CARDIOVASCULAR MEDICINE

不整脈

不整脈とは?症状・原因・検査・治療を循環器専門医が解説|福岡市早良区

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「胸がドキドキする」「脈が飛ぶ感じがする」「時々、意識が遠くなるようなめまいがする」。このような動悸や胸の違和感、めまいは、心臓からの重要なサインかもしれません。それは「不整脈」の可能性があり、放置すると脳梗塞や心不全といった深刻な事態を招くこともあります。

実際に私が診療している際に患者様からよく言われる言葉がありますが、それは「私はずいぶん前から不整脈を言われています。でもどうもないから大丈夫です。」ということです。しかし、不整脈にはたくさんの種類があり、そのうちのどの不整脈であるかが重要なのです。過去に言われた不整脈は経過観察のみでよいものかもしれませんが、今出ている不整脈はすぐに治療が必要なものかもしれません。私たちはその点についてよく考える必要があります。

不整脈は決して珍しい病気ではありません。例えば、不整脈の一種である心房細動は、年齢とともに増えることが知られています。2009年に公表された国内研究では、80歳以上の男性の約4.4%、女性の約2.2%に心房細動が認められました[1]。不整脈は、ご自身にも起こりうる身近な病気です。

本記事では、日本循環器学会の『不整脈薬物治療ガイドライン(2020年改訂版)』および『2024年フォーカスアップデート版 不整脈治療』などに基づき、不整脈の基本的な定義から、その種類、症状、原因、そして最新の治療法まで、循環器専門医の視点で詳しく解説します。

【この記事の要点】

  • 不整脈は、脈が速くなる、遅くなる、飛ぶなど、心臓の拍動に異常が生じる状態です。
  • 「突然ドキドキする」「脈が飛ぶ」「めまいを繰り返す」は相談したいサインです。自覚症状がない場合もあります。
  • 強い胸痛や息苦しさ、意識が戻らない場合、突然ろれつが回らない場合は、救急要請が必要です。
  • 診断には心電図、ホルター心電図、心エコーなどを用い、不整脈の種類や危険度に応じて治療を選びます。

この記事を書いた医師
うらマイハートクリニック院長 浦 祐次郎
(循環器専門医・総合内科専門医・TAVI実施医/指導医・心血管インターベンション治療学会認定医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士)

循環器専門医
院長 浦 祐次郎から一言
▶ 循環器専門医 院長 浦祐次郎からの一言 私自身、九州医療センターや小倉記念病院で多くの不整脈患者さんの薬物治療や、カテーテルアブレーションの適応判断、治療前後の管理に携わってきました。「不整脈=すべて危険というわけではありませんが、“見極めが最も重要な病気”です。」

不整脈とは?定義と心臓で起きていること

不整脈とは、特定の病名ではなく、心臓の拍動リズムが正常から逸脱した状態の総称です。私たちの心臓は、通常1分間に60〜100回、規則正しいリズムで拍動し、全身に血液を送り出しています。この規則正しいリズムは、心臓の右心房にある「洞結節(どうけっせつ)」という司令塔が発する微弱な電気信号によってコントロールされています。

この電気信号が心臓全体に正しく伝わることで、心筋は協調して収縮と拡張を繰り返します。不整脈とは、この電気信号を作り出す過程(刺激生成)や、心臓内に伝わる過程(刺激伝導)に何らかの異常が生じ、脈のリズムが乱れてしまう状態を指します。いわば、心臓という家の「電気系統のトラブル」のようなものです。

不整脈の症状・自覚症状|動悸・めまい・失神など

不整脈の症状は、その種類や重症度、また個人の感じ方によって大きく異なります。健康診断で偶然指摘されるまで全く症状がない方もいれば、強い症状に悩まされる方もいます。

