大動脈解離とは?症状・原因・検査・治療を循環器専門医が解説|福岡市早良区
突然、胸や背中に引き裂かれるような激痛が走る――。それは命に関わる危険な血管の病気、大動脈解離のサインかもしれません。大動脈解離は、適切な診断と迅速な治療が予後を大きく左右する、まさに時間との勝負となる疾患です。特に上行大動脈に及ぶA型では、治療が遅れると短時間で命に関わるため、迅速な診断と治療が必要です [1][4]。
本記事では、循環器専門医の立場から、大動脈解離の基本的な知識から、原因、特徴的な症状、最新の検査・治療法、そして日常生活での注意点に至るまで、詳しく解説します。
この記事の要点
- 大動脈解離は、大動脈の壁が裂けて壁の中に血液が入り込む病気で、突然の胸・背中の激痛などで発症します。
- 明確な前兆がないことが多く、痛みが弱い・ない場合もあります。高血圧や遺伝的な要因などが関係します。
- 突然の激しい胸・背中の痛み、失神、急な手足の麻痺がある場合は119番へ。痛みが治まっても救急要請が必要です。
- 診断は造影CTが中心で、部位や合併症に応じて手術や降圧治療を行います。治療後も血圧管理と定期検査が必要です。
この記事を書いた医師
うらマイハートクリニック院長 浦 祐次郎
(循環器専門医・総合内科専門医・TAVI実施医/指導医・心血管インターベンション治療学会認定医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士)
循環器専門医院長 浦 祐次郎から一言▶ 循環器専門医(院長 浦祐次郎)からの一言 実際の診療では、「痛みが一度落ち着いたため様子を見ていた」という方が、重篤な状態で再受診されるケースも経験します。突然の激しい胸痛や背部痛があった場合は痛みが落ち着いても救急要請を検討してください。自分で運転して受診することは避けてください。
大動脈解離とは?定義と血管で起きていること
大動脈解離は、心臓から全身へ血液を送り出す人体で最も太い血管である「大動脈」の壁が、ある日突然、裂けてしまう病態です。大動脈の壁は、内側から内膜・中膜・外膜という3層の丈夫な構造になっています。しかし、何らかの原因で最も内側にある内膜に亀裂が入ると、そこから高圧の血液が壁の中に勢いよく流れ込み、主に中膜のレベルで壁を縦方向に引き裂いていきます。
これにより、本来の血液が流れる空間である「真腔(しんくう)」とは別に、壁の中に新たな空間「偽腔(ぎくう)」が形成されます。偽腔には血液が流れる場合と、血栓で閉塞する場合があります [1]。この偽腔が拡大すると、真腔を圧迫して脳や心臓、腹部の臓器への血流を妨げたり(灌流障害)、薄くなった大動脈の外壁が最終的に破裂して致死的な大量出血をきたす可能性があります。
大動脈解離の症状|突然の激痛から臓器障害まで
前兆はある? 痛みがない場合もある?
