください[1][2][3]。

閉塞性動脈硬化症の原因|リスクとなる病気と生活習慣

直接的な原因は「動脈硬化」です。血管の壁が厚く硬くなり、コレステロールなどがたまって「プラーク」を形成し、血液の通り道を狭めます[1][2]。

主なリスクファクター

リスクファクター 関係性
喫煙 重要なリスクファクターで、動脈硬化の発症・進行に関係します[1][4]。
糖尿病 高血糖などにより血管が傷つきやすくなり、動脈硬化を進めます。
高血圧 血管に高い圧力がかかり続けることで、動脈硬化を進めます。
脂質異常症 LDLコレステロールの高値はプラーク形成を促し、動脈硬化を進めます。
慢性腎臓病(CKD) 腎機能の低下に伴って動脈硬化や血管石灰化が進みやすくなります。

閉塞性動脈硬化症の検査・診断

問診・身体診察に加え、複数の検査を組み合わせて診断します[1][2]。

検査名 何がわかるか
ABI検査 腕と足首の血圧を測り、その比から足の血流を評価する検査です。一般に0.90以下では、足の動脈の狭窄や閉塞が疑われます。
血管エコー検査 血管の壁の状態やプラーク、血流の速さをリアルタイムで直接観察。
CT血管造影(CTA) 必要な場合に血管全体を3次元的に描出し、治療方針の決定に役立てます。
血液検査 糖尿病、脂質異常症、腎機能障害など全身のリスクを評価。

糖尿病や慢性腎臓病などで血管が硬くなっていると、ABIが正常または高い値でも、血流障害を否定できないことがあります。症状に応じて、足の指の血圧測定や血管エコーなどを組み合わせます[1][2]。

当院では64列CTを導入しており、必要な場合には腎機能や造影剤アレルギーを確認した上で、CT検査を院内で実施できます。これにより、通院の負担を抑えながら、診断と治療方針の検討を進めることができます。

閉塞性動脈硬化症の治療

治療は「運動療法」「薬物療法」「血行再建術」の3つが柱です。目的は、足の症状改善と切断回避、そして心筋梗塞や脳梗塞の予防です。

  • 運動療法(心臓リハビリテーション):閉塞性動脈硬化症(下肢閉塞性動脈疾患)治療の柱間歇性跛行(歩くと足が痛む症状)に対する有効性が確立した治療の一つが、専門家の管理のもとで行う監督下運動療法です。JCS 2022ガイドラインでは、初期治療としてクラスI、エビデンスレベルAで推奨されています[1]。歩行と休息を繰り返すことで、微小循環や血管内皮機能、筋肉の代謝機能などが改善し、歩行距離の延長が期待できます[1][2][5]。

    安静にしていても足が痛む場合や、治りにくい傷がある場合は、自己判断で歩行訓練を始めず、まず血流の評価と治療を受けてください[1][2]。

    閉塞性動脈硬化症のうち、間歇性跛行があり、医師が必要と判断した場合には、心大血管疾患リハビリテーションの保険適用の対象となります[5]。当院には専用の心臓リハビリ施設「ReHeart Gym」を併設しており、循環器専門医と専門スタッフのもと、患者さんの病状に応じた運動療法を行います。運動療法は、薬物療法や血行再建術と組み合わせ、治療後も継続することが重要です[1][2][5]。

  • 薬物療法:症状や合併症に応じて、血栓をできにくくする抗血小板薬や、動脈硬化の進行を抑えるスタチンなどを使用します。歩行時の症状にはシロスタゾールなどを検討しますが、心不全のある患者さんには使用できないため、病状に合わせた薬剤選択が必要です。高血圧や糖尿病の管理も重要です[1][2]。
  • 血行再建術:運動療法や薬物療法で症状が十分に改善しない場合や、CLTIなどの重症例に行います。カテーテルで血管を広げるカテーテル治療と、新しい血液の通り道を作るバイパス手術があります。治療法は、病変の部位や広がり、全身状態、手術リスクなどを踏まえて選択します[1][2][3]。