よくある症状

不整脈でみられる代表的な症状は以下の通りです。

症状 具体的な感覚・状態 考えられる不整脈
動悸 「ドキドキする」「脈が速い」「脈が飛ぶ・抜ける」「ドキンと強く打つ」など、心臓の拍動を不快に感じる。 発作性上室性頻拍、心房細動、心房粗動、心房頻拍、期外収縮(心房性・心室性)
めまい・ふらつき 脳への血流が一時的に不足し、「クラっとする」「立ちくらみがする」「目の前が暗くなる」と感じる。 洞不全症候群、房室ブロック、心室頻拍、発作性心房細動
息切れ・倦怠感 心臓のポンプ効率が低下し、全身への酸素供給が不足する。軽い労作でも息苦しさやだるさを感じる。 心房細動、心房粗動、持続性の頻脈・徐脈、心不全の合併
胸の不快感・胸痛 胸が締め付けられる感じや圧迫感、痛み。狭心症と似た症状が出ることがある。 発作性上室性頻拍、心房細動、心房頻拍、心室頻拍
失神・意識消失 突然、一時的に意識を失う。意識が戻っても、動悸を伴う場合や運動中に起きた場合は、速やかな評価が必要。 心室頻拍、洞不全症候群、高度房室ブロック

危険なサイン|こんな症状は救急要請を

以下のような症状がある場合は、命に関わる不整脈や心臓病、脳卒中の可能性があります。ためらわずに救急要請してください[2]。

  • 意識が戻らない:倒れて反応がなく、普段どおりの呼吸がない場合は、周囲の人が救急要請し、指示に従って胸骨圧迫とAEDによる対応を始めてください。
  • 強い胸痛、または動悸に強い胸痛や息苦しさを伴う:危険な不整脈や心筋梗塞などの可能性があります。
  • 安静にしていても強い息苦しさがある:心不全が急速に悪化している可能性があります。
  • 突然ろれつが回らない、片方の手足に力が入らない:脳梗塞などの脳卒中の可能性があります。心房細動が原因となることもあります。
循環器専門医
院長 浦 祐次郎から一言
▶ 循環器専門医 院長 浦祐次郎からの一言 失神を伴う不整脈は、命に関わる可能性があります。 実際に、失神をきっかけに重篤な不整脈が見つかるケースも少なくありません。また、その他の心臓病が原因のこともあります。意識が戻っても、動悸を伴う失神や運動中の失神は、速やかに医療機関で評価を受けてください。

不整脈の原因|心臓の病気や生活習慣

不整脈が起こる原因は多岐にわたりますが、「心臓に原因があるもの」と「心臓以外に原因があるもの」に大きく分けられます。

主な原因となる心臓の病気

心臓自体の構造的な問題(器質的心疾患)が、電気信号の正常な伝達を妨げ、不整脈を引き起こすケースです。これは、いわば家の電気配線そのものに問題がある状態に例えられます。

  • 虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞):心臓に栄養を送る冠動脈(かんどうみゃく)の血流が悪化する病気です。心筋がダメージを受けることで、電気信号の通り道が乱れ、特に心室頻拍や心室細動といった危険な不整脈の原因となります。
  • 心不全:心臓のポンプ機能が低下した状態です。「心臓がバテて」しまい、正常なリズムを維持できなくなります。心不全は不整脈の原因にもなれば、不整脈の結果として心不全が悪化することもあり、互いに悪影響を及ぼします。
  • 弁膜症:心臓の「扉」の役割を果たす弁に異常が生じる病気です。心臓に負担がかかり心房や心室が拡大すると、電気の通り道が引き延ばされ、心房細動などの原因となります。
  • 心筋症:心臓の筋肉自体の性質が変化する病気で、電気的な不安定さを生み出し、様々な不整脈を引き起こします。

これらの心臓病の多くは、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病から「ドミノ倒し」のように連鎖的に発症することが多く、不整脈の管理には生活習慣病のコントロールが欠かせません。