多くの場合、明確な前兆なく突然発症します。胸や背中の痛みが弱い場合や、痛みがなく失神・手足の麻痺などで発症する場合もあります。「強い痛みがないから大丈夫」とは判断できません [1]。
初期症状|「人生最悪の痛み」
多くの患者さんが「今までに経験したことのない、人生最悪の痛み」と表現するほどの激烈な痛みが突然発症するのが最大の特徴です [1]。
| 症状 | 特徴 |
|---|---|
| 胸部の激痛 | 上行大動脈の解離で多い。引き裂かれるような痛み |
| 背部の激痛 | 下行大動脈の解離で多い。背中から腰にかけて移動する痛み |
| 腹部の激痛 | 腹部大動脈まで解離が及んだ場合 |
| 失神 | 約1〜2割の患者さんで、典型的な痛みがなく失神で発症 |
痛みは「引き裂かれるよう」「移動していく」と表現されることが多く、解離が広がるにつれて痛みの部位が移動することがあります。ただし、痛む場所だけで解離の有無や範囲を判断することはできません。
進行・重症化のサイン|命に関わる合併症
大動脈解離の恐ろしさは、様々な臓器への血流障害(灌流障害)や血管の破裂といった重篤な合併症を引き起こす点にあります。
| 合併症 | 主な原因 | 症状 |
|---|---|---|
| 心タンポナーデ | 上行大動脈の破裂により心膜内に血液貯留 | 血圧低下、意識障害、突然死(A型の最多死因) |
| 大動脈弁閉鎖不全 | 解離が大動脈弁に及び逆流が発生 | 急性心不全、呼吸困難 |
| 脳虚血 | 頚動脈への解離の進展 | 意識障害、半身麻痺、失語 |
| 冠動脈虚血 | 冠動脈入口部の閉塞 | 急性心筋梗塞、心停止 |
| 腸管虚血 | 腸管を栄養する動脈の血流低下 | 激しい腹痛、下血 |
| 腎虚血 | 腎動脈の血流低下 | 乏尿・無尿、急速な腎機能悪化 |
| 四肢虚血 | 腕や脚への動脈の血流低下 | 腕や脚の激しい痛み、冷感、脈拍消失 |
突然の激しい胸・背中・お腹の痛み、意識障害、急な手足の麻痺、強い息苦しさなどがある場合は、119番で救急車を呼んでください。
大動脈解離の原因|高血圧・血管の変化と生活習慣
最大のリスク因子は「高血圧」
大動脈解離の最大の危険因子は高血圧です [1]。常に血管に高い圧力がかかっている状態は、大動脈の壁に絶えずストレスを与え続け、壁の構造を徐々に脆くしていきます。特に血圧の急激な変動は、血管壁を引き裂く「ずり応力」を増大させ、解離の直接的な引き金となり得ます。日々の血圧管理が、大動脈解離の予防において最も重要であると言っても過言ではありません。
加齢に伴う血管の変化と動脈硬化
加齢に伴う大動脈壁の変化や、生まれつきの血管の弱さも、大動脈解離に関係します。動脈硬化を伴う場合もありますが、すべての大動脈解離が動脈硬化によって起こるわけではありません。血圧管理を中心に、禁煙や脂質異常症の治療などで血管全体の健康を保つことが大切です [1][3]。
生まれつきの要因「遺伝性結合織疾患など」
頻度は高くありませんが、生まれつき血管の壁が脆い体質が原因となることがあります。
| 疾患名 | 特徴 |
|---|---|
| マルファン症候群 | 全身の結合組織が脆くなる遺伝性疾患。大動脈解離を高率に合併 |
| ロイス・ディーツ症候群 | マルファン症候群と類似するが、より早期に血管イベントを起こしやすい |
| 血管型エーラス・ダンロス症候群 | 血管や臓器の壁が弱く、薄く透けるような皮膚や、あざのできやすさなどを伴う [10] |
これらの疾患を持つ方は、若くして大動脈解離を発症するリスクがあり、専門医による定期的な経過観察が不可欠です。
生活習慣との関係
大動脈解離には、高血圧や加齢に伴う大動脈壁の変化、遺伝的な要因などが関係します。塩分の過剰摂取、喫煙、運動不足、過度のストレスは、血圧や血管の健康に影響します。日々の血圧管理に加え、禁煙や減塩などの生活習慣の改善を続けることが大切です [1][3]。
高齢者で増える理由
高齢者に大動脈解離が多い理由は、加齢に伴う変化や長年にわたる高血圧の影響により、大動脈の壁が徐々に脆弱化していくためです。加齢に伴い大動脈壁の弾性線維が減少し、コラーゲンの変性が進行することで、血管の「しなやかさ」が失われます。さらに高齢者では高血圧の有病率が高く、腎機能低下も併存しやすいため、心腎連関の悪循環がより顕著に現れます。