当院では、総合病院でのこれまでのカテーテル治療の診療経験を踏まえて、患者さんに適した治療方針を検討し、必要な場合には専門医療機関へご紹介します。

予防と再発防止のために

動脈硬化のリスク管理が最も重要です。

  1. 禁煙:病気の進行と心血管イベントを防ぐために重要です[1][2]。
  2. 食事療法:塩分や脂肪分の摂りすぎを避けます。
  3. 運動療法:医師の指示に従い、無理のない範囲で継続します。
  4. 確実な服薬:自己判断で中断せず、処方どおりに服用します。
  5. フットケア:毎日足を観察し、清潔と保湿を心がけます。傷や色の変化があれば早めに相談してください[1][2]。

再発予防のためには、スタチンなどを用いたLDLコレステロールの管理が重要です。具体的な目標値は、冠動脈疾患・脳梗塞・糖尿病などの併存や患者さんの状態に応じて設定します[1][2][6]。

このような症状があればご相談ください

閉塞性動脈硬化症は、「年齢のせい」「運動不足のせい」と思っている間に進行し、気づいたときには重症化していることがある病気です。
「少し休めばまた歩けるから大丈夫」と思っている段階での受診が、足と命を守るための最も重要なタイミングです。

  • 歩くと足が痛くなり、休むと楽になる
  • 足が冷たい、しびれる、色が悪い
  • 足の傷がなかなか治らない
  • 喫煙者、または糖尿病、高血圧、脂質異常症、腎臓病と診断されている方

早期発見・早期治療がご自身の足と命を守ります。お気軽に専門医にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q閉塞性動脈硬化症は治りますか?
A

動脈硬化を完全になくすことは困難です。治療目標は、病気を上手にコントロールし、進行を抑えることです。適切な治療とリスク管理を続けることで、症状の改善や病気の進行抑制、下肢切断・心筋梗塞などのリスク低下が期待できます[1][2]。

Q間歇性跛行と脊柱管狭窄症の違いは?
A

血管が原因の間歇性跛行は、歩行を中止して安静にすると数分で改善しやすいのに対し、脊柱管狭窄症では、座ったり前かがみになったりすると改善しやすい傾向があります。ただし、症状だけでは完全に区別できず、両方を合併することもあるため、ABI検査などによる評価が必要です[1]。

Q薬は一生飲み続ける必要がありますか?
A

薬の種類や服用期間は、症状、出血リスク、合併症、血行再建の有無などによって異なります。スタチンや抗血小板薬などを長期間継続することは多いものの、すべての薬を全員が生涯服用するわけではありません。自己判断で中止せず、主治医に確認してください[1][2][3]。

Q運動してもよいですか?
A

歩くと痛み、休むと改善する間歇性跛行では、医師の指導のもとで行う運動療法が歩行能力の改善に役立ちます。歩く時間や強さは病状に合わせて決めます。安静時にも痛む場合や足に傷がある場合は、運動を始める前に受診してください[1][2][5]。

Q食事で気をつけることはありますか?
A

塩分や飽和脂肪酸の多い食品の摂りすぎを避け、魚、大豆製品、野菜などを取り入れたバランスのよい食事を心がけます。特定の食品だけで詰まった血管が元に戻るわけではありません。糖尿病や腎臓病がある方は、それぞれの病状に合った食事について主治医に相談してください[1][2][6]。

Q家族に同じ病気があると、遺伝しますか?
A

ご家族に閉塞性動脈硬化症があるからといって、必ず発症するわけではありません。ただし、動脈硬化になりやすい体質や、ご家族で共通する生活習慣が関係係することがあります。家族歴がある方は診察時に伝え、禁煙や血圧、血糖、コレステロールの管理を心がけましょう[2]。