心臓以外に原因があるもの

心臓自体に明らかな病気がなくても、他の要因が引き金となって不整脈が起こることがあります。

  • 生活習慣の乱れ:ストレス、過労、睡眠不足、喫煙、アルコールやカフェインの過剰摂取は、自律神経のバランスを乱し、心臓を電気的に興奮させやすくするため、脈の乱れを誘発します。
  • 加齢:年齢とともに心臓の電気伝導システムも変化し、特に心房細動は加齢とともに発症率が著しく上昇します。
  • 他の疾患:高血圧は心臓に持続的な負担をかけ、心房細動の最大の原因の一つです。また、甲状腺の機能が亢進するバセドウ病や、逆に機能が低下する橋本病、睡眠中に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群も、不整脈と密接に関連します。
  • 薬剤の副作用:一部の薬が原因で不整脈が誘発されることもあります。

不整脈の種類|脈が速い・遅い・乱れる

不整脈は、脈拍数やリズムの異常から、大きく以下の3つのタイプに分類されます。すべての不整脈が危険というわけではなく、放置しても問題ないものから、命に関わる緊急性の高いものまで様々です。

タイプ 状態 脈拍数の目安 主な不整脈の種類
頻脈性不整脈 脈が異常に速くなる 1分間に100回以上 心房細動、心房粗動、心房頻拍、発作性上室性頻拍、心室頻拍
徐脈性不整脈 脈が異常に遅くなる 1分間に50回未満 洞不全症候群、房室ブロック
期外収縮 脈のリズムが不規則に乱れる – 上室性期外収縮、心室性期外収縮

頻脈性不整脈 — 脈が速くなる不整脈

頻脈性不整脈は、心臓の電気信号に異常が生じて脈拍が1分間に100回以上に速くなる不整脈の総称です。発生する場所によって「上室性(心房や房室結節などが関わる)」と「心室性(心室が原因)」に分かれ、それぞれ危険度や治療法が異なります。

心房細動は頻脈性不整脈の中で最も患者数が多く、心房が無秩序に震えることで脈が不規則になり、速くなることがあります。動悸や息切れの原因となるだけでなく、心臓内に血栓(血の塊)ができやすくなり、脳梗塞の大きな原因となります。心房細動の詳細は、当院の「心房細動コラム」で詳しく解説しています。

心房粗動は、心房内を電気信号が一定の回路でぐるぐると回り続けることで起こる不整脈です。心房細動と似た症状を呈しますが、脈拍が規則的に速くなるのが特徴です。カテーテルアブレーションによる根治率が非常に高い不整脈です。

心房頻拍は、心房の一部から異常に速い電気信号が発生することで起こります。突然の動悸として自覚されることが多く、薬物療法やカテーテルアブレーションで治療します。

発作性上室性頻拍は、心臓の中に余分な電気の通り道があったり、電気信号が回路の中をぐるぐると回ったりすることで、突然脈拍が150回以上に跳ね上がる不整脈です。「急に心臓がバクバクし始めて、しばらくすると突然ピタッと止まる」という特徴的な症状があります。若い方にも多く見られ、カテーテルアブレーションで根治が期待できます。

心室頻拍・心室細動は、心臓の下の部屋(心室)で発生する不整脈です。心室頻拍の危険度は持続時間や症状、もともとの心臓病などで異なりますが、命に関わるものもあります。心室細動は直ちに救命処置が必要です。マラソンやスポーツの最中に選手が突然倒れ、AED(自動体外式除細動器)で救命されたというニュースを目にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。あのような「心臓突然死」の多くは、この心室細動が原因です。心室細動が起きると、心臓は血液を送り出すことができなくなり、一刻も早い胸骨圧迫とAEDによる対応が必要です。心室頻拍も、心拍数が速い場合には血圧が急激に低下し、めまい、ふらつき、そして失神を引き起こします。さらに心室細動に移行して突然死に至る危険もあります。心筋梗塞や心筋症などの心臓病を持つ方に起こりやすいですが、一見健康に見える方にも突然発症することがあります。動悸に加えて失神(意識を失う)を経験したことがある方は、この危険な不整脈の可能性があるため、速やかに医療機関で評価を受けてください[3][4]。