命運を分ける「Stanford分類」
大動脈解離の治療方針を決定する上で最も重要なのが、解離がどこまで及んでいるかを示す「Stanford(スタンフォード)分類」です。
| 分類 | 解離の範囲 | 治療方針 | 緊急度 |
|---|---|---|---|
| Stanford A型 | 上行大動脈に解離が及ぶ | 原則として緊急手術(人工血管置換術) | 極めて高い(一刻を争う) |
| Stanford B型 | 上行大動脈に解離が及ばない | 合併症がなければ降圧・鎮痛治療。破裂や血流障害などがあれば緊急介入 | 合併症がある場合は緊急治療が必要 |
Stanford A型は、心臓を包む膜(心膜)の中に血液が漏れ出て心臓を圧迫する「心タンポナーデ」や、大動脈そのものが破裂するリスクが非常に高く、まさに「外科医が走り出す病気」の代表格です。Stanford B型は、A型に比べて急な破裂のリスクは低いとされますが、痛みがコントロールできない場合や臓器への血流障害がある場合には、カテーテルで人工血管を留置する胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)などを検討します [1][4]。
偽腔の状態による分類|偽腔開存型・血栓閉塞型・潰瘍様突出(ULP)型
Stanford 分類に加えて、解離によってできた偽腔の状態も治療方針や予後を左右する重要な分類です [1][5]。偽腔の中の血流の有無によって、大きく以下の 3 つのタイプに分けられます。
| 分類 | 偽腔の状態 | 特徴・予後 |
|---|---|---|
| 偽腔開存型 | 偽腔に血流がある | 最も頻度が高く、偽腔の拡大や破裂のリスクが高い。長期的な経過観察が特に重要 |
| 血栓閉塞型 | 偽腔が血栓で完全に閉塞 | 血流がなくても進行する場合があり、厳重な経過観察が必要 |
| ULP型 | 血栓化した偽腔の一部に、潰瘍様突出(ULP)と呼ばれる血液の入り込む部分がある | 偽腔開存型と血栓閉塞型の中間的な予後。ULPの存在は偽腔拡大のリスク因子 |
大動脈壁内血腫(IMH)とは?
大動脈壁内血腫(IMH)は、大動脈の壁の中に血液がたまった状態で、急性大動脈症候群(AAS)の一つに分類されます。壁の中の細い血管からの出血や、内膜の小さな裂け目が関係すると考えられています。典型的な大動脈解離と異なり、通常の造影CTでは壁の中に持続的な血流が確認されないことが特徴です [1][4][5]。
大動脈壁内血腫では、後述するDダイマーが十分に上昇しない場合があり、陰性でも病気を否定できません [6]。壁内血腫はそのまま吸収されることもありますが、典型的な大動脈解離に進行したり、大動脈破裂を引き起こしたりする危険性があるため、大動脈解離と同様に厳重な血圧管理や、場合によっては緊急手術が必要です [1][4][5]。
大動脈解離の疫学
2020年の日本のガイドラインでは、地域調査に基づく急性大動脈解離の年間発症率として、人口10万人あたり約3人から約10人という報告が紹介されています。調査地域や調査方法によって数値は異なり、全国一律の発症率を示すものではありません [1]。発症のピークは男女ともに70歳代で、高齢者に多い傾向がありますが、遺伝的な要因により若い方でも発症することがあります。また、血圧が変動しやすい冬場に多く、時間帯では交感神経が活発になり始める日中(特に午前6時〜12時)に発症しやすいとされています [1]。
大動脈解離の検査・診断|CT・血液検査・心エコー
診断の流れ(初診〜確定診断まで)
大動脈解離が疑われる場合は、以下の検査を必要に応じて並行して進めます。疑いが強い場合は、血液検査の結果を待って画像診断や専門病院への搬送を遅らせないことが重要です [4]。
- 問診・身体所見:「突然発症した強い胸痛や背部痛」は診断の大きな手がかりです。左右の腕の血圧差や脈の触れ方も確認します。
- 血液検査:Dダイマーや腎機能などを調べ、必要に応じて心筋障害や心不全の検査を追加します。