Q検査は痛いですか? 入院は必要ですか?
A

ABI検査は腕と足首を血圧計のカフで締めつけるため、圧迫感があります。血管エコーは皮膚に器具を当てる検査で、通常は強い痛みを伴いません。これらは一般に外来で受けられます。造影CTでは注射が必要で、カテーテル検査や治療では入院が必要になる場合があります[1]。

Qどのような症状なら救急車を呼ぶべきですか?
A

突然、足に強い痛みが出たり、急に冷たく白くなったり、しびれて動かしにくくなったりした場合は、急性下肢虚血の可能性があります。すべての症状がそろうのを待たず、すぐに救急要請してください[1][2][3]。

Q歩くと足が痛い場合は、何科を受診すればよいですか?
A

歩くと痛くなり、休むと楽になる場合や、足の冷たさ、治りにくい傷がある場合は、循環器内科や血管外科に相談してください。腰や関節、神経の病気が原因のこともあるため、診察や検査で原因を確認します[1]。

福岡市で閉塞性動脈硬化症の診療なら|うらマイハートクリニック

うらマイハートクリニック(福岡市早良区藤崎・原)は、内科・循環器内科・腎臓内科・呼吸器内科を診療し、心臓リハビリテーションにも対応するクリニックです。

院長(浦 祐次郎)は、循環器専門医・総合内科専門医・心血管インターベンション治療学会認定医・TAVI実施医/指導医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士として、九州医療センターで13年間、小倉記念病院で約2年間にわたり、重症心疾患の診療に従事してきました。副院長の浦 雅紀子は腎臓内科医として、福岡山王病院で約5年間、九州医療センターで6年間にわたり、心腎連関を踏まえた包括的な腎臓病診療に従事してきました。

現在はうらマイハートクリニックにて内科医2名体制で円滑な診療に努めています。

  • 院内での迅速な検査体制:BNPなど含む当日結果のわかる多様な血液検査、心臓や血管を含む各種エコー検査、総合病院レベルの64列CT(血管造影検査含む)に対応。
  • 治療後のサポート:心臓リハビリ施設「ReHeart Gym」で専門スタッフが体力回復・再発予防を支援。
  • 通いやすい診療体制:診療開始は8時30分から、水曜は20時まで診療。駐車場11台完備。発熱症状のある方の専用入口あり。

足の症状にお悩みの方、閉塞性動脈硬化症と診断された方、カテーテル治療を行った方は、福岡市早良区のうらマイハートクリニックまでお気軽にご相談ください。

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当院の専門外来では最適な治療プランをご提案しております。

参考文献

[1] 日本循環器学会/日本血管外科学会合同ガイドライン.2022年改訂版 末梢動脈疾患ガイドライン.

[2] Gornik HL, Aronow HD, Goodney PP, et al. 2024 ACC/AHA/AACVPR/APMA/ABC/SCAI/SVM/SVN/SVS/SIR/VESS Guideline for the Management of Lower Extremity Peripheral Artery Disease. Circulation. 2024;149(24):e1313-e1410. doi:10.1161/CIR.0000000000001251.

[3] 日本循環器学会/日本血管外科学会.2025年JCS/JSVSガイドラインフォーカスアップデート版 末梢動脈疾患.

[4] Willigendael EM, Teijink JAW, Bartelink ML, et al. Influence of smoking on incidence and prevalence of peripheral arterial disease. J Vasc Surg. 2004;40(6):1158-1165. doi:10.1016/j.jvs.2004.08.049.

[5] 日本循環器学会/日本心臓リハビリテーション学会合同ガイドライン.2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン.

[6] 日本動脈硬化学会.動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.

浦 祐次郎

この記事の監修者:
うらマイハートクリニック院長 
浦 祐次郎

循環器専門医・総合内科専門医・TAVI実施医/指導医・心血管インターベンション治療学会認定医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士

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