循環器専門医
院長 浦 祐次郎から一言
▶ 循環器専門医 院長 浦祐次郎からの一言 「急に心臓がバクバクして止まらなくなった」「今まではすぐに良くなっていたのに今日は全然良くならなかった」と救急受診される方も少なくありません。特に突然始まって突然止まる動悸は、発作性上室性頻拍の可能性があります。若い方にも多く見られ、カテーテルアブレーションで根治が最も期待できますので早めの受診をお勧めします。

徐脈性不整脈 — 脈が遅くなる不整脈

徐脈性不整脈は、心臓の電気信号を作り出す力が弱くなったり、電気の伝わり方が途中で途切れたりすることで、脈拍が1分間に50回未満に遅くなる不整脈です。加齢に伴って発症することが多く、高齢の方に多く見られます。

洞不全症候群は、心臓のリズムを作り出す司令塔である「洞結節」の機能が低下し、心拍数が極端に少なくなる病気です。「急に目の前が真っ暗になった」「散歩中にフラッとして立ち止まった」「一瞬意識が遠のいた」といった症状が特徴的です。脈が遅くなる時と速くなる時を繰り返す「徐脈頻脈症候群」というタイプもあり、この場合は動悸とめまいの両方が出現します。

房室ブロックは、心房から心室への電気信号の伝達が途中で途切れてしまう病気です。軽度(1度)であれば症状がないことも多いですが、2度房室ブロックの一部(Mobitz II型や高度房室ブロック)および3度房室ブロックでは脈が極端に遅くなり、めまいや失神を引き起こします。特に完全房室ブロック(3度)では、心拍数が1分間に30〜40回程度まで低下し、日常生活に支障をきたすだけでなく、突然の意識消失による転倒・骨折などの二次的な事故の危険もあります。

これらの徐脈性不整脈で、めまいや失神などの症状がある場合や、心拍数が著しく低い場合には、ペースメーカーの植込みが検討されます。ペースメーカーは、心臓に適切なタイミングで電気刺激を送り、正常な心拍数を維持する小型のデバイスです。現在のペースメーカーは非常に小型化が進んでおり、植込み後は日常生活にほぼ支障なく過ごすことができます。

循環器専門医
院長 浦 祐次郎から一言
▶ 循環器専門医 院長 浦祐次郎からの一言 「年齢のせいでふらつく」「私は貧血があるからその症状だ」「疲れがたまっているだけだろう」と思われている方の中に、実際には徐脈性不整脈が原因だったというケースも数多く経験します。一度、循環器専門医にご相談ください。

期外収縮 — 脈が飛ぶ・乱れる不整脈

期外収縮は、本来のタイミングより早く心臓が収縮してしまうことで、「脈が飛ぶ」「ドキンと強く打つ」と感じる不整脈です。発生する場所によって上室性期外収縮と心室性期外収縮に分かれます。

期外収縮は、健康な方でも日常的に起きていることが多く、ほとんどの場合は治療の必要がありません。ストレス、睡眠不足、カフェインやアルコールの摂取が引き金になることがあり、生活習慣の改善で症状が軽減することも多いです。ただし、心室性期外収縮が多い場合には、心機能が低下することがあります。1日の総心拍数の約10%以上などが評価の目安ですが、頻度だけで危険度を判断することはできません。基礎心疾患の有無や症状、心機能を含めて評価します[5]。

危険な不整脈とそうでない不整脈(まとめ)

「不整脈がある」と聞くと、多くの方が不安に感じられるかもしれません。しかし、不整脈のすべてが危険なわけではありません。以下に、危険度の目安をまとめます。

  • 比較的、心配の少ない不整脈:上室性期外収縮、心室性期外収縮(基礎心疾患がなく、症状が軽く、頻発していない場合)
  • 注意・治療が必要な不整脈:心房細動(脳梗塞のリスク)、心房粗動、心房頻拍、発作性上室性頻拍(症状が強い場合)、持続する頻脈や徐脈(心不全の原因)
  • 命に関わる危険な不整脈:心室細動、心室頻拍の一部(突然死のリスク)
  • 失神などを起こし、早期の治療が必要な不整脈:高度房室ブロック・洞不全症候群