- 造影CT検査:解離の有無、範囲、合併症を評価する、診断の中心となる検査です。
- 心エコー検査:心タンポナーデや大動脈弁の逆流などを調べます。
主な検査
| 検査名 | 目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| 造影CT検査 | 解離の有無・範囲・合併症の評価 | 確定診断の「ゴールドスタンダード」。真腔と偽腔を明瞭に描出 |
| Dダイマー(血液検査) | 症状や診察所見と合わせた診断の補助 | 陰性でも否定できず、疑いが強ければ画像検査が必要 |
| 心エコー検査 | 心タンポナーデ・大動脈弁閉鎖不全の評価 | ベッドサイドで迅速に実施可能 |
| 心電図 | 心筋虚血の評価 | 冠動脈虚血の合併を見落とさないために重要 |
血液検査による評価|Dダイマー・脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)
大動脈解離の診断において、血液検査は重要な補助的役割を果たします。中でも「Dダイマー」は、体内で血栓(血の塊)が形成され、それが溶かされる過程で血液中に放出される物質であり、急性大動脈解離などで上昇します。18研究をまとめた2024年の解析でも、大動脈解離や壁内血腫などを含む急性大動脈症候群の診断を補助する検査としての有用性が示されています [2]。
ただし、Dダイマーが陰性でも大動脈解離を否定できません。症状や診察所見と合わせて判断する必要があり、以下のような場合には特に注意します。
大動脈壁内血腫や血栓閉塞型の場合:大動脈壁内血腫や、偽腔が血栓で閉塞した大動脈解離では、Dダイマーが十分に上昇しない場合があるため、陰性でも除外できません [1][6]。
解離の範囲や受診までの時間との関係:発症24時間以内に受診した患者さんを対象とする2023年の単施設研究では、Dダイマー陰性例は、解離の範囲が小さく、初回受診までの時間が長い傾向が報告されています [7]。
欧州心臓病学会(ESC)の2024年ガイドラインでも、症状や病歴などから大動脈解離が強く疑われる場合は、Dダイマーが陰性でも造影CTなどの画像検査を行うことが重要とされています [4]。当院でも、血液検査の結果だけでなく、症状や病歴を総合的に評価し、患者さんの状態に応じて迅速な画像診断や専門病院への緊急搬送につなげます。
また、心不全などの合併を調べるため、必要に応じて脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を測定します。心タンポナーデや大動脈弁の逆流は、主に心エコーで評価します [4]。
CTによる確定診断
造影CT検査は、大動脈解離の確定診断において最も重要な検査です。造影剤を注入しながら撮影することで、大動脈の全体像を立体的に描き出し、真腔と偽腔の区別、解離の範囲、臓器への血流障害の有無など、治療方針決定に必要なほぼ全ての情報を得ることができます [1]。
当院には「64列CT」を導入しており、患者さんの状態に応じて院内でCT検査を行うことができます。急性大動脈解離が疑われる場合は緊急対応が必要です。全身状態が不安定な場合などは院内検査にこだわらず、心臓血管外科のある病院への搬送を優先します。迅速な診断と高度急性期病院との連携を通じて、必要な治療につなげます。
大動脈解離の治療|緊急手術から降圧治療まで
Stanford A型:一刻も早い外科手術
解離が上行大動脈に及ぶ急性Stanford A型は、原則として緊急手術が必要です。診断後は速やかに心臓血管外科のある病院へ搬送し、裂けた大動脈を人工血管に置き換える手術(人工血管置換術)などを行います。一部の血栓閉塞型などでは、専門チームが画像所見や全身状態を評価し、厳重な監視下で内科治療を選ぶ場合もあります [1][4]。
Stanford B型:まず厳格な降圧治療
解離が上行大動脈に及ばないStanford B型のうち、合併症のない急性B型では、痛みを抑え、血圧と心拍数を管理する内科治療が基本です。集中治療室などで、β遮断薬を中心に、必要に応じてカルシウム拮抗薬などを組み合わせ、大動脈壁への負担を減らします [1][4]。破裂や臓器への血流障害などがある場合は、緊急の血管内治療や手術が必要です。合併症がなくても、大動脈の拡大など将来の危険性が高い場合には、専門チームが追加治療を検討します [4][8]。