不整脈の検査・診断|心電図・ホルター心電図・心エコー

不整脈の診断と原因究明のためには、症状が起きている時の心電図を記録することが最も重要です。しかし、症状は一時的なことも多いため、多角的な検査を組み合わせて診断します[4]。

診断の流れ

不整脈が疑われる場合、診断は主に以下の流れで進みます。

  1. 問診:動悸、めまいなどの症状の具体的な内容、出現タイミング、持続時間、既往歴(心臓病、高血圧など)、生活習慣、服用中の薬などを詳しくお伺いします。
  2. 身体診察:聴診で心臓の音やリズムを確認し、脈拍を測定します。
  3. 心電図検査:診断の基本となる検査です。不整脈の有無や種類を判断します。
  4. 追加検査:ホルター心電図、心エコー検査、血液検査などを行い、不整脈をより詳細に評価し、原因となる心臓の病気がないか調べます。
  5. 確定診断:すべての検査結果を総合的に評価し、不整脈の種類、重症度、原因を特定し、治療方針を決定します。

主な検査

検査名 何がわかるか 特徴
12誘導心電図検査 検査時の心臓の電気活動を記録。不整脈の基本的な種類を診断。 短時間で実施可能。すべての循環器診療の基本となる検査。
ホルター心電図 24時間装着可能な小型の心電計で、日常生活中の心電図を記録。 日常生活での不整脈と症状の関連を調べる。検査中に発作が出ないと捉えられないことがあり、症状の頻度に応じて長期間の記録を検討する。
心エコー検査(心臓超音波検査) 心臓の大きさ、壁の動き、弁の状態など、心臓の構造的な異常(器質的心疾患)の有無を評価。 不整脈の原因となる心臓病の特定に不可欠。被ばくがなく安全。
胸部X線検査(胸部レントゲン) 心臓の大きさ(心拡大の有無)、肺うっ血の有無(心不全の兆候)、胸水の有無を評価。基礎心疾患の存在を示唆する所見がないかを確認。 被ばく量が少なく短時間で実施可能。心拡大や心不全合併の有無を簡便にスクリーニングできる基本検査。
血液検査 貧血、甲状腺機能異常、電解質異常など、心臓以外の原因を検索。心臓への負担の程度(BNP)も評価。 全身状態の把握に重要。
冠動脈CT検査 冠動脈の狭窄・閉塞の有無を評価。狭心症や心筋梗塞が不整脈の原因として疑われる場合に行う。 高度な画像診断で、侵襲的なカテーテル検査をせずに冠動脈の状態を把握できる。

不整脈と心不全の関係|BNPによる心臓への負担評価

不整脈、特に心房細動が続くと、心臓に負担がかかり心不全を合併することがあります。その心臓への負担の程度を客観的に評価できるのが、血液検査で測定するBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)というホルモンや心臓エコー検査です。

冠動脈CTによる原因精査

胸痛を伴う不整脈の場合や、心電図で虚血性心疾患が疑われる場合、心臓の血管(冠動脈)の状態を詳しく調べる必要があります。

不整脈の治療|薬物療法・カテーテルアブレーション・ペースメーカー

不整脈の治療目標は、①不快な症状の緩和、②生活の質(QOL)の改善、そして最も重要な③脳梗塞や突然死といった重篤な合併症の予防です。治療法は、不整脈の種類や原因、患者さんの状態に応じて選択されます。

薬による治療(薬物療法)