| 治療法 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 緊急手術(人工血管置換術) | 急性Stanford A型(原則) | 裂けた大動脈を人工血管に置換 |
| 内科的治療(降圧・鎮痛治療) | Stanford B型(合併症なし) | 血圧・心拍数・痛みを管理し、画像検査で経過を確認 |
| 胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR) | 主に合併症のあるStanford B型 | カテーテルでステントグラフトを留置 |
心臓リハビリテーションの重要性
急性期を乗り越えて状態が安定した後は、医師の評価に基づく心臓リハビリテーション(心リハ)が、体力や生活の質の回復を支えます。運動の内容や強さは血圧や大動脈の状態に合わせて個別に調整し、服薬や血圧管理、定期的な画像検査も継続します [1][3][9]。
大動脈解離は「心大血管疾患リハビリテーション料」の対象疾患に含まれています。Stanford A型の術後だけでなく、Stanford B型の急性期治療後も、病状が安定した段階で心リハを検討します。運動療法に加え、血圧の測り方や服薬、日常生活での注意点についても支援します [1][9]。米国心臓病学会(ACC)・米国心臓協会(AHA)の2022年ガイドラインでも、大動脈瘤・大動脈解離の手術後の心リハが推奨されています [3]。
当院では、専用の心臓リハビリ器具が完備されており、専門スタッフの監視下で心電図や血圧をモニターしながら、安全かつ効果的なオーダーメイドの運動療法プログラムを提供しています。手術を行う大病院では、退院後の長期的なリハビリを継続することが難しいケースが少なくありません。実際に心臓リハビリが継続して必要であるのに心臓リハビリを実施できていない方が多数おられるのが現実です。「薬だけの治療」ではなく、運動療法を組み合わせた包括的な退院後の管理を実践しています。
大動脈解離の予防と再発防止|日常生活でできること
最重要課題は「血圧管理」
血圧の厳格な管理が最も重要です。慢性期の血圧管理では130/80mmHg未満が一つの目安ですが、年齢や腎機能、立ちくらみの有無などに応じて主治医が調整します。家庭血圧を毎日測定・記録し、ご自身の目標値を確認しましょう [1]。血圧が急上昇するような行動(重いものを持ち上げる、いきむ、急な温度変化など)は避けてください。
日常生活での注意点
- 禁煙は絶対条件:喫煙は動脈硬化を著しく促進させるため、禁煙は治療の大前提です
- 塩分制限:1日6g未満を目標に。汁物の汁を残す、漬物や加工食品を控えるなどが役立ちます [11]
- 適度な有酸素運動:ウォーキングなど、主治医の指示に従った運動を継続
- 急激な温度差を避ける:冬場の入浴時や外出時に注意。ヒートショックは大動脈解離の引き金になり得ます
- ストレス管理:過度のストレスは血圧を急上昇させます
定期通院の重要性
大動脈解離は、急性期を乗り越えた後も「治った」わけではありません。偽腔が残存している場合、将来的に偽腔が拡大して再解離や破裂を起こすリスクがあります。症状がなくても、CTや磁気共鳴画像検査(MRI)で大動脈の状態を定期的に確認し、生涯にわたるフォローアップを継続することが大切です。検査間隔は治療内容や大動脈の状態に合わせて決めます [3][4]。
このような症状があれば救急車を呼んでください
突然の激しい胸痛や背部痛があった場合は、痛みが落ち着いても119番で救急車を呼んでください。「痛みが治まったから大丈夫」と思っている間にも、命に関わる状態に進行する可能性があります。
受診の目安|早めの相談が大切なケース
以下のような症状や状況に当てはまる方は、早めに循環器内科を受診されることをお勧めします。
- 高血圧を指摘されているが、十分にコントロールできていない
- 健康診断で大動脈の拡大を指摘された
- ご家族に大動脈解離や大動脈瘤の方がいる
- マルファン症候群などの遺伝性疾患がある