薬物療法は、不整脈治療の基本の一つです。主に2種類の薬が使われます。

  • 抗不整脈薬:脈の乱れそのものを抑制し、頻脈を止めたり、期外収縮を減らしたりすることで症状をコントロールします。作用の違いによって多くの種類があり、不整脈のタイプや心臓の状態に合わせて慎重に選択する必要があります。
  • 抗凝固薬:心房細動では、年齢や持病、脳梗塞の既往などから脳梗塞の危険度を評価し、抗凝固薬が必要か判断します。処方された薬を症状がないからと自己判断で中断すると、脳梗塞の危険が高まるため、医師の指示通りに服用することが大切です[6]。

非薬物療法(カテーテルアブレーション・デバイス治療)

薬物療法でコントロールが難しい場合や、根治を目指せる不整脈に対しては、非薬物療法が積極的に行われます。

治療法 対象となる不整脈 概要
カテーテルアブレーション 発作性上室性頻拍、心房細動、心房粗動、心房頻拍、一部の心室性不整脈など 足の付け根の血管からカテーテルという細い管を心臓内に進め、不整脈の原因となっている異常な電気回路を高周波で焼き切る(焼灼する)治療法です。多くの頻脈性不整脈で根治が期待できます。
ペースメーカー植込み 洞不全症候群、房室ブロック(高度・完全)などの徐脈性不整脈 脈が極端に遅くなることでめまいや失神を起こす場合に、本体を胸の皮膚の下に植え込み、心臓に電気刺激を送って適切な脈拍を維持するデバイスです。
植込み型除細動器(ICD) 心室頻拍、心室細動など、突然死のリスクが高い不整脈 危険な不整脈を24時間監視し、発生した際に自動で電気ショックを作動させることで突然死を予防する、まさにお守りのようなデバイスです。

これらの高度な治療が必要と判断した場合は、その治療に最も適した専門医療機関へ責任をもってご紹介します。

不整脈の予防と再発防止|日常生活でできること

不整脈の管理において、治療と同じくらい重要なのが日常生活における自己管理です。

日常生活での注意点

不整脈の引き金となる生活習慣を改善することが、予防と再発防止の第一歩です。

  • 高血圧・糖尿病・脂質異常症の管理:これらは不整脈の最大の危険因子です。医師の指導のもと、適切に治療しましょう。
  • 禁煙・節酒:喫煙は動脈硬化を進め、過度の飲酒は心房細動などを誘発します。禁煙は必須、飲酒は適量を心がけましょう。
  • ストレス管理:十分な休息と睡眠をとり、リラックスできる時間を作ることが自律神経の安定につながります。
  • バランスの取れた食事:塩分・脂肪分を控えめにし、野菜や魚を中心としたバランスの良い食事を心がけます。
  • 適度な運動:無理のない範囲での有酸素運動(ウォーキングなど)は、心肺機能を高め、生活習慣病の改善にも繋がります。

定期通院の重要性

症状が落ち着いていても、不整脈は再発したり、気づかないうちに進行したりすることがあります。特に、心房細動のように脳梗塞のリスクがある不整脈や、薬物治療・デバイス治療後の方は、定期的な通院が不可欠です。定期的に心電図や心エコーで状態を確認し、必要に応じて治療法を調整していくことが、長期的に心臓を守ることに繋がります。

このような症状があればご相談ください

受診の目安|早めの相談が大切なケース

以下のような症状や状態に心当たりがある方は、放置せずに一度、循環器専門医への相談をお勧めします。

  • 動悸(ドキドキ、脈が飛ぶ、など)を自覚することがある
  • 原因不明のめまいや立ちくらみを繰り返す
  • 意識を失ったことがある(失神)。特に動悸を伴う失神や運動中の失神は、速やかな評価が必要です
  • 軽い動作で息切れがするようになった
  • 健康診断で「心電図異常」や「不整脈」を指摘された
  • 血縁者に突然死した方がいる

「これくらいの症状で受診していいのかな」と迷う必要はありません。その症状の裏に、治療が必要な不整脈が隠れている可能性があります。早期に診断し、適切な対応をとることが、将来の安心につながります。