- 大動脈解離の治療後で、定期的なフォローアップを受けたい
- 血圧の薬を飲んでいるが、本当にこのままでよいか不安
大動脈解離は「予防」と「早期発見」が命を守る鍵です。血圧管理に不安がある方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
残念ながら、多くの場合、明確な前兆なく突然発症します。だからこそ、日頃からの血圧管理や禁煙などで血管の健康を保つことが大切です。高血圧がある方は、定期的な通院と確実な服薬を続けてください。
大動脈瘤は大動脈の壁が「風船のように膨らむ」病気で、大動脈解離は壁が「裂ける」病気です。どちらも破裂すれば致命的ですが、発症の仕方や治療法が異なります。大動脈瘤が存在する部位で解離が起こることもあります。
多くの場合、心臓リハビリテーションを経て日常生活に復帰できます。ただし、生涯にわたる血圧管理とCTやMRIによる定期的な画像検査が必要です。激しい運動や重労働には制限がかかる場合があります。
再発のリスクはあります。特に偽腔が残存している場合、将来的に再解離や偽腔の拡大が起こる可能性があります。血圧管理を続け、定期的な画像検査で変化を確認することが大切です。
はい。マルファン症候群などの遺伝性結合織疾患がある方は、若くして発症するリスクがあります。また、コントロール不良の高血圧や喫煙がある若年者でも発症することがあります。
血圧管理のため、食塩は1日6g未満を目安にします。麺類の汁を残す、調味料をかけすぎないなど、続けやすい減塩を心がけてください。特定の食品で裂けた血管を修復できるわけではありません。腎臓病などで食事や水分の制限がある場合は、個別の指示に従いましょう [11]。
CTの撮影自体に通常痛みはありませんが、造影CTでは点滴の針を刺す痛みや、造影剤による体の熱さを感じることがあります。胸に機器を当てる心エコーも、通常は強い痛みを伴いません。急性大動脈解離と診断された場合は、手術をしない場合も原則として入院治療が必要です。治療後、状態が安定していれば外来で定期検査を行います。造影剤アレルギーや腎機能低下がある方は事前にお伝えください [1]。
突然の激しい胸・背中・お腹の痛み、失神、急な手足の麻痺や言葉の出にくさ、強い息苦しさがある場合は119番で救急車を呼んでください。痛みが治まっても様子を見ず、自分で運転しないでください。大動脈解離の治療歴がある方は、そのことも救急隊に伝えてください [1]。
福岡市で大動脈解離の診療なら|うらマイハートクリニックの特徴
うらマイハートクリニック(福岡市早良区藤崎・原)は、内科・循環器内科・腎臓内科・呼吸器内科を診療し、心臓リハビリテーションにも対応するクリニックです。
院長(浦 祐次郎)は、循環器専門医・総合内科専門医・心血管インターベンション治療学会認定医・TAVI実施医/指導医・SHD心エコー図認証医・心臓リハビリテーション指導士として、九州医療センターで13年間、小倉記念病院で1年半にわたり、重症心疾患の診療に従事してきました。副院長の浦 雅紀子は腎臓内科医として、福岡山王病院で約5年間、九州医療センターで6年間にわたり、心腎連関を踏まえた包括的な腎臓病診療に従事してきました。
現在はうらマイハートクリニックにて内科医2名体制で円滑な診療に努めています。
- 院内での迅速な検査体制:BNPなど含む当日結果のわかる多様な血液検査、心臓を含む各種エコー検査、総合病院レベルの64列CT(冠動脈CT含む)に対応。
- 治療後のサポート:心臓リハビリ施設「ReHeart Gym」で専門スタッフが体力回復・再発予防を支援。
- 通いやすい診療体制:診療開始は8時30分から、水曜は20時まで診療。駐車場11台完備。発熱症状のある方の専用入口あり。
大動脈解離は「迅速な診断」と「生涯にわたる血圧管理」が命を守る鍵です。血圧管理に不安がある方、大動脈解離の治療後の経過観察をお探しの方は、うらマイハートクリニックへお気軽にご相談ください。
この症状でお悩みですか?
当院の専門外来では最適な治療プランをご提案しております。
参考文献
[11] 日本高血圧学会. 食塩の知識(さあ、減塩!).
https://www.jpnsh.jp/general_salt_02.html