よくある質問(FAQ)

Q不整脈は治りますか?
A

不整脈の種類によっては、カテーテルアブレーション治療で根治が期待できるものがあります(発作性上室性頻拍、心房粗動、心房頻拍など)。心房細動もアブレーションで症状が大きく改善することが多いです。一方で、薬でコントロールしたり、生活習慣の改善で管理したりしていく不整脈もあります。まずは正確な診断を受け、ご自身の不整脈のタイプに合った治療方針を知ることが重要です。

Q不整脈と診断されたら運動はしてはいけませんか?
A

心房細動や心不全などを合併し、運動機能が低下している方では、状態に応じた心臓リハビリテーションにより、運動能力や生活の質の改善が期待できます。ただし、心拍数のコントロールが不十分な不整脈などでは、先に不整脈の治療が必要です。状態が安定している方では適度な運動が勧められることが多い一方、運動を制限すべき不整脈もあります。必ず医師に相談してから始めてください。

Q心房細動の薬は一生飲み続ける必要がありますか?
A

心房細動では、年齢や持病、脳梗塞の既往などから脳梗塞の危険度を評価し、抗凝固薬が必要か判断します。長期の服用が必要な方も多く、症状がなくなったり、アブレーション後に心房細動が見られなくなったりしても、薬を続ける場合があります。薬の変更や中止は自己判断で行わず、主治医に相談してください[6]。

Q不整脈がある場合、食事で気をつけることはありますか?
A

特定の食品だけで不整脈が治るわけではありません。バランスのよい食事を基本に、飲酒量やカフェインの摂りすぎに注意しましょう。飲酒やコーヒーなどで動悸が出る場合は、摂取量と症状の関係を記録して相談してください。心不全や腎臓病がある方は、塩分や水分などの制限が必要な場合があるため、個別の指示に従ってください[5][7][8]。

Q不整脈は遺伝しますか?
A

不整脈のすべてが遺伝するわけではありませんが、遺伝的な要因が関係する種類もあります。ご家族に若くして突然亡くなった方、原因不明の失神を繰り返す方、遺伝性不整脈と診断された方がいる場合は、受診時に伝えてください。必要に応じて専門施設での検査を検討します[9]。

Q不整脈の検査は痛いですか?入院が必要ですか?
A

心電図やホルター心電図は体に電極を貼って記録する検査で、通常、痛みはありません。胸に機器を当てる心エコーも、通常は強い痛みを伴いません。これらは一般に外来で受けられますが、採血には針を刺す痛みがあります。カテーテルを使う詳しい検査や治療では、入院が必要になることがあります。

Qどのような症状なら救急車を呼ぶべきですか?
A

強い胸痛や安静時の強い息苦しさ、意識が戻らない場合、突然の片側の手足の麻痺やろれつの異常がある場合は、救急要請してください。倒れて反応がなく、普段どおりの呼吸がない場合は、周囲の人が救急要請し、通信指令員の指示に従って胸骨圧迫とAEDによる対応を始めてください。意識が戻っても、動悸を伴う失神や運動中の失神は、速やかな評価が必要です[2][4]。

福岡市で不整脈の診療なら|うらマイハートクリニックの特徴

うらマイハートクリニック(福岡市早良区藤崎・原)は、内科・循環器内科・腎臓内科・呼吸器内科を診療し、心臓リハビリテーションにも対応するクリニックです。

院長(浦 祐次郎)は、循環器専門医・総合内科専門医・心血管インターベンション治療学会認定医・TAVI実施医/指導医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士として、九州医療センターで13年間、小倉記念病院で約2年間にわたり、重症心疾患の診療に従事してきました。副院長の浦 雅紀子は腎臓内科医として、福岡山王病院で約5年間、九州医療センターで6年間にわたり、心腎連関を踏まえた包括的な腎臓病診療に従事してきました。

現在はうらマイハートクリニックにて内科医2名体制で円滑な診療に努めています。

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